続・トコモカリス無法地帯

うんざりするほど長文です。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 11

2017-12-23 00:57:20 | D&D4版 キャンペーン回想
では、エピローグ。
ホロブンが消えても世界は続きます。元々最初から存在しなかったように、何も不都合なく日常に戻りました。

ガンダルーブは地獄を統括しています。しかも誤って入手した「善のルーン」のせいで属性が大きく変化してしまい、地獄で善政を施すというよくわからない事態になりましたが、問題か問題じゃないのか周囲も困惑しているようです。それは果たして地獄なのか?

メルセーデはリリィ監督不行き届きの罪状で、しばらく獄中生活でしたが、やがて釈放されガンダルーブの元へ向かったようです。彼女も微弱ながら死のルーンを持つので、安らかな死に拠る救済を求める者が待っているでしょう。

レイオットは拠点のネルカレンに戻り国王を続けています。先の大戦参加時に受けた魔法や呪いの副作用で不老化したので、いつまで在位続ければいいのかわからないとか。

ラックルは大戦中にハイローニアスの力を得て戦いました。秩序にして善の神々直属の戦士になったので、今後も戦いの最前線で生きることに決めたようです。クラス:ナイト・オブ・ザ・カリス?それかなりハードな役職ですよ。私は詳しいんだ。

フィネスはまだ封印の中にいます。種族内部圧力に対抗するために自己を鍛えていた彼女には、もう戦う理由がありません。好きなだけのんびり暮らせるでしょう。

ヒドゥンエッジはフィネスの封印を守りながら、世界の記録を取っています。過去から続く広い世界の成り立ちと過程を知り得る限り、正確にありのまま記録し残すことが生涯の目的らしいです。

少し寄り道。
リリィはどうしてるか言うと、図書館に詰めていました。死のルーンの強大なパワーを自覚したけれど、それを使いこなすための知識と判断力がまだ欠けていると考え、まず資料面で学習を修めるところから始めたそうです。この世界で死を振るうにも、状況事情が千差万別で、体験で身に付けるには損害が大きすぎるので、まずは世界の記録を知る必要を感じたのでしょう。
HOPEがその図書館のリリィを訪ねて行きました。歩いて話すだけの最小限機能の簡易ボディを組み直したので、見た目が随分変わりましたが、いつもの軽薄敬語ですぐ誰かわかったようです。
若い死神はこれから慎重に世界と向き合うための勉強中でしたが、その覚悟は揺るがない様子を見て、HOPEは安心したのか不器用に歩き去っていきました。

次にHOPEはヒドゥンエッジと会いに行きました。
「ホロブンのことを覚えてますか」
「僕は全てをありのままに記録するよ」
それで話は終わりました。


この世界ともそろそろお別れです。
HOPEの意識はまた次の場所へ向かいました。




この世界はその後、どうなったのか。
どうもなってませんけど、一つ謎が残りました。

遥か後世の学者の間で、意見が割れてまとまらない歴史の謎です。
昔、とある英雄たちが世界の危機に立ち向かい打ち勝った、という記録ですが、その内容に辻褄の合わない部分があり解釈が別れるのです。

長命のエルフ族で、ごく近い時代まで存命していたヒドゥンエッジの残した記録は、当事者本人に拠る記録で信頼性が高いとされていますが、膨大な量に及ぶため一つ一つの記事は簡潔に僅かな記述で済ませており、また情報量圧縮のために独自言語(ジオメターの記号)も用いられ解読困難な部分もあり、全てが正確に伝わってはいません。しかも件の世界危機時の記録は比較的初期のため、体系立っておらず情報が断片的でした。
そこで、同様の時代・事件を伝える他所の資料と内容照合した結果、数度に渡る世界への危機襲来と、それにどのように立ち向う戦いだったのか、おおよその概要は掴めました。しかし同時に大きな問題点も浮かびあがりました。
最も信頼性が高いであろう一次資料のヒドゥンエッジの記述だけが、他と違う記録を残しているのです。

「ホロブン」


他の記録資料や噂伝聞の類にまで、そんな単語は一切登場しません。学者の研究論でもヒドゥンエッジの初期記録には、創作が混じっているという説や、何らかの隠語であり作戦や技に便宜的に付けた仮称ではないかという説など、真相は不明なままです。また、破滅・暴虐などといった不穏な語句と並ぶ事が多いため、忌み言葉の一種で現在は禁じられた概念だとするオカルト説まで囁かれています。

しかし、戦争記録としてこれらの資料群を解読した場合には、別の解釈があります。
資料に基づき戦場想定した場合、彼らの編成と戦術で記録通りの強大な敵と戦うならば、少なくとももう一人、高い戦闘力を持った攻撃役がいた筈で、また広域を高速度で移動する手段が無いと作戦展開が不可能になるという説です。
つまり、速く飛べて、多く運べて、戦うと強い、ホロブンという便利なマジックアイテムがあったが現存しておらず、用途に拠って変型するため、正確な姿も判明しないという推論です。

そして、仮説に振り回された一般人には風評被害が広まります。
エッジさんの記録?あそこだけはフカシだよね。
記述の整合性?作者の人そこまで考えてないと思うよ。
大怪獣と戦う鋼鉄巨人の伝説?そんなのたくさんあるだろ。
同じコマにいた?はいはいペンギンペンギン。

ハービンジャー・オブ・ドゥーム「破滅の先触れ」というのは、こんな具合に本人の名声はさっぱり残らないけど、やった悪さは延々言われ続けるそうです。私が悪いのか。いやこの神話クラス勧めたぱーるさんが。いやでもそれに喜んで乗ってやりたい放題やって不興だったから、こんなに言い訳してるんじゃないの。

しかし、これでもうD&D4版でやり残しはありません。ゲーム内で最大限界実用火力を実現したと思うので、今後どんなキャラクターを作成しても、私にとっては「ホロブン未満」でしかありません。最強のキャラで最強の相手と戦う最高の機会を最大のエネルギーを費やして最後までやり切ったつもりです。一体これ以上何を望むのか。気が済んだ。清々した。一生分のD&D4版を遊び終えました。


思いのまま書き連ねて96kbのテキストになりましたが、いつも時間延長の長時間プレイをほぼ毎月8年間続けた大キャンペーンに関する文章量としては短すぎます。7年以上分のエピソードを端折り、終盤の自分のことだけ書いているため、プレイレポートでもありません。他メンバーキャラクターが何をしてたのかさっぱり言及がないけど、それはよく見てなかったし、覚えてないし、自分にあまり関係無いと考えてたので書いてません。実際影響なかったしな。

社会性、協調性、倫理観の著しく低い内容の自覚はあります。しかし、この記事は先にも書いたとおり「言い訳」です。結論は最初から決まっています。

「自覚してるが治さない」

もはや変化を見込めない手遅れ感を、言葉にまとめるとこうなります。反省も後悔もせず、今後も人と違うルートを好き好んで進みます。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 10

2017-12-23 00:56:18 | D&D4版 キャンペーン回想
ホロブンは終始一貫して親愛の情というものにまったく関心を寄せず、物理的暴力だけを信条としていました。好戦的でも凶暴でもありませんでしたが、人情味に薄く情け容赦無い行動が多々ありました。他者の事情にも一切無関心なのは最後まで変わらず、言葉での主張こそ少ないが、非常なエゴイストなのは否定できません。過程を振り返って見ると、人格に大きな欠陥を抱えています。私は中の人なので、主観的にそれが面白いと感じてますけど。
ホロブンを一言で言うと、話が通じない人です。
互いを尊重する共感性に著しく欠けてます。NPCカード切ってクリティカル出す作戦が最たるもので、何もかも全てが消耗資材に見えています。目的のためなら犠牲を厭わないし、その犠牲に自他の区別をつけません。自分も他人も平等に使い捨てる感覚は徹底していました。このキャンペーンでの最終目的は「タラスクにフルパワーラッシュクリーンヒット」なので、目的も達成しており、最期に一人朽ち果てるのも過剰なストイックさの表現としては好みですが、お一人様ワースブレイドやり過ぎ感があるのも事実です。操兵に乗って一人でタラスク倒す気満々でした。


では、なぜそれほどにホロブンのキャラ内面が荒廃してしまったかは、いくつも理由があります。元から人格破綻の素質に溢れていましたが、キャンペーンの最初からこんな壊れ性格だったわけはありません。

理由1、
単純に使用期間の大部分を私がぼんやりしていたせいで、性格が決まらなかったこと。20レベル中盤に差し掛かるまで、私の情動部分が大分鈍ってて人物描写を考えられませんでした。レンジャーとしてダイス数える役目が精一杯。

理由2、
テコ入れ荒療治が過ぎました。終盤目前でも薄い人物像をあぶり出すために、キツめのイベントを何度も当てました。アイデンティティを揺らがせて、その上で残る中核部分を捉えるつもりでした。しかし、これは完全に逆効果でルール上の判定時に必須の数値だけが残り、内面は無くてもゲームが進む実証になってしまいました。結果、数値が主体で、ロールプレイ分のキャラクターは数値のメンテナンス役に従属する構図になりました。レンジャーというほぼ単一機能クラスだったのも災いしました。行動結果が戦闘で当たりと外れの二極化収束しやすいクラスです。だから、数値が増えるなら何でもする、数値が変わらないなら何もしない、単純で極端な舞台装置化したのです。

理由3、
私自身の根幹がどうやら超・精神論者だったようです。困難に立ち向かうために気合と根性では全然足りないという考え方です。その2つで乗り越えられるのは困難のうちに入りません。そこに加えて、手段を選ばないなり振り構わなさが必要と考えます。何に対してもガムシャラに挑めという意味ではなく、むしろ真逆で、無理目なことには一切手出ししない関わらない。その代わり、目があるなら手間を惜しまず、採算度外視徹底的に追求する姿勢です。そこでは健康や道徳などの社会規範を重要視しません。常識の範囲内で無理をしない、では達せない目的もあると考えます。普段から私の生活方針はこんなんです。もちろん、これは自分限定完結ルールで、他人には一切期待も要求もしません。しかし、傍目からは人の話を聞かない大変な自己中心思考に映るでしょう。その通りですから、他人からの評価まで望みません。

1の薄さを解消するために、2の状況に追い込んで、3の極論を盛り込んだ結果でした。
今回ゲーム内で扱った「自分ルール」は、最初から最後まで自分のプレイヤーキャラクター・ホロブンに対してだけに限定適用でした。他メンバーキャラへ干渉操作する能力は一つもありません。しかし、自分内カテゴリでは無軌道非常識な操作を繰り返しました。キャラは幾らでも複製の効く消耗品であり、重傷前提に行動し、両手を武器に固定し、最後は四肢欠損身体喪失したうえで義体化して再登場という描写です。何も良いこと無いよね。残酷場面ばかりです。卓の皆さんも地獄をこんなに見せられたら心が乾き、染み付いた炎の臭いにむせるだろうさ。だから最後までそっとしておいてくれたのか。
ここはD&D世界でアストラギウス銀河じゃないぞ。すぐボトムズ調やりたがるのは私の悪癖です。


以上の1~2~3の流れでホロブンは変化していきましたが、体感時間の配分は不均衡でした。
初めの7年程までは出番も活躍も無い待機時間です。10レベル手前当たりから、どうせ自分には何も出来ないと諦め気味でした。自分の感性鈍磨から凝った戦術は考えられず、シナリオが進むほど敵が強化されるので、相対的に自分が弱く感じていきました。どうせ1回しか出番無い、それも命中しなかったら意味がない。実際に待ち時間ばかりの退屈なゲームが数年続きました。特に時間の延長が地味につらい。昼から始めたゲームが夜10時になっても終わらず、戦闘結果をGMが決めて撤収したことも少なくありません。そんな長時間ゲームでも、私は大パンチ2発撃つ数秒しか行動がありません。レンジャーの行動に幅が少なすぎるのです。手持ち無沙汰過ぎたので、ダメージトラック役をさせられたこともありました。正直苦痛な作業でしたが、理解できたことが2つありました。自分の攻撃タイミングが雑すぎることと、チーム全体の攻撃力が足りてないことでした。
どんなに状態異常を当てても、敵の攻撃を防いでも、敵本体が倒せないので互いの手数が減らず、特殊効果の処理ばかりが増えて、戦闘時間が伸びる一方なのです。D&Dの1ラウンドは6秒相当ですが、その6秒の処理に1時間以上かかります。実際の行動も6秒で済ませてるのは私だけですから、そりゃ出番時だけ呼んで下さいと意欲も落ちます。実際、武器と技コンボだけメモして、同行者化する考えは何度もありました。要は戦力になるNPC化。単純に1日1回強攻撃のダイス振るだけだから、誰でも使えます。

しかし、同行者化して他人任せでも、チーム全体の火力は増えなかったでしょう。他メンバーの高ダメージへの意識が薄く、勝敗決定力を軽く見てるフシがあり、冗長な戦闘は改善されず、私が火力上げるしかないとも考えていました。実はこれは前提が誤りで、冗長に感じていたのは私だけです。他メンバーは攻撃手順を入れ替え割り込み即応し、目まぐるしく動く大変な忙しさで戦ってました。いつまでも互いの数が減らないので、鈍い私の目には変化がわからなかったのです。

ではロールプレイ分では楽しめなかったのかと言えば、このキャンペーンでの前期登場NPCはほぼ全て敵なので会話が無意味です。どうせ殺すのに時間伸ばしてどうすんのと考えてました。私にとって、この頃の戦闘=待ち時間です。前口上だって待ち時間です。ずっと待って手番が来ても、ダイス目失敗なら即待機戻りです。だったら回転率上げたいじゃない。
この発想が後々まで響きました。NPCに関わるのは時間の無駄、会話時間は待機時間。夜10時まで今日もずっと待ち時間。そう思うと終盤戦闘に大技ぶっ放すために、後半からのこのこ参加すればいいやとなりました。当時から健康状態は悪かったのです。血管の具合がとくに悪く、内出血ブツブツ起こしながら、数時間座って待つのは実際の身体ダメージに繋がります。

