続・トコモカリス無法地帯

うんざりするほど長文です。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 1

2017-12-23 00:45:30 | D&D4版 キャンペーン回想
友人たちと定期的にゲームを遊んでいます。D&Dという卓上ゲームを長年続けていて、8年越しの長期キャンペーンシナリオが最近完結しました。

D&D4版という、やや煩雑なゲームシステムで、テーブル上にマップを広げ、その上に自分の駒を置いて、仲間とチームを組んでダイスを振りながら遊びます。それの1レベル~30レベルまでに及ぶ長大な物語でもありました。

自分の中では8年分の成果が結集して、大変満足の出来た楽しい最終回でした。友人たちも「いやー8年間お疲れさまでしたー」と駒を並べて記念写真を撮りました。


左端に変なのいますね。剣と魔法のファンタジー世界なのに鋼鉄臭いロボットがさらっと混じってますが、うちのキャラクターです。最終回は巨大ロボになって戦いました。「乗って」ではなく「成って」です。自分がマシンになってどうすんだという話ですが、こいつは元から異常な程口数が少なく、主義主張もなく、意志が非常に希薄だったので、強化策にはこの措置が妥当です。もちろん自分の嗜好丸出しだったので、他メンバーとは絡みにくく最期の場面でも誰からも構われずに勝手に自壊しました。

8年間の物語の終わりで、一人だけ誰とも人間関係を築けず盛大なバッドエンドルートを迎えたわけです。
しかし、それに対する言い訳はたくさんあります。今から書きます。
まず、約8年という期間の内、7年近く私自身が大変弱っていた時期と重なっています。このゲームでキャンペーンシナリオを始める数年前から服薬治療をしていて、言っちゃ何だが心神耗弱もいいところでした。だって漫画1冊どころか数ページも読めない。文字を読んでも内容が頭に入らない。当然ゲームのルールブックを読んでも、そのデータがどう働くものなのか考えることが出来ませんでした。
D&DというのはTRPGという遊びの中でもかなりルールが煩雑な方で、版ごとにシステムが違います。少し違ったり、それなりに違ったり、まったく違ったり、差異具合も大きくとても煩雑。この時は3.5版から4版に移行し始めた頃でした。頭の弱りきってる人間にでかいハードカバー海外ゲームの新規システムを与えて、いったいどれ程活用できるのかと言えば、全然出来ませんでした。

ゲームするんだ……、何すればいいの……。

こんな具合で全然ダメだったので、キャラクターの能力値も外見も来歴も運用法も、全部友人に作ってもらいました。
ぼやーとした頭で卓に着いたら、既にキャラクターシートが出来ていて、後は名前を決めるだけ状態でした。いや、名前だってもう8割決まってて「ホロビン」という、以前D&D3.5版時期に少しだけ使ってたドワーフファイターの4版コンバートキャラでした。旧版とはシステム上同じタイプに作れなかったのと、背景舞台も時代設定も若干違うので、そのまま本人というわけでもありません。よく似た人だが記憶喪失で詳細不明という、後から詳細付け足せるふわふわ設定で始めることにしました。

名前:ホロブン
本人も曖昧にしか名前を覚えてないせいで、間違ったまま名乗ってる設定。この時は今後8年も付き合うつもりは無かったのです。どうせまたレベルアップ失敗して、後からもっと状況に最適化したキャラクターと入れ替えるつもりでした。メンバー内で不評を買うことがありますが、私はゲームの自キャラクターをリストラ、上位互換に変更するのにあまり抵抗がありません。そもそも今回も元になった旧ホロビンも、そうしたリストラで捨てたキャラクターなのです。後発キャラは圧倒的な機動性と長射程を持つ「ペルガ」という弓キャラでした。深く考えずにキャラを交替させるせいで、性格描写が雑になり、ホロビンは老人口調の髭ドワーフ、ペルガは老人口調の小娘でテキストに起こすと大差ありません。ペルガの話は別の話題なのでもうしません。

つまり、ゲーム開始時点でホロブンには感情移入し難い理由がいくつもあったのです。一度捨てる判断を下したキャラを他人が組み替えて、もう一度卓に上げられても興味がそそられません。大体私は元々ドワーフが好きでも嫌いでもない無関心派でした。背が低いのも頑固な性格というのもマイナス要因。理想のタイプは未だに3高です。高身長・高出力・高耐久、少なくとも身の丈2メートル以上あって、目的のためなら手段を選ばない柔軟な性格が好みです。典型的ドワーフキャラなど眼中にありません。今でもそうです。
加えて当時は思考が過去最低ラインで鈍っていて、キャラの代案すら思い付きませんでした。なんとなく気に入らない、すら自覚無しでした。

