なるほど、そういうカラクリですか。
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「アジア系差別だ」米政府の名門大批判、実は裏の意図が
朝日新聞 2018年9月1日16時51分
米国の名門私立大学ハーバード大の入学選考は、アジア系米国人が不当に排除されている――。米司法省は8月30日、こう指摘する意見書を提出した。セッションズ司法長官は「誰も、人種を理由に入学を拒否されるべきではない」と唱えるが、もともと少数派優遇に批判的なトランプ政権のもくろみが透けて見える。
意見書は、NPO「公平な入学選考を求める学生たち」(SFA)がハーバード大を相手取って2014年にボストンの連邦地裁に起こした訴訟に提出された。同団体は、白人の保守系活動家が代表を務める。
司法省は意見書で、SFAの主張を支持。ハーバードが「曖昧(あいまい)な個人評価の基準」で、アジア系米国人の入学を妨げているとした。
米メディアによると、ハーバード大の入学基準では、学業成績や課外活動などのほか、「好かれやすさ」「勇気」などの個性点がある。アジア系米国人はこの個性点が、全人種の中で最低の評価を受けているという。13年の学内調査で、学業成績だけならアジア系米国人の割合は全入学者の43%になるはずが、他の評価を加えたことで19%まで下がったという。
また、アジア系米国人がハーバードのような名門校に合格するには、2400点満点の共通テストで白人より140点、ヒスパニック系より270点、アフリカ系より450点高い点数を取る必要があるとの09年の調査結果もあるという。
ここで問題となるのが、アファーマティブ・アクション(少数派優遇措置)だ。1960年代の公民権運動から生まれた考えで、黒人など少数者に優先枠を設けることで差別是正を試みる。米国の大学の入学選考では、学内の人種の多様性を確保するために広く実施されている。
ただ「逆差別」ととらえる白人は多く、大学入試を巡ってはこれまでも訴訟に発展してきた。最高裁は03年に「措置そのものは合憲」と決定している。
今回の訴訟では、本来は少数派であるアジア系がとりあげられた。だが白人の不満を背景にして、アファーマティブ・アクション撤廃への議論が拡大するのは必至だ。トランプ政権下では最高裁判事の多数を保守派が占めるとみられ、これまでの決定が覆される可能性もある。
司法省の意見書に対し、ハーバード大は声明で、不公正との指摘を否定し、「大学は多様なコミュニティーを作るための自由や柔軟性を持たねばならない」と反論した。また同大のアジア系などの卒業生や在校生でつくる複数の団体は意見書を出し、「人種考慮を排除した入学許可が第一に利益をもたらすのは白人だ。アジア系ではない」と指摘した。(ワシントン=杉山正)
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アジア系を差別してはいけないと保守派が主張しているのは、
アジア系のためではない。
アジア系が差別されていることを逆手にとって、
人種による入学選別をやめさせ、
白人の入学者数を増やすためである。
確かに、トランプ派の白人至上主義者たちが考えそうな深謀遠慮です。
このことが、どのような結果になるか。11月の中間選挙を控えて、反トランプ派の動きも活発化してくるでしょうし、ハーバードの出方とあわせて、注目です。
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