私が不参加の前半部分は主に物語パートでした。私がいない間にパーティーは、殺戮集団から世界防衛チームに変わっていました。NPC達と交流し、重要な情報やアイテムをやり取りして基盤を固めていったようです。
置いて行かれた私は相変わらず、ぶっ殺し軍団実行部のつもりでした。しかし、ここで私が前半から出席し、物語場面に参加してたとしても変化なかったでしょう。殺伐とした性格は素です。ファンタジー世界に興味もありません。
と言うより、私は剣と魔法のファンタジー世界に対してかなり穿った見方があり、すごい神様・すごい魔法・すごい古代文明、これら固有名詞横文字設定の機嫌とらないと、出番も活躍も勝敗結果も全て無効化してひっくり返されると考えています。しょぼい能力値と装備で苦労だけさせられて、美味しいところはよくわからない根拠で、天才的異能使いが掠め取ってく世界。外国ではドラゴンがいつもボコられて、日本では美少女ヴァンパイアが無双する世界。それが剣と魔法のファンタジーだと偏見まみれです。ああいうのは何度も世界が滅びてループする定番だし、介入しても疲れるだけだと思います。


不信感の消えない、剣と魔法のファンタジー世界で待ち時間約7年。キャラクターは多少の反撃可能な能力値まで成長して、私自身も頭の霧が晴れて思考が明瞭化してきました。物語参加するには時期が遅すぎたので、相当に強引かつ理不尽なキャラクター交代劇を用意しましたが、失敗しました。これで世界認識の共感が不可能になってしまったので、あとは能力値向上しかやることがありません。

そこでルールを確認すると、レンジャー上がりは弱すぎるのが判明しました。もう何を楽しみにして良いのかわかりません。ここまでの時点だと、私にとってD&Dとは「待ちゲー」です。このキャンペーンも「待ちキャンペーン」です。参加メンバー内で最も無駄な時間を過ごしてるのが私です。
今まで続けたのだからモトを取らねばと、サンクコスト効果に走ったのが間違いだったのでしょうか。ここから私はより一層強引で理不尽なキャラ操作をするようになりました。

参加できない世界情勢は無意味と切り捨て、ロールプレイの完全放棄。ホロブンというキャラクターらしさなど、最早何処にもありません。
ルールの違法適用をGMに要請。公式ルールで取り消されたパワーを使わせろと要求したわけです。公式が変更したのは全体バランスを崩す能力と判断したからでしょう。果たしてそうかね。D&Dはキャラクター毎に能力ばらつきが大変大きなゲームです。他所卓の事情はともかく、7年以上延長戦時間切れを繰り返しているウチの卓では、殲滅力が圧倒的に欠けています。負けないけど、死なないけど、倒せない戦いが随分多い気がします。そんなところに、1発多くレンジャーが基礎攻撃足しても何も変わりません。変わらなさ過ぎるだろ。こんな無力な神話クラスが終盤に参加意義はありません。だからGMへの要求条件は卓の参加を賭けた瀬戸際交渉でした。エラッタ確認しなかった私も悪いのだけど、レンジャーのフォローアップブロウがルール変更されてるの知ってたら、キャンペーンも即抜けてたと思います。

この時点で性質の悪いプレイヤー自覚はありました。ロールプレイ無くして数値ばかりを追い、自分の都合良い強データを恣意的に使っています。マンチキンとかデータッキーなどと揶揄される行動です。
でも、ここはもはや悪いプレイヤーか、脱退かの2択しかありません。
もう楽しくロールプレイを公式ルール内で楽しむには、気づくにも回復するのも遅すぎました。今まで通りホロブン使ってたって楽しくない、楽しくなる要素も見当たりません。
なので、さらにデータ違法適用を重ねロボットにしました。楽しくないホロブンを続けて楽しむためには、看板そのままに中身を全改装しないと無理だと感じていました。
今までの鬱屈を全部ぶち込むつもりで改装したら、D&Dでもなんでもない巨大ロボの完成です。実は見た目とダメージダイス数の2要素しか変わってないので、他メンバーに行き渡ってるアーティファクト性能と比べると、些細な能力変化でしかないのですが。


ここで最も問題になるのが「ファンタジー世界に巨大ロボを持ち込んだ」点でしょう。場違いな悪ノリで空気と世界観を壊すし、最も食い合わせの悪い要素です。世間には両方混ざってる奴もあるけど、D&D世界内に限るなら火薬とエンジンは、優先待遇面で魔法に勝てません。
それでもなおロボ化したのは理由があります。単に巨大ロボ好きが1つ。

重要なのは2つめ。魔法主体世界の魔法は信用できません。魔法で得たパワーは魔法で消されます。すごい神様やすごい古代文明やすごいNPCは、簡単にこちらの魔法効果を打ち消せます。これまでディスペルやアンチマジックフィールドで無効化された経験が何度もあります。もしも今やられたら、+6相当ヴォーパル能力その他諸々消えて、戦力は12レベル分以上の弱体化です。だから素の能力を上げる必要がありました。魔法キャンセルでも消せない、本体そのものの物理的大質量を得るために、生物やめて鋼鉄ボディに変えました。これに悪ノリのつもりはありません。旧型のメカやロボでないと御都合展開ハイテク魔法影響から抜けられない気がしていました。割りと必死に考えました。

そんな方法しかなかったのか?
方針転換を考え始めた時点で、既にロールプレイ・キャラクター描写の楽しみは絶望的でした。時間配分は自分では決められません。残りは能力強化だけです。その強化もファンタジー世界魔法要素主軸では不安が残ります。
結論として異物として主張するか、卓から消えるかで、前者を選びました。私だってゲームを楽しみたかったのです。


ここまで長々と書いたけど、きちんと言い訳と反省文になっているでしょうか。最終回で自分の全力で放ったネタが完全スルーされたのは悲しいですが、共通世界観の破壊をしたことに変わりないので、無視で済ませてくれたのは温情なのかとも思います
逆状況を考えるならば、それまで8年間続いたハード系バトルメカアクション世界の最終回に、魔法ファンタジーキャラが突然現れ無双して終わる展開ですね。こらあかん。私なら相当な拒絶反応が出るわ。
卓のみなさん、ほんとすいません。

あと、その、あれだ。こうしてキャラ描写の過程を振り返ると、皆にスルーされたどころか、逆にホロブンが自己都合のために、他メンバーとの関係性を積極的に断絶してる場面が沢山ありました。ロボ化するにあたり、不要と判断して切り捨てた範疇にパーティメンバーの人間関係が含まれます。
ウチのぼんくらドワーフがまた変なこと言い出して、ストイックカッコイイとか思い込み、勝手に孤立していって、最後は取り返しつかない姿に成って出戻り、一人だけやり遂げた笑顔で勝手に自殺した。そんな間抜けエピソードに見えてた可能性は大いにあります。これにいったいどう絡めと。



でも、私はまた必ずやらかすと思います。自分だけのリスクなら誰も困らない。
帰り途の無い死に際パワーアップがやりたいのなら、FEARゲームやれば良いのでは。
メカロボユニットやりたいのなら、ファンタジー世界で無理せずに、素直にボトムズRPGやマッドマックス系ポストアポカリプス世界で遊べばいいのでは。
そんなシステムも機会も無いわ。ボトムズRPG出来悪いしな。だからメタルマックス延々とやってるんだよ。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 9

2017-12-23 00:55:12 | D&D4版 キャンペーン回想
ゲーム最終シナリオ当日。
開始直後に「3400GPください」とお小遣いをもらい、一人で船に乗り次元界メカヌスに向かいました。このキャンペーン中にホロブンが我儘を言ったのは、初めてかもしれません。そんな端金は既に分配した財産から出せるよ、とのことでしたが重要なのは「これからアイテム購入する」と周囲に宣言したことです。ピンチ時に後出し設定にならないための布石です。これが当日仕込みの小技。
劇中時間で二週間程ホロブンは留守となり、物語進行に関われませんが、無言地蔵キャラクターが何を今更。
機械次元界メカヌスで船を解体し、強化パーツに組み替えます。その間に再訓練で<騎乗>技能を取り、先の3400GPで「ステッドファスト・サドル」を買いました。これは所謂魔法のシートベルト座席。衝撃受けても振り落とされにくい機能があります。これをコクピットに据えて乗騎完成。
イェーガー「武鉄塊・滅」出撃します。

せっかく派手にお色直ししたので、物語佳境で勿体つけて登場しようとタイミング伺っていたのですが、勢力間調整するでもなく、タラスク襲撃に備えるでもなく、はよ来いや的な雰囲気で前座の戦闘が始まってしまったので、普段通りに戦線に加わりました。4倍も大きくなった巨大サイズボディに対して、他メンバーのコメントも特に無く、むしろ触れるなスルーしろな雰囲気すらありました。それは漠然とした雰囲気ではなく、実際対処に困っていたようで、ホロブンへの完全スルーはシナリオ終了まで徹底されます。写真のアングルにも入らないように撮ってたしな。

しかし、これはある意味で目的達成です。信じて送り出したドワーフが、ファンタジー世界から脱線して巨大ロボットになるなんて……、とドン引きされる程の路線変更を見せつけないと、これから出す高火力の裏付けには足りません。欲しいのは「イイネ!」の称賛ではなく「そこまでやるか……」という呆れと諦観です。これから馬鹿みたいなダイス数を振るのです。何だそれは?と疑問を挟ませず押し切る見た目のインパクトが必要でした。
というか、みなさん素の強さでタラスクに勝つつもりですか。ルールブックの数値見たら、限界突破せずに対抗できるような相手じゃないですよ。

前座戦とはいえ、敵の数も質も揃ってるので楽勝とはいきません。パワー温存して倒すには苦しい戦力でした。この戦闘にも独自ルールが入っていて、各プレイヤーの手順毎にNPCカードを山から引きます。カードにはそれぞれ、今まで登場したNPCと由来した特殊能力が書いてあり、使い捨てのパワーカードとして使えます。そう、使い捨て。常人が世界最終決戦に一仕事こなす代償は大きくて、固有パワー使用と引き換えにそのNPCは死にます。例外が数人いるけど、便利なカードはほぼ死にます。
このカードを最終戦に向けて集めながら戦いました。カード欲しさに戦闘引き伸ばすと何らかのデメリットがあった筈ですが、それなりの頃合いで勝ったので詳細を覚えていません。それは新型ボディの操作に私が慣れておらず、余裕の無い動きだったせいです。いざ普段の倍以上にダイス振るとなると動揺します。手順書作っといて良かった。


破滅招来体先遣部隊を蹴散らした後、この世界にとうとうタラスク本体が出現しました。頭だけ。このタラスクは頭しか無い個体、ではなく、この世界にまだ頭部しか顕現していない状態だそうです。頭だけでもその大きさは桁外れで、フィギュアが実物のフルフェイスヘルメットくらいあります。首から下が出てきたら2メートル超えそうな、コロッサルレッドドラゴンでも構わず一口で喰っちまいそうなサイズ。そこまでやるのか。やるよ、そのためにホロブンだって外見も内面も捨てて来たんだ、やってやんよ。

泣いても笑ってもこれが最終戦闘です。落ち着いていつも通り戦えばきっと勝てるはず。なんて甘い見通しでした。
1ラウンドでパーティーが満身創痍。
理由は単純で、タラスクは範囲攻撃・高威力・複数回行動なので、一気に大ダメージが全員に降り掛かったためです。これはいつも通りに小技搦め手撃ってる暇無いぞ。状態異常だ間合い取りだと手間かけてると、まとめて押し潰される。
これまでの戦闘は全て、各メンバーが連携を取り、戦場操作で優位な状況を固めていき、順にトドメを刺していく流れでした。私は戦況が整ったところを最後に詰めるだけの仕事です。ぶっちゃけ全く頭を使わないので、簡単操作だけど重要度は低い役割でした。タイミング指示されるだけで、自分が戦術決める場面など今まで無かったのです。

「いつラッシュ撃てばいい?」
「私達がラッシュに合わせる。いつ撃てる?」
最後の最後に来ました。ホロブン自身が考えて決める戦闘。後詰めじゃないぞ。ミス出来ないぞ。確実に当てて倒すために何が必要か。
難しい話ではありません。瞬間火力特化型の私が高火力出せるのは1ラウンドだけです。このラウンドに間合いを詰めて、次ラウンドで全弾発射します。
だから2ラウンドの間、私が倒れないように援護ください。次ラウンドにフィーバータイムを合わせてください。
安全装置解除、フォローアップブロウ・スタート。

いくぞ。

2ラウンド開始。周囲が牽制と援護に廻る中、このラウンド内に接敵します。フォローアップブロウを構え、移動、足りない距離をトプリングラッシュ(攻撃前に移動する技)で詰めました。
この接敵距離が次ラウンドまで維持できれば良いが、おそらく……。
タラスクの攻撃が1段、2段、と重なって来ますが問題はこの後。一際でかい火炎ブレスと爆風が吹き飛ばし効果を仕掛けてきました。
リング・オブ・エンデュアリングアース(指輪)起動。強制移動効果無視。
その場に張り付き、間合いを維持出来ました。