名前:ホロブン
種族:ドワーフ
クラス:レンジャー(二刀流タイプ)


大雑把に言うとこんなキャラクター。このゲームでのレンジャーは物理攻撃専門家です。他クラスより若干攻撃力が高い以外の取り柄はありません。その高攻撃力もダイス1個分程の差です。ぶっちゃけ誤差の範疇ですが、ゲーム序盤では敵のHPも僅かなので、その誤差が響きます。序盤だけはな。
後々この性能が悪影響を及ぼしてきます。キャラクターにする意義を感じない、1日1個使えるボンバー程度の働きと化していくのです。

うまく運用出来ないのも自分の不調だけが理由ではありません。レンジャーはルール面で欠陥がありました。使える技がほぼ全て物理攻撃。それも
弱攻撃:何度でも使える
中攻撃:戦闘のたびに1回使える
強攻撃:1日1回だけ使える
1回強攻撃を撃ったら出番終了です。情報収集やら戦闘の駆け引きの技はありません。皆無じゃないけど他クラスがやったほうが早いのでレンジャーの仕事ではありません。
実はレンジャーには二刀流タイプの他にも、素早く弓を撃つタイプや、動物使いタイプ等の種類があります。そちらは素早さを活かした野外活動スキルで戦闘以外も働けるのですが、ホロブンは元来鈍足地下生活のドワーフで、野外行動も敏捷さも苦手です。消去法で近接戦闘に励むしかありません。他に身を立てる進路が無いのです。
しかし、正面切って殴り合うにはレンジャーの防御が薄いので、鎧習熟してチェインメイルを着ることにしました。
少しでも路面が悪ければ、途端に遅れるドワーフの鈍足にも困りました。<特技:俊足>を取って置いてきぼり事態にも備えました。
通常の武器ではダイスの目が小さくダメージが増えないので、片手武器の中で一番強いヤツを両手に2本持ちました。ドワーブンウォーアクス2丁装備。しかしマジックアイテム2個分揃える予算が足りず、左右で効果が違うと管理が大変なので自ずと「ペアード」一択でした。1個の武器を2つに分けて使えるお値段的にお得な武器ですが特殊効果はありません。長年こいつを使ってきたせいで、終盤装備の強烈パワー特性持ち武器の取扱いに手こずりました。ダイス1~2個だったのが急に9~18個とかに増えたら混乱しますよ。
プレイヤーでやれる工夫はやりました。少なくとも当時の自分にはこれが精一杯。

でもレンジャーの悪待遇はシステム面でも次第にはっきり現れてきました。契機は10レベルを超えた時期。キャンペーンはちょうど「シルバークロークス戦記」という長編シナリオに差し掛かっていました。ルール上でも英雄級から伝説級へと、強さに区切りが着く辺りで、敵レベルが全体的に底上げされます。より速く硬く賢く、そして攻撃が重く広く強くなりました。相対的に自キャラ達は苦戦する羽目になります。
しかし、皆やれることが増えており、効率的に情報収集出来たり、先手を取って状態異常で戦場を撹乱したり、特殊な移動方法で間合い取りが巧妙化したり、強敵をいなす搦め手を使えるようになってきました。ホロブン以外は。
ホロブンは相変わらず1日1個強攻撃ぶっぱレンジャーのままです。その強攻撃だって物理ばかりだから、頑丈な敵相手には相性悪いのだけど、メンバー内の他アタッカーがホロブン以上に頑丈苦手な暗殺者型でした。ホロブンが他より若干マシな攻撃を加えて削る必要がありますが、私がそんな単純作業に嫌気が差してて、この時期の出席率が悪かったです。

この頃から戦闘手順の複雑化が顕著で、戦闘開始直後は敵味方ともに戦場にギミックを仕掛け合うため、1ラウンド処理に1時間近くかかるようになってきました。1時間待った後、数秒で1日1回強攻撃ダイス降ってホロブンの出番は終わります。その後また1時間程待ちます。

