辞任の意向を示した海江田経済産業相が、いつ最終決断するかが注目を集めている。
3日には担当する原子力損害賠償支援機構法が成立したが、自らの進退は明確にしなかった。民主党では、海江田氏の真意をいぶかる声が広がっている。
海江田氏は3日、同法成立を受け、国会内で記者団に、「感慨もひとしおだ」と語った。しかし、代表選出馬は「考えたこともない」と否定し、進退には触れずにその場を立ち去った。
党内には、海江田氏は同法成立直後に辞任するという見方もあった。鳩山前首相も1日、海江田氏に電話で「周囲に惑わされるな。時機を逸するぞ」と早期辞任を促した。できるだけ早く菅内閣と距離を置くことで、「ポスト菅」に名乗りを上げる環境を整えることができるというわけだ。
海江田氏自身は周囲に、「再生可能エネルギー特措法案も残っており、投げ出した形になるのは嫌だ。まだタイミングではない。僕が辞めることが(首相を退陣に追い込む)最大のカードだから、時期はじっくり見極める」と職にとどまる理由を語るが、党内では「原発事故をめぐる菅首相との確執で辞意を示しただけに、自分が辞めて首相が自由に『脱原発』を追求できるようになるのが嫌なのだろう」との見方もある。
海江田氏は7月29日の衆院経産委員会の質疑で、自らの進退問題を追及され、涙ぐんだ。党内では「あの程度で泣くのでは首相は務まらない。辞め時を失い、代表選出馬も厳しくなった」という声が出た。
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以前に書いたように、あの程度で泣くようでは、とても国政を任せられません。本当に情けない男です、カイエダも。このことに関して、わが意を得た発言をしてくれた山崎元氏の論文を記録しておきましょう。
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海江田経産大臣は即刻辞任が正解【山崎元コラム】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
2011年8月3日(水)08:40
泣くべきでない時は、泣くな
まさか、あの場面で泣くとは思わなかった。海江田万里経産相は、7月29日の衆議院経済産業委員会で自民党の赤沢亮正議員に辞任時期の明確化を迫られて、泣き崩れる場面があった。氏の答弁は「出処進退は自分で決めさせていただく。もうしばらくこらえてください。お願いします」というものだった。
はたして、この場面で泣く人物に、収束しない原発事故やTPPなど大きな問題が目白押しの経産大臣を任せていていいのだろうか。呆れると同時に不安になった。
そもそも、ここは泣くべき場面ではないだろう。経産大臣として現在辞任しない理由があるならそれを明確に述べてこそ国会答弁の意義があるし、単に辞任を伸ばしたいだけであっても、「出処進退は自分で決める。それ以上に申し上げることはない」と胸を張ればいい。笑うのでは挑発が過ぎたかも知れないが、泣くよりはまだましだ。
ここで想像してみよう。海江田氏が、経産相ではなく首相であったら、そして、舞台が日本の国会ではなく、G20のような国際会議の場であったら、どうなのか。原発事故による環境汚染の責任でも問われたとしよう。「何とかしたいと思っているけれども、どうにもならないし、それは私のせいではない」とでも思って、彼は、感極まって泣くのではないか。海江田氏は、次期首相の候補者群の中に名前が挙がる人だが、国民としては、危なくて、あるいは、恥ずかしくて、とても首相など任せられない。
ついでに言えば、氏は国会で答弁に手を挙げた時に、手のひらに「忍」と書いた文字を写真に撮られている。何を我慢していたのかはご本人に聞いてみないと分からないが、こんな幼稚なことをしなければ国会を乗り切れないような胆力では、そもそも大臣など無理だ。
尚、本人や支持者が勘違いしているといけないので、付け加えるが、海江田氏は、福島第一原発の事故及びその後の原発行政の不手際などの当事者であり、今後責任を問われるべき者の一人だ。
もちろん、民主党の次期代表選に立候補することが出来るような立場の方ではない。心を平静に保って、原発事故の処理に際して、官邸や経産省、東京電力などで、何があったのか、正直に洗いざらい述べる覚悟を養っておくべきだ。
海江田「便利」は誰のために働いているのか
筆者は単に見苦しいとしか思わないが、ご本人は、泣くことで、苦しい立場をアピールして居るのかも知れないし、政治家としては、同情による支持が集まると思っているのかも知れない。この点は、趣味の問題というしかない。
そういえば、サラリーマンである筆者も、海江田氏に対して、「中間管理職の悲哀」のようなものを感じて、少し同情したことがある。彼の上司(菅首相)は、人事においても(与謝野氏の経財相就任に伴う海江田氏の経産相への横滑り)、対外的な体面においても(たとえばいきなりストレステストを持ち出して海江田氏の顔を潰した)、部下である海江田氏を余りに粗末に扱った。