3ラウンド。おそらく皆がさらに援護・牽制をしていた筈。私に周囲を観察している余裕はありませんでした。手番が来るまであと僅か。しかしタラスクの攻撃がキツい。火炎放射が2発、3発。立て続けの高熱と爆風を受けてHPが半分を切りました。暴れるゴジラの至近距離に張り付いてたら、まあそうなるな。
底力使用、続けてさらに使用。
エネルギータンク、パージ。背中のタンクを両方切り離しました。
この時点で使いたくはない保険でした。ラッシュ反動で自分に入る自壊180ダメージから立て直すための回復機能だったのです。もう次ラウンドのタラスク攻撃を耐えきれません。
そこに火炎放射がさらに追い打ち。今度のは大きい。大爆発と吹き飛ばし効果。
ステッドファスト・サドル(座席)起動。強制移動効果無視。
この時のために3400GPでシートベルト付けといたんだ。タラスクの間合い突き飛ばしは、おそらく1回じゃ済まないと備えておいたのです。間合い維持。

そして私の手番が来ました。
先程受けた火炎放射ダメージが響いてます。どう計算しても次ラウンドの体力が足りない。このラッシュで自分も力尽きる。それがどうした、だからなんだ。フルパワーラッシュ撃つためにここまで来たのです。ルール上考えられる限り、最強の武器と最強の技と最強の体格を得て、最強の敵と正面から戦うために来たのです。最高の晴れ着メカだって用意しました。全てはこの瞬間のために積み上げてきたのだ、躊躇などするものか。

ライド・ザ・ジャイアントダウン。
巨人殺しクラスの固有技、自分より大きな相手に駆け上り、マウントを取る移動スキルです。ルール上で最大ユニットになる「巨大サイズ」のフィギュアに変えたから、通常なら「自分より大型」条件に引っかかるけれど、これだけ大きいタラスク相手だと杞憂で済みました。命中修正+2の有利。これが効いてなくても先にクローク・オブ・ドゥームという技で命中+2は稼げてるので、保険と演出です。

アクションポイント。アーマースプリンター。
巨人殺しアクションと合わせて初弾命中修正は+6。この初撃が当たるかどうかで次のラッシュ起動条件が変わります。ここだけは絶対外せない最重要起点。
なのでNPCカードを使用します。隣のラックルの手札内に、命中をクリティカルにするカードがありました。それ使います。

しかし、ラックルが渋りました。
は?私は一瞬彼が何を言ってるのかわかりませんでした。
曰く、このNPCは大きな領土を治める統治者で、この戦いが終わった後の世界復興に重要な人物だそうです。それがどうした、だからなんだ。ここでタラスク大暴れしてる最中から戦後の段取りか。もう勝った気でいやがる、ならば今から教育か、今からすんのか。
あんたら元々は出会った相手を一人残らず皆殺し行脚続けた虐殺軍団だっただろが。出て来るNPC片っ端から襲って殺したから、キャンペーン前半の人脈まったく広がらなかっただろが。昔の血生臭い行状を忘れたようなキレイ事を……そういやあの頃まだラックルいなかったわ。

それはともかく、今更NPCの1枚程度をなぜ惜しむのかわかりませんが、私以外は皆カード使用には気が乗らない様子。おかしい。いや、おかしくない。私のほうがおかしいのだ。皆は今まで必死こいて危機を打ち払いながら守った世界に愛着がある。そこに住んでるNPC達にだって愛着も湧いて、できれば全員無事に帰してあげたい。
私にはそんなの興味無いことでした。何もかも全て火力リソースにぶっ込んでいて、もはや自分の生死すらどうでも良いのです。自分の命が軽く、他人の命などなおさら軽い。しかし、ここで私は皆を説得する根拠が出せませんでした。「俺のために死ね」がなぜおかしいのか理解出来ませんでした。皆死ぬんだよ。同じだよ。
私は死ぬと凄いラッシュが撃てる。こいつが死ぬと必ずクリティカルが出る。だからカードを切ります。そして勝てます。2人コストは必要過程じゃないのか。

ここで急いで確定クリティカルを狙わなくとも、命中判定を足せる方法は他にもあります。まずはダイスを振って、その目を確認してから決めようと意見がまとまりました。では振ります。
クリティカル。
自前で出せました。NPCを犠牲にしなくて良かったな。ここでクリティカルが出たことにより、次から命中修正がさらに+4増えます。そういう技なのです。全部込みで+10。ホロブンは攻撃命中ダイスが1でもファンブルせず、振り直しです。そういうクラスなのです。この時点で攻撃命中修正値がタラスクの防御値を上回り、どうサイコロ振っても命中します。そしてクリティカルが出たので、このラウンド内に行動が1回増えます。そういうアイテムを装備しているのです。

つまり、ここからタラスクはおおよそ4D10+25程のダメージで20回殴られることが確定しました。
アーマースプリンターが2発。
ブレードカスケードが5発。
サークリングカスケイドが3発。
旧式フォローアップブロウでそれぞれ追加の10発。全部で20発。

随分長くお待たせしちまったけど、ここがクライマックスだよ。
旧式二刀流レンジャー・30レベルヴォーパルウェポン・巨大ドワーブンウォーアクス20連ラッシュ。最高状態に仕上げたので、是非あなたに受け止めて欲しい、タラスクさん。

まず20面ダイスを振ります。アーマースプリンター分の残り3発。技1段階づつダメージ算出します。被ダメージ量でタラスクが段階アクションを取るので、順を追って処理するそうです。

当時のメモを見ても、数字の山で具体的ダメージ量がいくつだったか正確には覚えていません。しかし、さらに2発クリティカルが加わり、総計100個以上の10面ダイスを振ったダメージが、600、700という、通常出てこない数値を連発していたのは事実です。
4桁のダメージを受けたタラスクが数度反撃に出て、至近距離から熱線放射を浴びましたが、ラッシュは止まりませんでした。ブレードカスケードを撃ち込まれ、14発被弾した時点でタラスクの体力が尽きました。2500ダメージくらい叩き込んでやったわ。
やった、倒した。
戦闘終了ですが、ラッシュ反動で自分も自壊ダメージを受けます。蓄積ダメージと合わせて体力はマイナス、気を失ったホロブンはタラスク上から転落しました。
アダマント・リカバリ。予備電源起動。体力が0以下になった場合に、HP10で自動的に起き上がる非常用保険機能です。なんとか歩いて帰るくらいは出来そうです。

しかし、ここでタラスクが逃走開始しました。こいつは「殺せない存在」なのでHP0になっても穴掘って逃げてしまうのです。まだ終わってなかったわ。既にHP0相手に物理攻撃は無効です。もう私の仕事は終わったから放置してても良いのだけど。だけど。
渾身の全力アタックで叩き潰した相手なのに、最後に逃げ切られたら癪だな。
アクションポイントがまだ残っていました。タラスクがラッシュ途中で倒れたせいで、不発に終わったサークリングカスケイド分のを使って標準アクションを行います。
タラスクに組み付き。力のルーン<大腕力>筋力判定に+20。
結果はそれでも失敗です。STR元値が違いすぎるので勝ち目はありません。そうじゃないんだ。これは時間稼ぎだ。こいつが潜るまであと数秒間に誰かが仕留めてくれればいい、もうタラスクの体力は無いんだ。今ならやれるんだ。

ガンダルーブが即動き、タラスク牽制に出ました。続いて死神リリィがトドメ。
上出来です。何者であろうと絶対死させる死のルーンのパワーが刺さり、タラスクは息絶えました。

勝利した皆は凱旋を祝い、それぞれの生活に戻ったようです。

私はそこに含まれていません。
タラスクに組み付きを振りほどかれた後、ホロブンはその場に膝を着き機能停止しました。誰もそれを顧みず、初めからそこにそうあった物のように無視して帰還していきました。
何度も高熱に炙られたコクピットハッチが剥がれ、中からのっぺらぼうの人型をしたものが転げ出し、そのままタラスクの開けた次元の虚無の穴に落ちていきました。重心バランスが崩れた機体も同じように転げ落ち、虚空に消えました。
その穴もやがて小さく閉じていき、もう跡には何も残っていません。

破滅の先触れは、それに相応しく惨たらしい最期を遂げました。これが記事冒頭で書いた、誰とも人間関係を築けず一人で迎えたバッドルートの顛末です。
他人どころか自分までがんがん切り捨て続けただけでなく、最後にやりたい放題やったので「関わらんどこ」と放置されたのでしょうが、物語の結びとしては大変気に入っている展開です。元々私は全てキレイに収まるハッピーエンドより、多少苦いトゥルーエンドを選ぶ性分です。これだけ暴れた後を残り平穏に生きるとか都合良すぎると考えるので、どこかで派手に死なせるつもりでした。先にまともな死に方させないとも書きました。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 8

2017-12-23 00:54:01 | D&D4版 キャンペーン回想
素体は「ガンダムAGEタイタス」とにかく関節がよく動き、特に肩周りに力を込めたポーズが上手く再現できる理由で決定。ただし、そのままでは多少塗装したくらいでは消えないガンダム臭さがあるので、手を加えてパーツ印象を変える必要があります。

その前に、ホロブンの意匠の取捨選択をします。今回巨大ロボ化するにあたり、そのまま縮尺率変更したような姿にはしません。一応ゲームシナリオという物語の登場人物であり、周囲の他プレイヤーも一緒に行動するので、動機の整合性は取りたいところ。ホロブンはなぜ巨大化を望み、どこから巨大化していき、どこの機能を省くのか、をキャラクター内面を鑑みて決めていきました。巨大ボディに移植するにあたって、ホロブンが成立する条件と、その境界線を探します。

・緑色の服と、右のレッドショルダー
・一本角兜(ドワーフ兜は二本角が多い)
・鼻筋の通った彫りの深い顔
・2丁の戦斧
・揃いに束ねられたヒゲ
外見的特徴はこのくらい。ここから個人を特定しやすい要素を引きます。顔や服は戦闘能力に無関係なので削除。するとただの斧ガンダムになったので、角とヒゲを足します。角はドワーフ少数派の一本角記号。ヒゲは逆に、それさえあればなんでもドワーフに見えるくらいの一般記号。
これで「ホロブン個人由来要素は無いけど、能力装備要素は再現された」シルエットの似た別物になりました。
なぜ、敢えて基本デザインを変えるのかというと、ホロブンの内面的特徴が「火力追求以外はどうでもいい」だからです。強くなるために自分の省ける部分を躊躇なく削れる人なのです。生命・財産・感情など個人に帰属するものは真っ先に捨てました。ならば巨大ロボ化で強さに影響ない色と顔は不要です。

二週間という僅かな時間で、ぼんやりと4倍サイズに拡大するなら、手っ取り早く身体構造はそのままに、質量を増していく形になるだろうと考えました。これが二千年とかの長期間かけて自己進化などの話なら、武器と動力が直結した単純な形状になってるでしょう。モーター(動力)とプロペラ(刃物)だけ付いた子供の夏休み工作みたいな奴。

そもそもホロブン自身のオリジナルはシナリオ本編途中で消滅しており、今動いてるのは複製品です。何を持ってしてホロブンと呼ぶかは攻撃性能に依ります。
・ヴォーパルドワーブンウォーアクス2丁
・旧式フォローアップブロウ
・フルパワー攻撃負荷を1回立て直すリカバリ
これら条件を満たしたキャラクターシートの数値を、私はホロブンと呼びます。

では、これら条件を巨大サイズに再構成します。
ガンダムタイタスを素体に若干パーツを切り貼りし、可動範囲を広げたり、ガンダム意匠を消したりします。
両手にデカイ斧を装備。戦う以外の行動しないのでがっちり接着します。死んでも武器は外れません。むしろこれが本体。
意外と重要なのがヒゲ。下顎と胸にかけてギザギザしたものが並んでいますが、これはノコギリの刃です。ホロブン無意識下でボディを再構成したら、獰猛な本性がそのまま反映されて、以前と似て異なる姿に変わった象徴部分にしました。もはやドワーフなど辞めました。額と顎の増加装甲で顔の表情が見えないのも、他者とコミュニケーションをとる必要が無いためです。
そのまま取ってつけた一角を頭に装備。これで、斧、角、ヒゲが揃ったので生前ホロブンの60%は再現できました。これだけ意匠あれば十分でしょう。

足首周りの装甲をノコで切り離して、可動域確保して付け直し。これで深く腰を落とした踏ん張り姿勢が取りやすくなりました。背中にはデカイ背負い物着けたいのですが、ガンダムの背中は平坦面が小さいうえ、斜め形状でどうにも活用しにくい。元々ホロブンは瞬間的に80%程の体力回復が可能で、その能力も見た目に反映したいと考えていました。具体的にはドラム缶2本背中に背負って、回復後にガランガランと切り離して廃棄する感じ。その体力タンクがどうしても2本並べて背中に付けられない、ガンダムの背中では小さいのです。横に並べないなら、縦に並べようと強引にアームで接続しました。タンクからチューブを胸部装甲内に伸ばして、外付け補修材らしき外見も整いました。

次は塗装。私は元来塗料使いが下手糞で塗装は敬遠するのですが、最終決戦用キャラくらいはしっかり仕上げてやりたいところ。シナリオ内でもせいぜい二週間程度の時間しかないので、突貫工事で作って塗装してる暇は無いでしょう。金属の地金むき出しなのはシルバー単色で楽だと思いました。元シルバーそのままでは色調が明る過ぎたので、結局調色して塗り直し。溶剤の加減がわからず、ボディパーツが割れてしまい、もう一度作り直したり大変でした。
色配置にもこだわりがあって、基本ボディは暗めのシルバー。内部駆動機関が覗く部分はゴールド。増加装甲が間に合った部分はブラック。な具合に構造と製材の違いが見てわかる感じに色分けしました。
見た目の割に苦労したけど、完成した出来には満足しています。キレイな展示品ではなく、卓上で動かしてポーズ取らせる駒なので分かりやすさ重視です。