戦闘手順複雑化と長時間化の他にも悪要因はありました。
シルバークロークス戦記シナリオが主に「邪悪な巨人達の襲撃に立ち向かう」内容だったこと。この巨人達は「プライモーディアル」という荒れ狂う自然の猛威が擬人化したものらしく、基本的にどれもタフな脳筋パワー押しで襲ってきます。HPとACがみな高く何発も何発も攻撃しないと倒せないため、これが戦闘長時間化をさらに伸ばしました。
そんなタフガイどもを叩き伏せるのが物理攻撃専門クラスだろうと、ホロブンは対巨人戦用クラス:ジャイアントスレイヤーに進みました。しかし実際の能力はやや防御牽制寄りの技が多く、戦闘短縮にはさほど役立ちませんでした。また、このクラス必殺攻撃「巨人殺し」は4W、武器ダイス4個振りですが、普段から二刀流必殺技で2Wの2回攻撃してるせいで有り難みが薄いものでした。他のクラスならば、この時期に4Wのダメージソースは貴重です。つまりシナリオ攻略には向くが、ホロブン向けではないクラス。組み付きを払い落とすスキルや、敵の頭上に駆け上りマウントを取る技もあって、それなりに派手ですが活かす場面が難しい。

レンジャーにも援護や牽制技が皆無ではないけれど、相手に攻撃がヒットすることで効果が出ます。つまり命中前提なので防御が高い相手にはかすりもしないし発動もしません。敵ACが少し上がれば途端に空振り連発になります。雑魚相手には手数と範囲が足りず、ボス相手には命中率が届かない、戦場適応力の低い弱キャラ感が漂ってきました。


そもそもの大問題として、英雄級から伝説級に上がっても自分の攻撃力は増えません。敵が軒並みワンランクアップしても、自分達の攻撃ダイスは据え置きのまま、マジックアイテム等の強化で2~4程を稼げとのルールです。ホロブンは武器2丁持ちだから偶数強化です。普通は1~2の強化。やはり誤差の範疇。
だから他クラスは、より多彩なスキルを覚えて賢く戦うように成長していきます。今までの不可能が可能になっていきます。術士系が顕著。
レンジャーは今まで出来たことの延長です。より強く殴れます。命中精度は上がりません。アクションポイント等で瞬間的に命中率を上げる方法はあります。逆に言えば素だと全然攻撃が当たらないので、一瞬の命中率ブーストに乗せてありったけの攻撃力を叩き込む瞬間火力を狙うしかありません。タフでなかなか死なない巨人相手には相性の悪い戦法ですが、他に無い、どうやったら活躍出来るのだ。
結果的に出番がますます瞬間的となり、命中判定とダメージダイス振るまでの時間待ち感は増えました。今日は6回ダイス振った、とかそんな感じです。
敵がいつまでも片付かないせいで、ホロブンが頑張ってないように見えます。このラウンド何したの?空振りだけです、もよくあること。

レンジャー=一日に1ターンだけ攻撃が命中するクラス、になりました。つまり卓に座って数秒の攻撃のために何時間も待機し、攻撃後は戦闘終了までまた何時間も待機します。それだけです。どうせ攻撃当たらないし、火力も出ないし、やることないし、やっても効かないし。


そして、いずれ取得する予定の高レベルレンジャーパワーのルールを眺めながら、嫌な予感もしました。W数が少ない。Wとはウェポン数で攻撃時に振るダメージダイス数を指します。通常1Wはダイス1個、必殺技なら3Wでダイス3個な具合です。高レベル必殺技ほどW数は伸びて他所だと7~8Wなんて大技もあるのに、レンジャーには6Wが限界で、それも弓連射技なので小さいダイスを素早さで連射し、筋力修正は乗らない数字詐欺がっかりパワーでした。
どうもルール設計にダメージを出し過ぎない、出させ過ぎない意図が働いている様子。アタッカーばかりが凄いダメージを出さないように下方修正、他クラスは景気良くダイス数サービス技を付けてバランス取っているつもりなのでしょうか。
ルールブックのレンジャー基本事項に「キミは他のキャラクターよりもダメージを出すことに長けているが特徴はそれだけだ」とあります。攻撃力しか取り柄のないクラスの攻撃力を押さえ込もうという、稚拙な調整だと思います。何のために居るのウチのレンジャー。


他にもっと自力努力出来たのではないかと今では考えられますが、当時の状態を思い返すと到底無理な話です。実生活面でも行き詰まっていて、自室のテーブル上で箱が転倒して中身がこぼれたのを半年以上も放置していた程に思考が鈍っていました。錠剤がこぼれ落ちたのを見ても片付ける発想が無いのです。行動と結果を結びつけて考えるのがうまく行かず、なるだけ行動しない行動できない生活でした。


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