オーストラリア西部パース在住の104歳の現役科学者デビッド・グドールさんが近く、スイスに移住して安楽死の処置を受けることになった。公共放送ABC(電子版)などが1日までに報じた。身体の衰えから決断したという。豪州では安楽死は認められていない

 グドールさんは生態学者で、近年はパースのエディスコーワン大に所属し、100歳の時にも論文を発表。2016年に大学に「通勤が危険」と自宅に研究の拠点を移すよう提案されたが、通勤時間が短くなる別のキャンパスに研究室を確保し、仕事を続けていた。昨年8月に記者の取材に応じたときには好物のチーズケーキは「週に2、3回は食べるね」と元気そうな様子だった。

 ただ、数カ月前に自宅の部屋で背中から転倒。清掃員に発見されるまでの2日間、身動きが取れないままで、病院に搬送される出来事があったという。グダールさんは安楽死の決断についてABCに対し、「理解してほしい。もう、104歳でいずれにしてもあまり長い時間は残されていない。健康状態がさらに悪化すれば、もっと不幸せになるだろう」と語った。

 スイスへの渡航や自殺幇助(ほうじょ)のケアにかかる費用として1万5千豪ドル(約120万円)の寄付をインターネットで募っていたが、これまでに320人から1万9千豪ドル近くが集まった。

 グダールさんは、英国出身で第2次大戦後に豪州へ移住。豪州の代表的な政府研究機関である連邦科学産業研究機構(CSIRO)の上級科学者を長く務めた。論文・著作は130を数える。(小暮哲夫)

104歳のオーストラリア人科学者、自ら命を絶つため来月スイスへ

AFPBB News 2018年4月30日 23:30 発信地:シドニー/オーストラリア


104歳のオーストラリア人科学者、自ら命を絶つため来月スイスへ
豪パースにある自宅で写真撮影に応じた、デービッド・グドール氏(2018年4月30日入手)。(c)AFP PHOTO / Exit International

【4月30日 AFP】オーストラリア最高齢となる科学者で、2年前に大学から退職勧告を受けて論争の的となったデービッド・グドール(David Goodall)氏(104)が来月初旬、自らの命を絶つためスイスへ向かう。これを受けて同国では、安楽死をめぐる議論が再燃している。

 安楽死支持者の話によると、グドール氏は不治の病を抱えているわけではないものの、生活の質は低下しており、スイスのバーゼル(Basel)にある自殺ほう助機関で優先予約が認められたという。

 生態学者のグドール氏は今月迎えた誕生日に、豪ABCに対し「こんな年に達してしまい、残念でならない。私は幸せではない。死にたい。特別悲しくもない。悲しいのはそうさせて(死なせて)もらえない場合だ」と語っていた。

 さらに、「私が思うに、私のように年老いた者には、ほう助自殺の権利も含めた完全なる市民権が付与されるべきだ」という持論を展開していた。

 ほう助自殺は大半の国で違法行為とみなされる。オーストラリアのビクトリア(Victoria)州では昨年、同国で初めて、安楽死の合法化法案が可決され、来年6月に施行されるとはいえ、対象となるのは健全な精神状態を持つ末期患者で、かつ余命6か月以内とされる場合に限られている。

 パース(Perth)にあるエディス・コーワン大学(Edith Cowan University)の名誉研究員であるグドール氏は2016年、大学側から退職を勧告された。この件は物議を醸し、国内外のメディアが報道。世界中の科学者らから抗議と同氏への支持が集まり、この勧告は取り下げられていた。(c)AFP

103歳の現役科学者、豪州に 好物はチーズケーキ
朝日新聞 2017年9月18日15時16分

 オーストラリア西部パースに、百寿を超えても現役の科学者がいる。バス、電車、バスと乗り継いで1時間。デビッド・グドールさん(103)は週に4日、大学の研究室に通う。「今も科学に興味がある。研究しなければ何をするのか」と情熱はあせない。

 専門は生態学で、とくに「乾燥地域の植生」を研究してきた。所属するエディスコーワン大学の肩書は「名誉研究員」だが、100歳になった3年前にも論文を発表。今は、編集者を務める科学誌に投稿された論文の精査に力を注ぐ。

 英国で第1次世界大戦が起こる4カ月前に生まれた。ロンドン大学で博士号を得て、第2次大戦後に豪州へ移住。豪州の名門メルボルン大や米カリフォルニア大学などで教壇に立ち、豪州の代表的な政府研究機関である「連邦科学産業研究機構(CSIRO)」の上級科学者を長く務めた。論文・著作は130を数える。

 3人目の妻が4年前に92歳で亡くなり、一人暮らし4人の子のうち娘1人は近くに住むが、「負担をかけたくない」と、ほとんどの家事を自らこなす。

 白内障で視力が落ちた5年前に車の運転はできなくなったが、アウトドアを好み、今年7月には豪北西部の大自然を旅した。「活動的でいるのが心地よい」。カフェでは決まって好物の紅茶とチーズケーキを注文する。「チーズケーキは週に2、3回は食べるね」

 昨年、大学に「通勤が危険」と自宅を研究の拠点に移すよう提案された。だが、「大学で研究を続けたい」と交渉し、通勤が30分短くなる今のキャンパスに研究室を確保した。「人の一生が延びている状況に社会が追いついてほしい」と生涯現役を貫く決意だ。(パース=小暮哲夫)

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104歳で、ひとり暮らし。しかも、毎日仕事ができる。すばらしい自立生活です。このような老後に憧れます。

でも、生きていく気力がなくなられたのでしょう。残念ですが、グドール先生の意思を尊重しなければいけないとおもいます。

長い間、ご苦労様でした。安らかにお眠りください。