ここで一旦完成したつもりでした。

ゲーム直前にぱーるさんが「アニメやゲームからそのまま持ってくる二番煎じはオリジナルを超えられない」とか呟いてました。今それを言うのか。達成感が揺らぐだろ。
ゲーム本編は翌日です。
まだ足りないよね。オリジナル要素欠けてるよね。ガンダムだし。

見た目に意志が足りてない気がします。
ホロブンはずっと意識が薄いと書いてきました。しかし、言葉に表さなかっただけで、こいつには8年間終始一貫した指針がありました。徹底した損害採算度外視の超攻撃型戦法です。ラッシュ攻撃フルヒット叩き込めるなら、なりふり構わず全て犠牲にする一極集中志向。自分が倒れようが出番減ろうが大した問題ではありません。一言呟くエネルギーすら無駄遣いしたくないから喋らないのです。
台詞は皆無。人間関係も放棄。地位財産も最小限。しかし、振るう武器は世界最強。使う技は違法禁則。反動負荷が身体を蝕み、稼働維持わずか12秒。それでもなお高火力の果てに届かず、もはや肉体は能力の枷でしかありません。貧弱なW数1D12を2D10に増やすため、私はドワーフ辞めるぞ。
フィギュアの変更は身体の放棄と同時に8年間の容姿さえも捨てました。明言しなかったけどホロブンは次回の強さを得るために、これまでの想い出すら犠牲にしたとも解釈もできます。実際そのつもりです。
武器を振るう躊躇に繋がりそうなしがらみは、少なく軽い方がアタッカーに都合が良いのです。


何も拠りどころの無い希薄な人格が、何度もアイデンティティ喪失を繰り返し、最後は毎回死にかける程の自壊ダメージを負う戦闘方法でしか自己確立できなくなったら、何らかの変調きたすのは当然だと思います。何もかも捨て去って殺傷力だけが残りました。
しかしこれは狂気描写ではありません。世界最強攻撃能力は、そこまでやるだけの価値と必要があります。ホロブンは徹頭徹尾目的遂行に尽力していただけです。本気で素面でこれが平常。

そんな傍目には異様な、本人には当然な、とうの昔に肚を括りきった性格をフィギュアに表現します。奥まった顔から強固な意志が覗くように、額の装甲板を切り欠きました。目の形状も塗り直しました。元ラインより細く絞った形に変え、瞳を描き込みました。ここで失敗したら、8年間の全てが無駄になります。瞳のサイズは大きくても小さくてもいけません。0.01ミリ単位で表情が変わります。
やった、出来た。
技術よりも気負いの問題。良いサイズの目が狙い通りの視線で描けました。
どうあっても消えない曲がらない不屈の意志を込めた、標的を見据える冷静な瞳にしたつもりです。ただの三白眼とも言います。


巨大サイズのホロブンフィギュアが完成しました。
クラス「破滅の先触れ」が己を呼び水に顕現した破滅本体を迎え撃つために、僅か二週間の突貫工事で建造した強化装備です。とはいえ、民間輸送船を解体した資材を単純に組み合わせて作ったハリボテで、腕部先端の強度と重量以外は無意味なパーツの塊でしかなく、受けるダメージも操縦手に素通しです。接敵面が4倍に増えたせいで被弾リスクも上がり、巨大サイズ相応の回復力を補うために大型増加タンクを強引に背負い、使用後はそのまま廃棄するなど、武装として非効率な欠陥が多いのですが、攻撃力だけは本物です。両手に固定されたダブル・ヴォーパル・ドワーブンウォーアクスは、元武器に100倍以上の金属を喰わせて質量を上げた特別製で、おそらくD&D世界でもかなり珍しい巨大サイズ30レベル武器。その基本ダメージは10面ダイス4つ。それを両手で2回撃つ。さらにキャラクター能力により1の目は振り直し、10の目は振り足し。
つまり10面ダイス8個振り、低い目は打ち消され、高い目は増え重なります。普通の片手剣が6面ダイス1個の世界で、この数の暴力は脅威です。
そんな脅威は普通シナリオだと許されないのだけれど、カイジュウ・タラスクを殴り倒すためだけに特別製な鉄の狩人を作りました。この世界で最初のイェーガー、名付けて「武鉄塊・滅」なんで漢字名なの、カッコイイからだよ。「武(勇の)鉄塊(を着た)滅(ぶン)」という意味だよ。
どうせ1回の出撃で使い潰す消耗品なのに、設定は盛りに盛りました。先程またパシフィック・リム観てたからな。機体名「ハービン・ドゥーム」の方がイェーガーらしかったかな。


最後の仕上げはキャラクターシートのデータ再検証。
攻撃力ダイス数が跳ね上がったので、操作感覚も変わります。D&Dでは1度にD10を10個以上振ることなどそうそうありません。今までの経験では一度も見たこと無い場面ですが、次回は頻発すると予想できます。そこで周囲から「それはおかしい」と指摘されても動揺せず続行するために、操作手順書を用意しました。
基本攻撃:4D10の2回攻撃(ダイス8個だがこれが普通だ)
クリティカルが出たら18D10を足す(重要なことはダイス量にビビらない)
2回でたら36D10、3回出たら54D10。つまり一度にダイス50個以上振る場面が有り得ます。結果から言えばそういう場面になりました。50個どころではないダイス数、1を振り直し、10は振り足し、膨大な数値に動揺して手が震えましたが、この手順書のおかげで混乱せずに済みました。大量のダイスを飛び散らさないよう、A4クリアファイルの蓋枠内で囲んで振る工夫もしました。
30レベル分の能力値と特技とパワーと装備も全部ルールブックと突き合わせて、数値の過不足や能力効果を確認しました。
能力値計算OK。
防御用スキルOK。
ブースト用スキルOK。
非常用機能各種OK。
前回拾った新アイテム「力のルーン」の性能確認。専用パワー「大腕力」STR判定にダイス目20として使える……覚えとこ。


長かったホロブン強化作戦も終了しました。まだ一つ小技が残ってるけど、それはゲーム当日に仕込みます。積めるだけの数値は全て積み込みました。
これが8年かけた成果です。思い返せば上手く行ったり行かなかったり紆余曲折しまくり、期待と落胆の繰り返しでしたが、手持ちの中でホロブンは最多回数使用キャラになっていました。使っててこれほど痛めつけたキャラクターも他にいませんが、まだ終わりじゃありません。
攻撃力増強のために違法改造2回もしやがって、こいつ絶対まともな死に方させないからな。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 7

2017-12-23 00:53:13 | D&D4版 キャンペーン回想
「タラスク」というのはD&D公式ルール内で最強とされるモンスターです。能力値データはどれも圧倒的な高数値で、キャラクター達がまともに戦える強さではありません。デザイナーがゴジラを再現するつもりで作ったそうで、本来ならば倒せない、対抗出来ない超巨大厄災の権化という位置付け。存在感知したら逃げろ、諦めろ、そういう相手です。

でも私は正面から戦うつもりでした。もう勝ち負けの問題ではありません。ホロブンはこの世界最強武器を持って、世界最高効率の攻撃技も備えました。この状態で世界最強のモンスターに挑める機会なんてそうそう無いでしょう。
全力でタラスクに挑む、それが果たせれば思い残すことはありません。

だがしかし、これは全力だろうか。まだ到達していない領域がある気がします。
ルールブック内の戦闘手順解説にサイズ関連の記述があります。通常のキャラクターは中型サイズ。その上には、大型、超大型、巨大、とまでサイズ規定があり、大きいほど基本ダメージダイスが上がります。もしもホロブンを巨大サイズまで拡大したなら、基本W数は4D10の2丁持ち、10面ダイス8個が巡航火力です。
これは巨大化しなくてはなりません。以前からホロブンは行動がロボットみたいなところがあって、最終回は巨大ロボになりたいなどのネタを話したりしていました。でもそれは「HOPEの艦首がホロブンと合体してガイキング化する」等の冗談の内でした。GMも巨大化してもいいけど数値は変化しないよ、と流す話でした。
しかし今回は真剣です。

巨大ロボの外見欲しいだけなら、D&D世界にはウォーフォージドという機械種族が居て、ロボ系キャラクターを使えます。しかし能力的にやや不満があり、おそらく「感情を持った人間臭い機械」キャラ向けを想定してるパラメータでした。感情描写要らないから機械の大出力が欲しい私とは、目指す方向が正反対です。それでも自律メカ存在の根拠程度にはなります。

早速GMの盗り夫さんに打診しました。初めはまたいつものネタ話と受けたようでしたが、リソースとロールプレイ分もつぎ込んで、最終決戦兵器にしたいと伝えると「それならば理由が要る」とのこと。GMが強くなる許可を出すのも重要ですが、今まで無かった数値を足し増やすにはルール内での装備スロットなり、クラス特技なり、数値の根拠が無いと他プレイヤーに対して、自分オリジナルルールで優劣を付けることになるので、巨大になりたい願望だけで巨大化は無理だそうです。そらそうだ。D&Dゲーム中で「ボクはねウルトラセブンだったんだ」と発言したところで、変身も巨大化も出来ません。ゲーム間違えてるよ。
でも今回は相手がタラスクです。D&D版ゴジラを正面から戦って倒さないといけません。天才科学者の居ない世界では、誰かがウルトラマンにならないと怪獣に対抗出来ない気がします。何か無いか、巨大化できそうな装備、魔法、パワー、クラス、なんでも良いんだ。

しばらく経ってから盗り夫さんが「乗騎はどうだろう」と。
乗騎。その発想は無かった。
しかし、30レベルの対タラスク戦に通用する乗騎などあるのか、ありません。基本的にどこまで強化しても本人が身体張って戦うのがD&Dの作法です。乗騎ごときで勝敗決まってはいけないシステムです。盗り夫さんが海外分も合わせて乗騎データを検索してくれましたが、そのまま使えそうな乗物はありませんでした。ならば参考にして作るだけのこと。
とはいえ、特別製乗騎データを今から設定するのではなく、処理的には巨大サイズ相当のW数まで身体拡張する着ぐるみ状のもので、それ以外の数値強化は無し。つまり武器だけデカくなって射程や防御には効果ゼロの乗物。許可できるのはそのくらいの性能だそうです。それで十分です。おそらくシナリオ内では二週間程しか時間猶予がないので、その時間内に強化服を組み立て、<騎乗>技能も取得しないといけません。

これでサイズが決まりました。巨大サイズの強化服。いわばパワードスーツ。それに合わせて道具を揃えます。
まず10面ダイスがたくさん必要です。30個ほどじゃらじゃら買ってきました。場合によっては50個以上一度に振る場面も想定されるので、これでも最低限。

最重要はフィギュアです。私の参加卓ではマップ上にメタルフィギュアを置いて、実際に位置取りをしながら遊びます。見た目のビジュアル面は卓上フィギュアが全てですから、これを用意しないと実際の容姿が伝わりません。もう長いことやってるから、全員キレイに塗装されていて、今更そこに無塗装や適当なアイコン駒を出すわけにもいかないのです。

しかし、この巨大ホロブンフィギュアを用意するのが、殊の外難航しました。
ホロブンの意匠をどこまで再現するのか、の判断が非常につけにくいのです。そもそも私は長年使ってるホロブンというキャラクターの外見が、あまり好きではありませんでした。ドワーフは頭身が低いうえに顔の造形が濃い目で、日本人受けしないデザインだと思います。それに長年ホロブンの内面も一種の異常人格として扱うのが定着していました。
人格の希薄なキャラクターが無意識で変身を遂げたとしたら、それは果たしてどのような姿になるのでしょう。そしてその姿を次のゲームまでに、決めて、組み立て、色塗って、仕上げていかないとなりません。これは難題です。
順を追って消化するために条件洗い出しました。

条件①
高ストレングス。終始一貫してホロブンは腕力で進んで来ました。そして腕力に拠る攻撃力が他のあらゆる要素に優先されます。善悪、好き嫌い、そうした条件に全く影響されない歪な程純粋な暴力装置。ただ攻撃力を上げるだけが目的で、他はどうでもいいのなら、最初に考えるのは強力な腕と武器。

ここで候補が3個挙がりました。
1/144ガンプラで「ガンダムAGEタイタス」「BFハイモック」、バイファムARV「ガッシュ」。
どれも腕が太く力強いポーズがよく決まるプラモデルです。サイズ的にも卓上で巨大サイズ用4×4マス土台に乗せるのに丁度いい大きさです。

条件②
前傾姿勢。頭より高い位置に肩と背筋があると、腕力が強すぎて背筋が伸びず自然と前屈み体勢になるのではないかと思います。アメコミの怪力系キャラがよくそんな誇張表現されてます。そうしたゴリラ体型素体ならば、ハイモックは前傾姿勢が取りにくいけど、体型と稼働範囲が優秀。一方でガッシュは設計が昭和のキットなので、ポーズ付けはやや見劣りします。それでも体格のパーツバランス等がホロブンのイメージと良く合い、ホロブンが異質な技術で身体拡張したなら、こうした宇宙人ロボ型も似合う気がします。タイタスは戦闘時の構えポーズが別格なほど良く決まりますが、胴と頭がモロにガンダムなので加工作業も一番多いでしょう。
あれこれ考えても結論はなかなか出せず、いい加減疲れてしまいました。

映画トランスフォーマーにハウンドというロボットが居ます。緑色のメタボ体型髭親父ロボで、見た目も中身もTFに典型的ドワーフ要素を乗せたら、こうなったてな感じでした。試しにそのハウンドの玩具の両手に適当な斧を持たせてみました。玩具はやや体型スリムだけどいい感じに髭親父メカドワーフ戦士に見えます。見えなくもない。その上可動範囲は非常に広く、ポーズ付けが大変良く決まります。斧を構え、引き絞った姿勢から、一気に振り抜いた状態まで、いちいち格好良い。どうせ仲間内のゲームだし、そのメンバーならハウンドの顔みて「ホロブンと似てるね」と同意してくれるでしょう。どっちが先かで似てるのかで言えば、緑色髭親父キャラなんて昔から沢山いるので他人の空似です。気にすんな。