だが、推察するに、海江田氏も他の多くの与野党議員同様に菅首相を早く辞めさせたいと思っているのだろう。菅首相は内閣の職務遂行の立場上上司ではあっても、政治家としては政敵だ。政敵の仕打ちに対して、めそめそしていたのでは政治家は務まらない。
ところで、「泣く」ということは、自分自身が自分の思うままにならないと思い込んでいるからではないか。「不本意ながら、やらされている」という思いがあるから、自分が可哀相になって涙が出るのだろう。
彼が「やらなければならない」と思っていることは何なのか。
東京電力の株主や貸し手に対して破綻処理による負担を求めない原子力損害賠償支援機構法案の成立なのだろうか。
筆者は、本来なら、株主や貸し手が負担すべき損失の多くの部分を将来の電力ユーザーの負担に転嫁するこの法案を成立させることが望ましいとは思わないし、東電を現状の延長線上で残すことは、送電・発電の分離といった今後の電力・エネルギー政策にあって是非必要な改革の障害になると考える。また、東電が賠償の矢面に立つことで、経産省をはじめとする行政の原発事故に対する責任が曖昧になることも大きな問題だ。
海江田氏は、「この法案が通らないと、被害者への賠償ができません」とでも言い含められて、そう信じ込んでいるのだろうか。あるいは、銀行が東電に緊急融資した際に、氏は、何らかの言質を取られているのだろうか。
しかし、現法案が通らなくても、東京電力や国の賠償責任が消えるものではない。もちろん、賠償・補償のための仕組みを整え、明らかにする必要があるが、それは、海江田氏の後任者が対応すればいい問題だ。
この法案に関しては、はっきり言って、海江田氏は、電力業界、金融界、官僚などに、便利に利用されているだけではないのか。
この際、「海江田万里」ではなく「海江田便利」とでも改名されてはいかがか。
辞任は早いほうがよい
原子力損害賠償支援機構法案以外の問題についても考えよう。
再生可能エネルギーの買い取りに関する問題は、拙速に決着を急がなくてもいい。環境に負荷の小さい発電に関しては、研究・開発・事業化において何らかの促進措置があっていいと考えるが、好ましい発電による電力を一律の料金で買い上げるような方法には、価格メカニズムの利用の点で問題があるのではないか。
どういった政策の組合せで、好ましいエネルギーの利用をどう促進するかは、経産省が余計な介入をしないことも含めて、将来のエネルギー政策に関わる問題であり、引責辞任を明言した大臣が関わるべき問題ではない。
また、原子力保安院のいわゆる「やらせ問題」は、追求を要する問題だが、はっきり言って問題が小さい。弱い相手に批判の矛先を向けるようなパフォーマンスは無用だ。保安院の廃止と、経産省から切り離した原子力安全管理の組織の設立などを粛々と実行すればいい。
また、菅首相にも言えることだが、いったん辞任を口にした人物が、日本を代表して国際的な交渉に当たることは不適当だ。経産大臣の場合、TPPへの加盟及びその条件交渉のような重要問題を抱えているのだから、即刻身を引いて、できれば十分な能力と胆力のある後任者にポジションを譲るべきだ。
政治的なコンテクストで考えるとしても、海江田氏の進退問題が長引くことは、菅首相へのネガティブな注目を分散させる効果をもって菅首相を間接的に応援していることになる。海江田氏は、菅首相に対しても、泥除け的「便利男」の機能を果たしている。
今にして思えば、海江田氏は、菅首相の原発事故への対応を批判してさっさと辞任していれば、民主党の次期代表候補として存在感を発揮するチャンスがあった。しかし、その後、原発再稼働問題等で自身も政策的な失点を重ね、更には、余計な涙の答弁で首相の器でないことを満天下に晒してしまった。政治家の出処進退は難しい。
だが、元はといえば、7月7日に「いずれ時期が来たら、責任を取らせていただく」と述べた自分が招いた災いだ。今にして思えば、これも、同情を買おうとしたのだろうか。そうだとすれば、何とも見苦しいことだ。
海江田氏は、「やるべきだ」と思うところを堂々と述べて、さっさと経産大臣を辞任すべきではないか。菅首相に対する批判としても、それが最も有効だろう。そもそも政治家なのに、当然の問いにはっきり答えないところに、彼の間違いがある。何がやりたくて、そのためになぜ自分が経産大臣にとどまる必要があるのかを明確に説明すべきだ。
何れにせよ、筆者もその一人だが、前回衆院選で海江田氏を選出した東京一区の有権者にとっては、何とも残念で恥ずかしい事態になってしまった。
ともあれ、こんな大臣がのさばるカン内閣など、一日も早く退場してもらわないと、日本に夜明けは来ません。自民党にはがんばってもらわないといけないけれども、谷垣・石原コンビだと何とも頼りなくていけません。嗚呼。
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