耳を洗う

世俗の汚れたことを聞いた耳を洗い清める。~『史記索隠』

“黒大豆オーナー制度”~「枝豆収穫祭」に参加して…

2008-10-26 10:26:33 | Weblog
 近く佐世保市と合併する車で1時間ほど北にある江迎町で、「黒大豆オーナー制度」というのをやっており、昨日、「畝の抽選会及び枝豆収穫祭」が現地農家であった。5年前から町の後援で実施されている行事らしいが、テレビ放送を観て初めて申し込み友人二人と一緒に参加した。遠くは北九州、長崎市からの参加者もあり総勢100名ほど集り賑わった。

 実は今年、“サカタのタネ”から取り寄せた「丹波献上黒大豆」を作ってみたのだが、栄えるだけ栄えたものの実つきが悪く失敗し、地主のおばさんに聞いても分からずその原因が何か探究している最中に、この「黒大豆オーナー制度」を知ったわけだ。参加して大いに勉強になった。やはり、“俄か百姓”は実地で学ばないと身につかない。

“黒大豆”畑での「枝豆」収穫


 「畝(うね)の抽選」とは、長さ約40メートルの畝が64条あって、抽選で引いた番号の畝に名札を立て「オーナー」になるのである。説明では、今収穫すれば「枝豆」として食することができ、次回12月6日の収穫祭で「黒豆」が採れるとのこと。その間は自由に来てもらってその時々の収穫を楽しんで欲しいという。畑に行って見るとびっしり詰まった「黒大豆」がたわわに実をつけていた。自分の畑との違いも一目瞭然。「ナルホド、ナルホド」と頷きながら実った豆をハサミで収穫し、終って集合写真を撮ったあと、農家からブロッコリーや落花生のお土産をもらい、近くの白岳高原レストランで「しし(猪)カレー」の昼食と栗のつかみ取りなど接待を受け、大満足で帰ってきた。

 栽培法について質問したら、蒔いた時期と連作ではないかと言われた。「黒大豆」は、タネの蒔き時が大切で、ここでは7月上旬が適期。また、豆類を連作すると出来が悪いという。考えてみると、蒔き時が一ヶ月も早く、ソラマメのあと地に作っているのが不作の原因とわかった。来年はここの「黒大豆」で再挑戦してみようと思う。


 主催者の挨拶にもあったが、“大恐慌”到来と噂される世情にあって、“農”への関心が一段と高まっているようだ。参加者は年々増えているといい、子供連れの若い夫婦も多かった。中心街から随分山手に入りこんだ農家の人たちが、智慧を出し合って取り組んでいる行事だが、地域の人が協力し合って生き生きしているのが印象的だった。イノシシや野うさぎの被害に悩まされると言いながら、「安全・安心」な食の生産に取り組む人たちに励まされた一日だった。


 『中医営養学』(山崎郁子著/第一出版)で「黒大豆」の項をみてみよう。

・性味=平、甘
・帰経=脾、腎経
・効用=血をよみがえらせ、余分な水分を取り除き、解毒する。腎臓病やリウマチ、喘息などによく、病後や虚弱な人の滋養食品として用いる。

 たびたび取り上げるが、『陰陽五行』の木・火・土・金・水で“色”は青・赤・黄・白・黒、“五臓”は肝・心・脾・肺・腎と配当されている。したがって“黒”は“腎”に当り、昔から一般に昆布や黒大豆は腎臓によいと言われてきたわけだ。肝臓には“青”い食物、心臓には“赤”い食物、脾臓(胃)には“黄”色い食物、肺には“白”い食物と大まかに憶えておいて食生活に活かすのも古人からの智慧といえよう。