そんなふうに気分が緩んでいた時に、盗り夫さんがツイッターに画像を上げていました。ダンボールで怪獣の頭らしきモノを作ってる作業途中の写真。バケツくらいの大きさがありそうな、実際に被れそうな、ほぼ等身大サイズ怪獣の頭部でした。盗り夫さんは器用で何かといろいろ作る人ですが、この人の作成物はほぼ全てゲーム絡みです。
この怪獣ヘッドをどこで使うのか。決まってんだろ、私たちにぶつけて来るんだよ。
ホロブン、あれと戦うのかー。たいへんだね。

大変だ。ハウンドでいいかーなど呆けてる場合か、手間暇を惜しんでたら「見た目の格」で負けるぞ、いや勝負どころか土俵にも上がらせてもらえない。こっちもホロブンロボを用意しないとダメだ。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 6

2017-12-23 00:52:24 | D&D4版 キャンペーン回想
最終シナリオ開幕です。混乱した世界情勢、不透明な育児計画、それらを一度に捌くため、GM盗り夫さんが独自システムルールを作ってきました。

でかい世界マップが広げられ、各勢力駒がそれぞれ拠点に配置されました。この期に及んでさらに新たな謎の襲撃者が現れた様子。従来敵対勢力も不穏にこちらの様子を伺っています。そして、今までのキャンペーンで関わったNPC達は協力者として加勢してくれるようです。それらを前にして「各々自分の目的に沿ってさあ動け」だって。タクティクスオウガかよ。

勢力図とか自分にあまり関係ないしーとリリィ育成しようとしたら、そちらもルールがあって、1ラウンドに「誰が」「何で」「どういう方針の」育成するかで、子供の成長具合とアライメントが変わってくるんだって。時間的余裕は少なくて、シナリオ終了までに30レベル到達しなかったら育成失敗。終了までのカウントは、ダイス目次第で開いていくパネル式。適時ダイス振りながら、期間内に娘を一人前に育てないとなりません。プリンセスメーカーかよ。

現状では世界中に紛争が起こっているので、保護者1人では巻き込まれると対抗できません。3人くらい固まると危険にも立ち向かえますが、育児方針は割れます。くっそ良く出来てんなこれ。そして育児組は協力関係者が少なく、オウガ的な強さに欠ける駒で、安定した育児環境を得るなら他の有力駒との連携が不可欠です。ほんと良く出来てんなこれ。

さあ、プリンセスオウガバトルメーカー始めんぞ。
ホロブン(HOPE)が「運動」で「カオティックニュートラル」で育児判定。
メルセーデが「宗教」で「ローフルグッド」で育児判定。
ガンダルーブが未入手のルーンを捜索。
ラックルはアンダーダーク周辺の敵対陣営と戦闘。
レイオットが「彼方の領域」からの侵略者と戦闘。

始めのうちは進行も混乱気味でした。
カオティックだローフルだと養育組が不安定な一方で、戦闘組は敵対勢力を幾つか打破していました。ダイス目もあるけど要因は協力者。今回のルールは「人数」が駒の強さに直結するため、これまでずっと領地安定に努めてきたレイオットの元にはNPC達が集まり大勢力になっていました。戦いは数ですよ。そして運良くアンダーダーク周辺の敵勢力が一掃されました。チャンスは今だ。
ホロブンは船を持っていますから、他キャラよりも移動力が高いのです。いつもならアンダーダークには裏社会勢力が睨みを効かせていて、気軽に訪問できる場所ではありませんが、そいつらは今レイオットがぶっ飛ばしてくれたので、遮る者は居ません。引きこもってる元養母フィネスに面会しに行きました。

船首の衝角にものいわせて、障害物をぶち壊しながら最深部まで急行しました。エッジの作った結界に呼びかけてフィネスを出してもらいます。向こうも一大決心して封印されてるのわかりますが、現行の死のルーン保持者育成には必要な過程ですから、強引に母娘の対面を果たしました。
当事者には申し訳ないけど、残り時間は多くありません。シナリオ終了までにリリィには30レベル死のルーンマスターになって、世界と向き合ってもらわないといけないので、家族間の軋轢や成長期の葛藤など個人事情は手早く済ませます。今時、思春期メンタルの死の神とか痛過ぎるのです。
リリィさん、あなたの養母は育児放棄で、祖母は児童虐待の常習犯だ、言いたいこと、やりたいこと、今ここで全部済ませなさい。反抗期タイムは一晩で片付けるぞ。凡人並にグレてる暇無いからな。
母娘の会話はなんだか気まずそうに始まり、ぼそぼそ語り合っていましたが、どうやら穏便に済んだようでした。家庭内で合意を得たので次は訓練と学習です。普通だと、ここでビシバシ厳しくフルメタルジャケット訓練しがちですけど、そういうのは雑兵の数を揃えて均一化する場合です。リリィは特別な子で育成失敗出来ないオンリーワンなので、トレーナー役が専門カリキュラムで丁寧に教育します。

育成組がそうこうしてる間に、また戦況が変化しました。
地獄周辺の勢力が弱まったようです。地獄の大ボス・アスモデウスに会うチャンスです。どのみちリリィから死のルーンを剥がす件で、メルはアスモデウスに用があったのです。では会いに行こうかというところで「アイツいっぺんぶん殴ってやりたい」とメルセーデが。この浅はかな聖女は、たまに結果を考慮しない言動が出ます。でも、まあ、ぶん殴るのはホロブンの仕事ですし是非を問う気もありません。殴り倒した後なら、こちらの要求も通しやすいでしょう。それなら確実に勝たないとな。
現状だと乗船メンバーだけでは対アスモデウス戦に戦力が足りません。増やすアテはあります。船を飛ばしてレイオットさんを迎えに行きました。今のレイオットさんには各地の有力者が軍勢に加わっていて、強大な勢力になっています。その協力を得ればこちらの戦力は3倍以上に強化されます。地獄のアスモデウス軍にだって十分な勝ち目があります。
では「いっぺんぶん殴り」に行きましょうか。リリィ、実戦ですよ。無理せず出来る範囲だけで戦いなさい。
当然ながら、敵も地獄の総大将なので世間への面子があります。売られた喧嘩は高値で買ってくれる以上、簡単には終わる筈もなく、やはり結局殲滅戦になるのです。
普通は倒せない、倒しちゃいけない物語上のフレーバー悪役ですが今回は、
・卓に配置する駒として能力値が決めてあった。
・こちらが想定以上に戦力を集中した。
・襲撃理由がその場の思い付きで予想対策する暇が無かった。
等、不幸な偶然や誤解が重なり、アスモデウスは倒されました。

大きな経験値が入ったのでリリィ育成は捗りましたけど、世界はなお一層混乱しました。地獄のデヴィル軍団の統率者が倒れたので、抑えが効きません。メルは死のルーン事案の解決策が一つ消えたことにようやく気づいたようです。アスモさんにお願いする前に倒したので、こっそり裏交渉でリリィから死のルーン剥がしてもらう作戦も頓挫です。やっちまったな。

敵対勢力の撃退にほぼ成功し、各地のルーンも幾ばくか回収し、シナリオも終盤。リリィの育成があと少しだけ足りない。29レベルとなんぼ、30レベルまであと1イベント分、経験値が不足しています。やれるだけの育成はしましたが、ゲームではこういうこともあります。でもそこをGMがサービスで上乗せしてくれました。最後の詰めを本来の養母フィネスが出てきて、娘に言付けして30レベル到達。母の後を継いで撃破役として生きることを決めたようです。
そして育成した結果のアライメント属性は「ケイオティック・ニュートラル」混沌にして中立。外部規範に縛られず、善悪どちらにも与しない、完全自律自決型個人。概ね狙い通りに仕上がったので、私は満足です。
これからリリィは自分で決めて死のルーンを使うでしょう。対象を決めるのも、実行するのもリリィ本人が考えて判断し、その結果恨まれたり憎まれたり感謝されたりするのも彼女自身に向かいます。その覚悟は決まったようなので、私の育成業務も終わりました。

自分で勝手に背負い込んだ肩の荷が下りて、ホッとしてるのは私だけです。今回の大戦結果に世界上層部は大激怒。
・危険な死のルーン保持者を監視どころか、勝手に鍛えて野に放ったため制御不能になった。(HOPEが悪い)
・地獄の首領アスモデウスが倒れ、秩序悪陣営の統率が効かなくなった。(メルセーデが悪い)
・彼方の領域(クトゥルフ系勢力)からの侵食を許し、一部の区域は取られた。(レイオットが持ち場を離れた)
・正体不明のモンスターが突然湧き出し、あちこちのルーンをボリボリ食い始めた。(それは関係ない)

レイオットが持ち場を離れたのは、私がアスモデウス討伐に呼び込んだせいです。メルセーデがアスモデウス倒したのは私が制止どころか手筈を整えたせいです。リリィが野良死神になったのも私がやりました。新種のルーン喰いモンスターは破滅の端末だそうです。これから破滅招来体モンスターがこの世界に来るので、その先遣隊みたいな存在。破滅本体は「タラスク」というモンスターで、今暴れてる子タラスク達は元を撃退しないと延々湧くようです。唐突な新敵キャラ・破滅招来体の登場ですが、破滅の先触れは既にありました。私は「ハービンジャー・オブ・ドゥーム」です。和訳すると「破滅の先触れ」です。
世界がヤバイのも、ポストが赤いのも、全部私のせいです。私が悪いのです。

次が本当の最終シナリオです。
次回「タラスク襲来」

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 5

2017-12-23 00:51:28 | D&D4版 キャンペーン回想
ようやくモチベーションが変わってきたけど、シナリオは最終時期に差し掛かっています。全力で戦える機会はそれ程残っていないでしょう。実際3~4回くらいしかフルパワー撃ってない気がします。
キャンペーンでの宿敵ポジションの邪神・強化型巨大オルクスはGM独自のデータが作ってあって、行動回数が多く、ダメージを一定割合受けるとモードチェンジします。ホロブンがフルパワーヒット当てに行っても、途中で割り込みや即応アクションが入り、ラッシュがキャンセルされます。気持ちよく戦える相手ではないらしき情報を先に聞いていたので、まあこんなものかと。

最終一つ手前シナリオの相手はドラウ軍団。邪神ロルスの策謀やら死のルーンの争奪が絡んできますが、根本は家庭問題です。虐待ドラウ一家とそれに立ち向かう娘フィネスと仲間たちの戦いです。家庭裁判所の無い未開社会が舞台なせいで、ありふれた家庭問題が拗れて神話級の災厄まで膨らんでしまったのです。結局殴り倒して解決しました。
ドラウの社会構造が基本的に弱者を弾圧搾取して成り立つものなため、今回の件が片付いてもまた似たような家庭が似たような問題を起こすでしょうけど、それはうちのキャンペーンとは関係ない話です。
ここまでのGMがomoteさんの担当。

最高レベルに到達してもう成長の伸び代は無いけれど、最高の能力をもう少し堪能したいので、キャンペーンももう少し続きます。GM盗り夫さんのサービスです。


長期キャンペーンのシナリオフックとして「死のルーン」というのが中盤からちらほら出てきていました。名前は物騒ですけど、所持者の攻撃力が上がるわけでもないらしく、私には使い道のない無用アーティファクト。しかし他メンバーにとっては重要項目で、終盤に進むほどに取り扱いに困っていたようです。悪用したら大災害直結する強力かつ危険な代物ですが、世界の必須構成要素なので無くしても困るという、厄介アイテム。これまで戦ってきた巨人族だのオルクスだのロルスだのレイヴンクイーンだの、皆この死のルーンを入手して世界のトップを取る野望を燃やしてました、たぶん。通常アイテムのように簡単に他者に譲渡できるものでも無く、基本的に所持者が死亡しないと他に渡せないそうな。D&Dが高レベル帯に入ると死亡もやや重めの状態異常でしかないのですけど、この世界はなぜか随分と死を恐れます。ほいほい復活できるし、アンデッドもそこらじゅうに居るし、行動に支障きたすわけでもないのに、いまさら何の問題でしょうか。
相続の問題です。

死のルーンて分割できるのです。
細切れになったルーンを悪者たちと取り合いしてたのが、メインシナリオの物語です。当初の予定ではフィネスが右腕に死のルーンを仕込み、対家族用必殺武器にしていましたが、別に家族以外相手でも必殺武器なので、敵対勢力をばんばん倒して行けるのです。すると悪側とはいえ一勢力のボス達がばんばん消えて、悪の勢力組織図が空欄だらけになりました。こらあかんとフィネスは思いました。個人の怨恨で世界の力関係まで崩してはいけない、悪陣営とはいえ世界のバランス均衡には必要です。かと言って今更復讐も止められないし、敵側も止まってくれないので、用事が済んだら即引退することを決めたようです。
目的を達したフィネスはアンダーダークという物騒な街の最深部に向かいました。最終シナリオまでは付き合えなくなったけど、何かと危険な「死のルーン」を自分ごと封印するためです。30レベルシナリオGM予定の盗り夫さんPC・ヒドゥンエッジも今後参戦できないので、NPCとして同行しフィネスを疑似次元界に封印しました。

しかし、ここで予定外のアクシデントが起こり、パーティメンバーが全員今後の方針で大悩みする羽目に。原因は先程倒した悪神ロルスの置き土産でした。
フィネスには養女がいました。「リリィ」という10歳位のドラウ娘。その子に死のルーンがまるごと移ってしまったのです。そうなるようにロルスが前々から罠を仕掛けてたそうです。ロルスてのは毒蜘蛛の親分みたいな姿格好で、主に策謀陰謀で絡め取るのを得意としています。ドラウ種族の元締めも兼ねるので、自分の従属種族の小娘に細工するくらい朝飯前らしいです。

今までずっと悪役ボスを殴り倒す方法以外の問題解決したことがありませんでした。今回のように主犯は既に死亡してて、その後始末を穏便に済ますという経験が無いので全員困ってしまったのです。皆さん脳筋過ぎますね。

問題の「死のルーン」はリリィが相続しましたが、本来の保護者は自己封印中で手が出せません。手を出してもまた世界バランスを崩してしまうので、やはりフィネスでは動けません。
死のルーンの効果とは「絶対死」だそうです。これに殺られると、どうやっても復活出来ないんだと。後腐れなく強引に問題解決出来るから、大掛かりな勢力の偉い奴ほど欲しがるのです。

しかし、そんなの私には関係ない事情。対象を選ばず延々殴るだけのホロブンには無縁なものです。復活するたびに殴り倒せば良いので。それを特に面倒にも感じないので。標的に攻撃が命中するかどうかが重要で、対象の生死は関知しません。

でもホロブン以外のメンバーには「死のルーン移転問題」は重大案件です。今まで世界をなんとか保持維持するために必死に働いてきたのに、ここでキーアイテムが悪陣営に奪われちゃバッドエンドです。8年続けたキャンペーンのラストがそれじゃ後味悪いと思います。私以外は。
私はバッドエンドでも構わないと思ってました。ハービンジャーオブドゥームですから。破滅の先触れが横に居るのに、誰も破滅しないでハッピーエンドだと困ります。せっかくだから何かしら巻き込んで破滅したい。

リリィの処遇を巡ってメンバーは悩みましたが、選択肢は多くありません。誰が未成年の保護者になるかという話。核兵器並の危険なパワー付きの未成年に対して、世界情勢は厳しい目を向けています。監督責任は重大です。
フィネス&エッジはもう身動き取れません。
ガンダルーブは言動がゲスくて子供の教育に悪い。
ラックルは所属の都合で穏便対処は難しい。
レイオットは守るものが多すぎて、これ以上は抱えられない。
メルセーデは戒律と心情の板挟み。
ホロブンは人格が無いので論外。

消去法でメルセーデがリリィを引き取りました。過去シナリオ中にもメルセーデは難民救済したり、学校を創設して児童育成したりと実績があるのですが、現在のメルセーデは立場が非常に不安定でした。
聖人として十分過ぎるほど実力があるけれど、本人に迷いがあるせいで、あえて太陽神の下に自ら従い指針を伺ってる状態。太陽神ペイロア様も死のルーン事案を快く思っていません。どこの神様だってそうです。小娘リリィを仕留めるだけで、世界制覇できる強パワーアイテム先着1名で取れる大チャンス。強い力は強い立場の者が持たないと混乱を招くだけです。

皆わかってるんだよ「リリィを犠牲にすれば解決する」

いいじゃない、やるよ、手を汚すのが仕事だよ。と、いつもの私ならさくっと始末して終われたのですが、今使ってるホロブンは自分で考えて行動するキャラクターではありません。そんな路線変更の機会とっくに諦めたわ。

実際のところ、メルセーデの養子育成方針も消極的なものでした。危険物を抱え込んだ責任として、今後リリィを厳重に監視。周囲の勢力陣営への懐柔をペイロア様にお願いしながら、その間に死のルーンを生前移譲する方法をガンダルーブに探ってもらうというもの。魔族生まれのガンダルーブのコネクションは地獄勢力です。場合によっては魔王アスモデウス様に頭下げて、死のルーン引剥してもらおうとも考えていました。悪の元締めにそんなデカイ借り作っちゃいかんでしょ。でも現状のメルセーデは、信仰と戒律と義理と人情とその他事情の雁字搦めで答えが出せません。ベターな解決策ならいくつかあるのに、ベストな答えを探すから行き詰まるのです。

「この子は私が厳重に監視しながら育てて絶対に危険は起こしません」だって。秩序にして善の属性にどっぷり沈めて純粋培養するつもりのようです。

根本的解決に繋がらない気がするので横槍入れることにしました。ホロブンは何も言わないけれど、同居している人工知能HOPEはあれこれ言えます。ぶっちゃけ次の30レベルシナリオで撃破役が1人減るとかなりの戦力低下なので、リリィには是非ともフィネスの後を継いで欲しいところ。おおよその育成方針も考えつきました。

死のルーン外せないなら、いっそ死のルーンの専門家になっちゃえよ。
世界情勢が許さなかろうが、皆に殺処分を望まれていようが知った事か。意図せず備わった殺傷力だが、どうせ取り外せないならば、本人が使いこなすしかありません。能力値の高低ではなく、世論の総意に個人の意志で向き合う胆力の問題。死のルーンは危険だ。それがどうした、だからなんだ。自分の判断と責任で悪しき力を正しく使え。避けられ疎まれ忌み嫌われようが、堂々と公正に分け隔てなく死を与えよ。

でもそんな達観した死神キャラお手軽に成立しないとも思いました。私は得意だけど、動かすのは他プレイヤーのAMAさんだし、達観するにも過程が必要です。
まずはメルセーデのところからリリィを攫うことに決定しました。真っ先に世界バランスを崩す行動に出る以上、物語的に無事では済みません。次回は各勢力が一斉に取り押さえに出てくるそうです。逃走用の船は自前で持っていますが逃げ切れないだろうとのこと。

ここまで事態が混迷したところで、以下次回に続くとシナリオは終了。
最後のシナリオはメンバー全員参加が条件で、各自スケジュールの調整があり、実際の時間も数ヶ月の間隔が空きました。

その間にGM盗り夫さんは仕掛けを着々と作っていました。それも結構な大掛かりなやつ。この人いつも終盤にデカイのぶっ込んでくるんだよ。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 4

2017-12-23 00:50:35 | D&D4版 キャンペーン回想
シナリオ当日。不穏な勢力の頭目として現れたインペラさんですが、部下には慕われてる模様。慕ってない腹黒部下もいますが、それらをまとめて懐に抱える度量もあります。自分から振っといてなんですけど、omoteさんの動かすインペラゴンはきちんと遠くの目標を見通した肚の座った感じで、尊大と寛容が上手いバランスで備わって見えました。レイオットと同じ目的を見ながらスタート地点が違う人として性格を作ったので、裏返しレイオット的に扱えば表現できるだろうとも思っていた読みは当たりました。
パーティーメンバーの反応も個性的に分かれ、無頼派のフィネスは「なんだコイツ鬱陶しい」とイラつき、交渉巧みなガンダルーブは「単純な分ノセやすいしそんなに悪いヤツでもない」と取り込む算段を始めてました。エッジは舞台裏知ってるので静観。
そしてインペラゴンの通告は「ホロブンを殺す」敵キャラらしい言い分ですが、世界の道理的に正しいのはこちら。ハービンジャーオブドゥームなど、いずれ必ず漏れる凶悪病原体の容器に等しいのです。

さあ戦闘開始。でも周囲も事情を汲んで1対1に合わせてくれました。
しかしインペラゴン強え。とにかく防御が硬い。アクションポイントとパワーで命中+6で殴っても当たらない。戦術的優位を与えない特技があって、こちらの命中に+4までしか効果が無いのです。これで当たらないなら勝ち目がありません。ホロブンの防御は並の上程度なので向こうの攻撃は全部喰らいます。数ラウンド後には使える技は使い切り、あとは通常技しか残っていません。それにもう残りHPも僅かです。そろそろクライマックスだと台本を確認しました。
そこにメルセーデが乱入しました。ホロブン回復。やりやがったな。
3.5版時のキャラ交替に難色示したのはこの人です。逆に言えばこの人の気分さえ損ねなければキャラ交替も問題無いのです。入念な下準備も対メルセーデ用工作でした。前衛役が回復役の不興を買うのは死亡と同じことです。
瀕死のホロブンが戦闘続行可能になりました。しかし命中しづらいのは変わらないので、パラメータ差も響きなかなか戦闘は進みません。そしてまた倒れそうになると回復されるのです。一度介入して開き直ったらしく、インペラを倒すまで帰ってくるなと言わんばかりです。戦闘が長引き、周囲の敵はみな倒してヒマになった仲間達もやってきて「はよ済ませろ」とプレッシャーをかけてきます。しょっぱい戦いにいたたまれなくなってきた頃、じゃあインペラゴン倒れたわと盛り上がらない勝利。無言の「帰れ」コールって心に刺さるなあ。インペラもホロブンも両方私ですよ。

台本にホロブン負けた展開しか書いてなかったんだよね。勝つつもり無かったし。でも何か言わないといけない雰囲気です。お前が主人公回なんだからいつもの無言じゃ済まさんぞ、という雰囲気がします。
倒れるインペラゴンを抱きとめたホロブン。
「おまえにばかり苦しい部分を押し付けて済まなかった」
誰だよおまえ。キャラ変わってんぞ。手から武器外したのはこれが最初で最後でした。

インペラゴンの遺体からドロップしたのはヴォーパル・ドワーブンウォーアクス+6が2丁。D&D公式ルール上で世界最強の近接戦闘武器。シナリオ特性ですごいぶっ壊れ性能が付いてるのだけど、それが使えるのは29レベルからで、今はまだ只の強い斧です。GMに打診して展開早めてもらったから使いこなせない待機期間が出来てしまいましたが、これが結果的に幸いしました。それまで普段使ってた斧と性能がだいぶ違うので、私が操作に慣れるまで時間が必要でした。

キャラクター交替計画は失敗しました。インペラゴンがホロブンを取り込んで起こる変化は考えていたけど、ホロブンは喰われる前提だったので何も考えていませんでした。だいたいこいつにとってインペラの有無など元から性格に影響無いでしょう。最後まで道具キャラ決定だよ。



28レベルの辺りでもう一度ホロブンにスポットが当たるシナリオがありました。こちらのGMは盗り夫さん。先述したホロブンと同調した破滅本体がやってくる話を用意してくれました。でかい機械生命群体みたいのがホロブンを取り込んで吸収してしまう話です。そこからホロブンを回収するのが目的でしたが、元のオリジナルホロブンはとっくに分解されてて、取り返せたのはホロブンと同じ姿と性能を再現した複製品でした。起源が自然から永劫に変わった以外ルール面の変更は無かったのですが、ここはプレイヤーである私のモチベーションに絶大な変化を起こしました。

これまでのキャラクターの運用方針は、公式ルールに則った範囲でのダメージ算出の追求でした。キャラクターシートの数値を書き写せば、誰でもすぐにホロブンの攻撃力は再現できます。実際のところホロブンの性能で重要なのは、攻撃命中とダメージ計算の部分だけです。防御は脆く、狙われると6割方当てられるし、技能判定は元値が低くて確実に失敗するため、やはりほぼ無意味なデータです。残りHPと攻撃ダイスだけ注意していれば、プレイヤーの知識も工夫も要りません。つまり単純な攻撃能力だけの汎用テンプレ化に収まるお手軽レンジャー。8年ホロブンを使った成果はダイスを足すだけの安直火力キャラクターでした。そして安易な設計のキャラクターは他所から来た収奪者に刈り取られて、計測データの中に消えました。
それでいいのです。
そういうシナリオフックを私が要求しました。最大筋力値・二刀流レンジャー・ヴォーパルウェポン、条件を満たせば誰でも再現出来る攻撃力を、異界の規格が取り込んで量産化するシナリオなのです。もうホロブンに限らず、誰もが同じ大攻撃力を初期装備。どこもかしこも破壊力ばかりでありふれていくのが私の考えた破滅の世界。ホロブンが基準のオーバーキルまみれ世界です。
しかし、そこをあえて踏み越えます。
規格限界値を越えたさらに大きな破壊力を目指します。公式ルールでは不可能な領域を望みます。

そこで一つ違法改造しました。GMに許可取って、エラッタで修正された古いルールを適用させてもらいました。
29レベルレンジャー特技「フォローアップ・ブロウ」
今は近接攻撃が1発命中すると1回近接基礎攻撃をフリーで撃てる、という取得レベルに釣り合わないしょぼいパワーです。しかし規制前の旧型レンジャーは1発の近接攻撃はヒットする「たび」に1発の近接基礎攻撃が撃てたのです。2発が4発、3発が6発、5発が10発。リミッターを外したレンジャーは1ラウンドに理論上20発を叩き込むラッシュが可能になります。
もちろん、そんな無茶な性能そのまま使えないとGM判断から、公式ルール化されたフリーアクション1回を超えて動くと、反動で自分にもダメージが入る条件が付きました。1回につき20点。それが先述した私のヴォーパルウォーアクス固有能力です。29レベルとシナリオ固有武器の両方を揃えて、代償も支払うことで攻撃回数倍増を可能としました。代償は180ポイントの自壊ダメージで、自分も残りHP10程で死にかけますが、それも必要経費です。もはや気にしません。

かつて、規格からこぼれた欠陥品だった者が、世界から新たに規格基準へと定められ、それでもなお自ら枠を逸脱して単機能先鋭化する理由は、ただ精度を追求したいからです。
いや、これは正確な理由じゃないな。根本はもっとシンプルです。

ルールにも、シナリオにも、プレイヤーにも省みられることなく、活躍を望まれることもなく、役割から捨てられた奴を動かすもの。
それは、長いキャンペーンを虚無に過ごした者の意地に他ならない。

この攻撃力はホロブンの意志が世界法則を捻じ曲げたものです。自分の両手で掴んだところにしか起こらない異常ルールです。個人由来の現象だから誰にも真似や再現はできません。ただの量産型では届かないカスタム機の固有パワーです。
ロールプレイや性格描写は薄いけど、これはこれで中々のロマンが詰まっていると自負しています。預言や運命などの他者からの誘導ではなく、神格や超文明による謎パワーを付加したのでもなく、単に旧型マシンが安全装置を外しただけの限界突破型強化。もしも魔法妨害されて他メンバーが上手く戦えなくなっても、私だけは「旧型だから」を理由に腕力で普通に戦える気がします。こないだパシフィック・リム観たからそう思います。


現存しない筈の古いフォローアップ・ブロウを維持するには、ホロブンが使い続けるしかありません。誰にも残せず伝えられず、いずれは無かったことにされる特異点です。
そんな虚ろで儚いパワーで何したいの?
何を耐え……
何を望み……
何を得て……
何を狙い……
何をするのか……

我、動かずして消えること無し。理想の標、果たさざるとも屈せず。
これ、後悔とともに消えること無し……

私がいる限りこの世界には20連発攻撃が存在する、考え得る限りの最高最大効率の近接攻撃だ。かつてはあった、今もここだけにある、根拠は私とホロブンの意地です。要は公式ルールにさえ抵抗するワガママですけど、理由も責任も全て自分にあります。この一つしか無い望みが通らない世界など自分にとって無意味です。
この頃、STG「斑鳩」のプレイ動画を見て感動してたので影響受けてます。

実のところ、単に1ラウンドで特大ダメージが出るだけの性能なので、GMは殴られる専用のタフな標的を1個用意すればシナリオ変更しなくても良かったりします。数値計算が1ラウンド分増えるのですが、主に計算するのは私です。「こんだけ出ました」と報告したらGMが「うむ」とその分の敵HPを引きます。

せっかくのTRPG卓なのにキャラクターのロールプレイ分はさらに減りました。インペラゴン戦以降にホロブン自身が話すことは無くなりました。本体が消失して、複製品と入れ替わってからは、会話能力すら曖昧で、古い仲間をかろうじて認識できる程度という設定にし、何か言うのは全部HOPE側に宛てがいました。
シナリオ都合で、起源:永劫・人造物という種族に変わった時に、記憶はどこまで複製されるかを考えました。過程を記録したログに感情は乗りません。おそらく生体複製脳にログなど無いので、その時点での最新人間関係図らしき情報だけは移り、武器を振るう役目にはたいした重要性も無いので、人間関係は更新もされず、それで何の問題も起こらない程にホロブンは世界と繋がりが薄かったのです。
でも人間兵器っぽさは増した気がするので、満足度が上がりました。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 3

2017-12-23 00:49:12 | D&D4版 キャンペーン回想
ゲーム期間も数ヶ月空き、キャンペーンシナリオ内の時系列も10年ほど経って、それぞれが社会的立場を固めてから再会して世界の危機に立ち向かうという流れ。その間にキャラクターの身の振り方を考えとけってことです。困った。

そこに助け舟出してくれたのがPLのぱーるおぶぱわーさん。PCではなくPLなのがポイント。PCの性格だったらこれは勧めないだろうから。

「ハービンジャー・オブ・ドゥーム」(破滅の先触れ)

別に前職レンジャーに限らず、誰でも選べる加入条件の緩い神話クラス。何やるのかつーと他人も自分も破滅させる歩く凶兆。うわーかっこいいー、こういうの大好きです。固有能力として命中判定ダイスに1の目が出たら振り直せます。ルール上攻撃時1の目は絶対失敗なのだけど、この能力のおかげで攻撃において大失敗は起こり得なくなりました。十分な命中修正値を稼げたなら必ず攻撃を当てます。そこに偶然の失敗はありません。すごい殺意。殺すと決めたら準備を重ねて、あとはただ刃物を振り下ろすだけです。努力も我慢も気合も根性も前提化しました。それらを積み上げたら、最後にスイッチ入れる作業のような攻撃になりました。
ホロブンはいつも無言だから内面変化がわかりませんでした。周囲も自分もいつも通りだと思ってました。でも殺傷行動に偶然が挟まる余地が無くなって、破滅の肩書が周囲に危害を加えることへの疑問も消してしまいました。これアカンやつだ、絶対バッドエンドしか行けないルートだ。
いいじゃない、目先の殺傷力のためならバッドルート選びます。8年の苦労も代償に差し出します。そもそもハービンジャーオブドゥームなんて、徹頭徹尾他者に危害を加えるための能力しかありません。素がヒールな私はそんな嫌われ疎まれ憎まれ役は得意です。みんなで不幸せになろうよ。


シナリオ規模が大掛かりな分、ハウスルール処理が増えてきました。他メンバーもイベント由来のアーティファクトをぽつぽつ入手し始め特殊能力が使えるようになってきます。アーティファクトてのは劇中1個しか取れない手作り特注強アイテムです。金銭では値段が付けられない超貴重品。そういうのがホロブンにはなかなか宛がわれませんでした。
理由は私の出席率が悪かったこと。アイテム与えようにも対象がその場に居ないのでなんとなく後回しでした。その上、戦闘以外に働かないので役職や発言責任が伴なうアイテムは宝の持ち腐れ確定です。そして戦闘時も全てのスキルを同時に重ねることで瞬間火力を叩き出すのに特化してるので、援護や牽制に割く小技を撃ってる暇はありません。つまり単純な高火力武器以外不要でした。

そんなところに船を入手する機会がありました。シナリオ規模が大きくなったので、全員まとめて広大なエリアを高速移動する手段が必要になっていました。
スペルジャマーシップという魔法で飛ぶ宇宙船みたいのを次元界の暗礁宙域で拾い、そいつを修理して使うことに。見た目は帆船ですが中身は良く分からない魔法技術が詰まってます。ホロブンはこいつのメンテナンスを任されました。ドワーフ製の工具でないと扱えないんだと。
GMから渡されたのは船用キャラクターシート。いろいろパーツ換装することで、高速輸送船から飛行戦艦までこなせる高性能機に見えました。実際使うと器用貧乏でたいしたことなかったのですけど。
そのパーツ内に一つ面白い奴があって、船のメイン管制システムに「人工知能HOPE」てのがありました。乗組員3人分の働きをするそうです。でも重要なのはそっちじゃない。昔からお喋りな船のメインコンピュータは定番です。ホロブンにもこいつを付けよう。

来歴不明のスペルジャマーシップHOPEには知性がありました。人工知能とありますが、それが合成された意識なのか、封じられた魂なのかは不明です。ただ、この人工知能をフルスペックで動かすには、船に搭載している旧型機材の容量では明らかに性能不足でした。修復改装するホロブンにHOPEが持ちかけた話は「頭脳の半分を貸してください」この魔法万能世界でも生体脳の性能を再現する技術はありません。普段から頭を使ってないホロブンは、良く考えずにこの提案を承諾しました。以降、ホロブンの脳にはHOPEが間借りし、ホロブン本人はメモリ半分で行動していますが、斧を振り回すだけの仕事ならそれでも十分すぎる容量が残りました。
ここからホロブンの頭の周りを、アイウーンストーン状の小さな石がくるくる飛び回るようになりました。この石が振動することで音声を出すのです。能力はただのスピーカー。しかしこれで、PLが何も考えない話さないキャラに封じ込まれず、世界観を見ながら発言する手段を得ました。
「みなさん初めまして、スペルジャマーシップを管理する人工知能HOPEと申します」
常に敬語で話すので礼儀正しいように見えますが、口を開けば何かぶっちゃけてるダメな大人がそのまま船になったような、やや不謹慎かつ無責任な性格です。一応性別は女性らしいです。船だし。



思い返せば旧名ホロビンよりも、ホロブンの名前のほうがしっくりくる程の長い付き合いになっていました。
神話級開始してからホロブンの殺傷力は目覚ましく上がりました。20レベルを超えるとW数が倍に増えるのです。通常攻撃が12面ダイス2個、それを両手で12面ダイス4個相当。伝説級初期での1日1回必殺攻撃力並です。しかし、やはり命中ブーストは1ラウンドしか効かないので出番はすぐ終わりのままでした。
これはクラス設計の根幹問題で、キャラ運用やロールプレイでどうにか出来るものではありません。高い攻撃力を無駄打ちせずに最大効率で命中させるには、スキルを一斉に重ねてブースト時間内に使い切る性能にする必要があります。幅広い戦法を取るには違う局面毎のパワーを用意しないと使えません。瞬間火力と継戦能力とは両立出来ないのです。
流石に神話級高レベルでは敵の防御も硬く、極端に振り切らないと攻撃があたりません。命中判定ダイスの出目の都合上、素のまま戦うと攻撃命中率が30%以下もざらでした。
なので、1日1回の強攻撃だけ目いっぱい命中率上げて当てたらその日の出番は終了です。他の攻撃などまともに当たらないので賑やかしにすらなりません。だからゲーム中やる事ないしやっても無駄だし暇だし退屈だし、待ち時間が長すぎてますます「4版世界で自分がやれることなどない」という印象が固まってしまいました。今でもそう思ってます。4版での戦闘は丁々発止の派手なアクションの応酬が楽しいという評価も聞くのだけど、処理の重いバフ・デバフ・牽制パワーをみんなして重ねるからすごく中だるみしてるようにしか見えませんでした。ゲーム内時間6秒の出来事を処理するのに60分以上かかるんだよ。毎回そうだったんだよ。レンジャーはその間暇で暇で。




シナリオ進行も佳境でした。キャラクター達も各々の事情で動きにくい部分が現れ、ロールプレイにも悩み、その分シナリオ世界も連動して変化がはっきり現れて行きます。そこでGMから面白いネタ振りがありました。

「こいつ魂が常人の半分もないぞ」
よし、いい感じでバレた。神話級へ移行する間にホロブンのキャラクター造詣を詰めておきました。
薄い性格と過剰な攻撃力。ちぐはぐな理由をこじつけた自信作の設定です。

ホロブンは人造体である。
旧世界の人造ドワーフで、最強片手武器のドワーブンウォーアクスを素で使いこなせるようドワーフ型フォーマットで作られた。記憶喪失ではなく元々記憶するほど長く生きてないだけ、人格が薄いのは最低限の人格モデルしかインストールされていないところに、エラーで1体だけ起動してしまった欠陥品だから。3.5版世界で少しだけ稼働した後に、別のドワーフの戦いに巻き込まれ(そういう描写が昔のゲームキャンペーン中にあった)4版世界に飛ばされて再構成の過程で他人と混ざり、さらに意識の混乱が増した。
ちなみに混ざった他のドワーフというのは3.5版シナリオに登場する「インペラゴン」という悪いドワーフで、そいつもこの世界に来ており、南方でやさぐれた勇者をしている。多少の不品行はあるが彼は4版世界で真当な成り上がり勇者であり、破滅の先触れと化したホロブンのほうが影となる世界の害悪である。
人造ドワーフを作った旧世界ドワーフも、いまだこの世界に存在しているが体感時差が百年以上あり、ホロブンの同型機は全て廃棄済み。

ホロブンはシナリオ空白の10年の間に、自分の造物主に会いに行ったが、本来の参加予定だった計画は既に終わったことを知らされ、存在理由を失い、処分を頼むも過去の個体と差異が大きく、不正処理と見做されサポートは得られなかった、という経緯を設定しました。今のマイクロソフトにMS-DOSの話持ち込んでもサポート終了してるでしょ。そういうことですよ。違法コピーだし、サポート終了してるし、メーカーも関わりたくないわな。

目的を再度無くしたホロブンは自己の能力をただ研鑽することを決心したが、それは異世界の破滅がこの世界へ侵食する突破口に繋がった。
その破滅とは「モスタリ」
異世界の世界機械が物理法則を書き換えるために、同じドワーフ型の生体でただひたすら精度を高めるホロブンの意識と同調した。やがて破滅は世界を一定規格に書き換えるためにホロブンを通して現れる。ホロブンの戦闘力はそのまま端末の基準として量産されるだろう。
モスタリてのは「ルーンクエスト」という他ゲームシステム内でのドワーフ所属世界。そちらのドワーフは一種のロボットで、D&D世界とは全く違う存在です。

過去のシナリオ展開も組み込んで、強大な敵も配置して、クラス特性に合った不穏な秘密も着けて、どうやっても良いこと無く死ぬフラグも立てました。
私こういうの得意です。


ここに一つ仕掛けがあって、ホロブンだとバッドエンド直行ですが回避方法もあります。ホロブン死ねば良いんだよ。自キャラ死んだらどうすんの。
新キャラクターに交替だよ。D&Dは昔からキャラ死亡なんて毎度のことで、前もってキャラクターシートを3人分用意するのは基本だと聞きます。ホロブンは昔にも一度リストラされた経験あるし、これも毎度のことですよ。こいつ死んだら既に勇者やってるインペラゴンを使います。
インペラさんもしっかり設定考えました。ホロブンが意識薄い分、こいつは我欲が強くて名誉も権勢も望みますが、世界を救う意識も強くて危機に立ち向かうには最適です。とても聖人とは言えないけど正直な人なので、敵対も協力も全力です。大いに笑って怒る人。そしてより多くの人を救うために戦う人です。多数派に靡くだけとも言えますが、清廉潔白聖人勇者など私がロールプレイ出来ません。性格の問題点にもなるべくしてなった悲しい理由があり、情状酌量の余地も多分にあり、今後の更正も見込めるように考えました。バイオレンスジャックという、昔の漫画に出てくる「スラムキング」というキャラクターを参考にして、性格を大分マイルドにした感じの、何より自分自身が使いやすい入り込みやすい人物にしました。

計画は決まりましたけど、決行は慎重に行う必要がありました。突然のキャラ変更、しかもいきなり主張の強いキャラが出て来るのですから、周囲の反応が芳しくないのは想定できます。でもやる。ホロブンのままじゃさっぱり動きが取れない。

GMへの打診も少し予定を繰り上げました。当初は盗り夫さんGM時に盛大に感情込めた展開を計画していましたが、それだと最短でも28レベルの時期。取り回しの変化は自分にとっても負担です。できれば早く操作感覚を掴みたい。なので、その前のomoteさんGM時にインペラゴンを出してもらい、さっさと交代劇を済ませておくことにしました。
ここでGMomoteさんに出した注文は「インペラゴンは超強く作ってください」でした。劇中でホロブンを正面からぶっ倒す理由と強さが必要ですし、何より私が3.5版と比較して4版に抱いていたシステム的不満も一因です。
元々の旧ホロビンはファイターで、物理面での高防御と高攻撃を両立していたキャラクターです。4版ではクラスの特性上、能力どちらか一択で攻撃力を選んだため、重戦車型キャラクターには出来ませんでした。でも1日1回の必殺技なら防御重視のファイターでも十分なW数があるし、現状のホロブンも1日1回フィーバーするだけの仕事なので、稼働時間に大差ありません。だったら装備は防御ガン上げで、パワーを瞬間攻撃力に充てたバランス型ファイターキャラでも良いんじゃないですか。もちろん慣れない防御役の設計を自分で上手く仕上げる自信など無いので、そこは個人要塞レイオットを作ったomoteさんにお願いしようと、そしてそれを丸パクリしようと、そういう算段なわけですよ。私って狡猾ですね。

盗り夫さんがGM時にぽつりと「レイオットは硬すぎて扱いに困る」と言ってたことがあります。なんで困るかというと、攻撃が通らないのがわかりきってるから、敵キャラでダイス振る労力も惜しくなるためのようです。心折られるってやつです。それ前衛の理想ですよ。戦意を喪失させる護身完成ですよ。私はそれがとても欲しいのです。

ゲーム前日、自分用に台本用意しました。ホロブンからインペラゴンに交替する場面でかっこいいセリフ言うために、一通り書き出して確認。よしOK。旧キャラを当て馬にして新キャラ出すと嫌われやすいのも十分理解してるので、ホロブンの事情も汲み取って、インペラさんがただの野心家ではないアピールも盛り込んでいます。人物性格の光と影が合わさって最強に見えます。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 2

2017-12-23 00:48:02 | D&D4版 キャンペーン回想
あまりに手持ち無沙汰な様子に戦闘時のダメージトラック役を任されたこともありましたが、これは元々数字が苦手な自分には負担が重い役割でした。生来常人平均よりも数学能力が劣るので、回復した今でもダメージトラックは下手です。


そして、伝説級半ばからTRPGの定番としてロールプレイ分が増えてきました。世界に危機が訪れ、キャラクター達は大きな力を得て活躍し、その行動が世界情勢に影響を及ぼし始めます。なんとなくでは気軽に動けない情勢が出来てきました。気軽に動いても良いのだけど、迂闊な行動のせいで誰かが困窮する結果も描かれるため、良識をわきまえようとするキャラクターから順に取り回しが重くなって行きます。しかし世界内での立ち位置に悩む程、キャラの周囲に関係性は広がり発言力は増しました。これはキャンペーンシナリオに介入していく足場です。

ここまで無言のまま、機械的に攻撃役しかしてこなかったホロブンは取り残されました。GM盗り夫さんにも「キミはパーティー内の人間関係を疎かにし過ぎだ」と指摘されています。事実、20レベルもそろそろ近づきキャンペーンも後半に折り返したのに、ホロブンはパーティー内に個人的関係を結べてるキャラクターが居ませんでした。

パーティーメンバー構成はこう。

・ヒドゥンエッジ
プレイヤー・盗り夫さん。キャンペーン半分をGM。
エルフ・ソードメイジ(防衛役)初めは消えた家宝の剣を探しているエルフ剣士だった。各地を廻っているうちに物事の歴史を記憶することに意義を見出したらしい。時折強迫観念気味に剣の行方を尋ねるのが持ちネタ。歴史と魔法学に長け、戦闘では小技使いがやたら上手い。間合い取りや攻撃回避を駆使してパーティー全体の被弾を最小限に抑える、素早く見えない盾役。インテリなので実技試験に弱い。

・フィネス
プレイヤー・AMAさん。
ドラウ・ローグ(撃破役)劣悪な家庭環境から脱走して復讐のために腕を磨いている。早くにキャラ方針が決まったので親族が何人も敵役に登場した。脚が速く戦闘時には他キャラの倍は走り回る。落とし穴に落ちた時に、先に落下していたホロブンを抜き去り、倍の早さで戦場復帰した。戦場適応性が高くどんな場所・相手でも柔軟に戦える。コワモテだが意外と面倒見が良く、他人の話も聞き、身体も張る。筆記試験は苦手らしい。

・メルセーデ
プレイヤー・ぱーるおぶぱわーさん
ヒューマン・クレリック(指揮役)パーティーを立て直す強力な回復能力をいくつも持つ。初期から大鎌を持ち続ける異様な装いだが、性格は真面目。目先の困っている民衆のためなら多少の怪我も苦痛も厭わないため、よく傷だらけになる。困る民衆の遠い将来にも悩み、信仰も救済も常に全力で取り組む激しい気性の聖女。敵に脆弱性を付けるパワーがあり、ホロブンの連続攻撃を繋げると並外れたダメージを出せる。通称フィーバータイム。

・ガンダルーブ
プレイヤー・ノブさん
ティーフリング・ウィザード(制御役)大魔王の血筋を称するメルセーデの幼馴染。尊大な態度と大きな野望をちらつかせるが、パーティー内の軍資金を管理し、マジックアイテムを調達し、対外交渉も細やかにこなすなど経営能力が高い。普段は悪役じみた言動を取るが魔族生まれの建前らしく、パーティーが動くための準備を率先して行う気配りの人。メルセーデが突っ込むトラブルの後始末も仕事のうちらしい。レトロゲーマーで暇の時には自宅でファミコンをしている。

・レイオット
プレイヤー・omoteさん。キャンペーンのメインGM。
ヒューマン・ソードメイジ(防衛役)パーティーの拠点都市ネルカレンの騎士。前出のエッジと同じクラスだが運用方がまったく違い、高い防御力で前線を守り敵を足止めするタイプ。防御が高すぎて敵が攻撃を諦めるほどに硬いので、私は「個人要塞レイオット」と呼んだ。実直がそのまま歩いてるような人物で、私欲薄く、他者を欺かず、公共のために力を惜しまない。開始当初から役職持ちのキャラクターとして行動していたので、立場と人格から終盤には大きな人脈を築いた。頼られる側としての人脈。

・ラックル
プレイヤー・wakaiさん
レヴナント・ファイター(防衛役)シナリオ中盤から参加した第3の防衛役。防衛役PLはどちらかがGM担当なので並ぶ事はなく、彼が2番目防衛役として戦うことになった。ラックルは2代目キャラで、最初はゼットンというキャラだったが途中で交代した。戦闘方法は敵のスキルを押さえ込み牽制しながら、仲間を援護も出来たりと継戦能力が高い。気前が良いせいであちこちの陣営に振り回されたが、それはPLの出席率が私と同じくらい悪く、不在時にNPC扱いで無茶振りされたためで、中身が入っている時にはヒーロー特性を発揮する。

エッジとフィネスはタッグ組んでます。
メルセーデとガンダルーブもコンビで行動しています。
レイオットとラックルは役職があり責任のある仕事を負っています。


みなさん、地に足がついた堅実なキャラクター造詣が出来てます。目的をはっきり定め、所属陣営も自覚して、今後の行動指針もわかりやすいです。
ならば自分とこのホロブンはというと、無目的、根無し草、主義主張が無いせいで誰とも利害が関わりません。黙ってメンバーに付いていき1日1回ラッシュ攻撃叩き込むだけの道具になっていました。
これは問題原因がプレイヤーの自分自身にあります。メンタルの不調だけではなく、舞台世界に無関心でした。長年この趣味続けてますが、実のところ剣と魔法のファンタジーには昔から興味が薄く、本来ポストアポカリプス好きなのに満足できる専門システムがないので、仕方なく代わりにハイファンタジー使ってるくらいの気構えです。どうせ神様とすごい魔法の設定を、後から言った者勝ちだろうとタカをくくって見ていますし、これからも見てるでしょう。だから背景設定の神様やら英雄やらの世界情勢を知ろうともしなかったし、関わるつもりも無かったのです。私がウォーアクスで叩き殺すだけの役目には関係無い、そんなもの知っても自分の強化につながらないからです。多少の演出描写に意欲出したところで「一人で勝手にやれよ」みたいなこと言われたので無駄な努力も止めました。信じられるのはキャラシートの数値だけです。

この考え方はマイナス要因の連鎖が働いています。
・元々ファンタジーに馴染みにくい嗜好
・難しいルールを処理出来ないので戦闘機能だけに単純化
・戦闘能力を向上しづらいルール調整
・少ない要望すら満たせない不満の長期間蓄積
結果、自分には楽しみの乏しいゲームと感じ意欲が減退したのです。加えて当時の体調が非常に悪かったのも問題でした。呼吸器系、循環器系、低体温、睡眠障害、皮膚の炎症が多数あり、病院にいっても自律神経失調症と漠然とした診断で何件もたらい回しでした。正直ゲームどころじゃないつらい毎日でしたが、何か頑張って活動していないとこのまま動けなくなる恐怖感があり、やや無理目に負荷をかけて生活していた時期です。他人から見れば役立たず状態でも自分を120%出力で動かしていました。
大好きなメタルマックスすらまともに遊べなかった、という惨状がわかる人には伝わると思います。私がメタルマックス出来ないって相当具合悪いのよ。

今は回復して簡単に動けるようになりましたが、逆に動きすぎて体力の限界越えても意識が冴えるので、これはこれで問題です。
生活習慣が乱れきって全然体調管理できないけど、ゲームくらいは途切れずに続けたいと考えて、東京のイベントにも参加した覚えがあります。今の1割以下の気力体力でよくやったな自分。

とにかく、ロールプレイ分が足りてない、このままではシナリオに置いていかれる危機感もあり、ホロブンというキャラクターの中身をしっかり構築することにしました。
しかし、またここでルールの壁にぶつかりました。今度のは難問です。時間かけてレベルを上げて物理で殴ればいずれ終わるW数の問題どころではない、ルール構造の壁。
D&D4版になって前衛白兵戦クラスが分割されました。防衛役はファイターへ、攻撃役はレンジャー・ローグへ。
つまり暴力担当が細分化。仲間を守るキレイな暴力はファイターの仕事。血まみれの暴行殺傷汚れ仕事はレンジャー・ローグの仕事。
他者への攻撃理由を合法的にこじつけるのが、ルール的に不可能になりました。なんで殺すの?守りたい誰かがいるから。ならファイターやれよ、という話です。どう転んでも凶悪粗暴犯でしかない。ローグは初めから偽造窃盗恐喝がスキルにあるので、アウトロー路線は既に覚悟完了です。
ならばレンジャーは?最大殺傷力のデカイ刃物を両手に持って過失と言い張るのは無理があります。ホロブンは温厚で穏やかな性格という風体を装っていました。何も考えてないから他者と衝突しなかっただけで、実際は常に殺戮効率追求してたので、性格と能力に矛盾が出ます。心優しい殺人者?温厚だけど殺傷道の探求者?それはマトモな性格じゃないだろ。

妥当な解答はあるのだけどゲームキャラには都合悪いので不採用でした。
正解は「怯える過剰防衛者」
常時なんでも確実に殺せる用意があれば安心でしょ。でもこんな性格設定採用したらまず手の届く範囲から沈静化します。つまり真っ先に隣のPCに襲いかかり、何もかも殺し尽くし世界総人口1人になって、ようやく平和に安心する狂人。長期間続けるキャンペーンでPC間が争って良い事なんて一つも無いからな。

性格面で折り合いが付かなかったため、ホロブンにはそのまま心神耗弱でいてもらうことにしました。強迫観念的に自己を鍛えるけど、その力の向けどころは他人に決めてもらう必要があります。やっぱり道具じゃねえか。

もう一方の暴力担当のフィネスが、その辺どうやって折り合いつけてたかというと、私の見立てでは攻撃対象をごく小さく絞る厳選をしていたように思います。ヤンキー姉ちゃん上がりでガラ悪くさえ見えるフィネスの中では、他人を4領域に分けていて「どうでもいい」「うざい」「ムカつく」「殺す」の内、極小の殺す圏内だけをぶん殴っていたのではないかと。
そんなん後から考察したことだし、当時気づいてても取り入れる余裕も土台も無かったのだけど。


そしてキャンペーンはいよいよ20レベルを超え、神話級に入りました。
神話級に入る時にも高位キャラクラスを選ばないといけません。ここでまたホロブン大弱り。神話級クラスは「神話の運命」と言って能力面よりもキャラクターの行動方針に影響するルールが多いのです。ランクアップというよりロールプレイの制約縛りみたいなもの、単純にスキルの強弱では選べないし、今までの行動も考慮されます。
誰とも何とも関係のないホロブンには進む運命が見つかりませんでした。空々しいにわか設定作って、どこかに陣営に拘わる素振りでも出せれば無難に済んだのでしょうけど、当時はまだ体調不良が続いていました。そんな器用に動けないし、だいたいレンジャーから上がれる神話の運命は、どれも攻撃増強にたいして役に立たない雑魚クラスばかりです。お馴染みレンジャー抑制ルールだよ。またこれだよ。前世でレンジャーが何か悪さしましたか。