普段、「アカデミー賞って何?」といったところで映画を楽しんでいるわけですが、今年のアカデミー賞はかなりエグイと聞き観て来ました。
「ノーカントリー」2007年 アメリカ 監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
人里離れたテキサスの荒野でハンティング中に、銃撃戦が行われたと思しき麻薬取引現場に出くわしたベトナム帰還兵モス。複数の死体が横たわる現場の近くで、200万ドルの大金を発見した彼は、危険と知りつつ持ち帰ってしまう。その後、魔が差したのか不用意な行動を取ってしまったばかりに、冷血非情な殺人者シガーに追われる身となってしまう。モスは、愛する若い妻カーラ・ジーンを守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。一方、事件の捜査に乗り出した老保安官エド・トム・ベルだったが、行く先々で新たな死体を見るハメになり苦悩と悲嘆を深めていく…。
という事でコーエン兄弟も初体験の私は驚いてしまいました。
人はいつしか必ず死を迎える。その中には不慮の事故に撒きこまれて命を落とす場合もある。そんな不幸もそれぞれ訪れ方が違う。何が起きたのか解らないうちに、死を自覚する間もなく即死するもの。短い瞬間ではあるけど、確実に自分は死を迎えると認識して恐怖の中死んで行く者。延命に一縷の望みを見出したかと思えた刹那、やはり適わず非業の死を迎える者。長く重苦しい死への恐怖と対峙して、耐えて、でも結局死んじゃう者。
映画の中ではそんな沢山の無名の人々が、アントン・シガーというモンスターにそれぞれの死を与えられて行く。
連続殺人魔に追われる者と逃げる者、ハラハラドキドキの単純なバイオレンス・サスペンスとして観ていたら、後半、単なるサスペンス・ドラマに終わらない展開にに変貌・・・勿論、サスペンスとしても緊張感の連続で十二分に楽しめるのだけれど。
やはり、シガー役のハビエル・バルデムに圧倒されます。危険だとかモンスターだとか幽霊だとか、形容のしようがありません。時折見せる、チャーリー・ワッツの顔真似(違うって)も不気味さを増します。
この映画の緊張感を高めている理由にサウンドトラック(BGM)を完全に廃している点もあるでしょう。何も無い荒野が舞台での銃撃戦の跡、屍ゴロゴロ。
シガーの持つ武器(ホースの先から圧縮した空気が飛び出す酸素ボンベ)エアガンのブシュ、ブシュと響く音に観客席で何度も身体がビクっと反応しちゃいました。もう驚かないぞと身構えていても、シガーの突飛なタイミングに適いません。
アントン・シガーという殺人鬼に目をつけられたらもう、天災としてあきらめるしかありません。コイントスに答え的中させる事に何の意味がありましょうか。モスの奥さんも一瞬で悟ってましたし。
さて、そんなストーリー、主役と見られるモスでさえ、殺され方はいとも呆気ない。
どのような展開になるのかと思っているとシガーは交通事故に遭遇。えーッ!
ここでの少年たちとの接触がこの映画の中の唯一の救いのようにも思えたり。
最後はっきりさせないのがコーエン兄弟の特徴という情報を仕入れていたのでこのあたりでENDかなと思ったりしたが、甘かった。
実はもう1人この事件を追っていた老保安官の現代社会への敗北感が浮かび上がる。
なるほど原題は「NO COUNTRY FOR OLD MAN」なのでした。トミー、あんた、主役だったのね。
そして、老保安官が夢について語っていると。ブチッ!
またまた、えーっ!
家庭DVDで鑑賞していたら思わず、「何だよ!人が観ているのに。消すなよ」と家人との争いが起きかねない。
ひょっとしたら、交通事故で骨が肉から突き出ちゃってるアントン・シガーが観客席の後からブシュってやったのかもしれない。と思ったりして・・・即死!
あー、本当に面白かった。
原作はコーマック・マッカーシー「血と暴力の国」
原作の忠実な映画化だそうだ。気になりますね。
コーエン兄弟の他の作品も要チェックだな、これは。
渋東シネタワー
「ノーカントリー」2007年 アメリカ 監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
人里離れたテキサスの荒野でハンティング中に、銃撃戦が行われたと思しき麻薬取引現場に出くわしたベトナム帰還兵モス。複数の死体が横たわる現場の近くで、200万ドルの大金を発見した彼は、危険と知りつつ持ち帰ってしまう。その後、魔が差したのか不用意な行動を取ってしまったばかりに、冷血非情な殺人者シガーに追われる身となってしまう。モスは、愛する若い妻カーラ・ジーンを守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。一方、事件の捜査に乗り出した老保安官エド・トム・ベルだったが、行く先々で新たな死体を見るハメになり苦悩と悲嘆を深めていく…。
という事でコーエン兄弟も初体験の私は驚いてしまいました。
人はいつしか必ず死を迎える。その中には不慮の事故に撒きこまれて命を落とす場合もある。そんな不幸もそれぞれ訪れ方が違う。何が起きたのか解らないうちに、死を自覚する間もなく即死するもの。短い瞬間ではあるけど、確実に自分は死を迎えると認識して恐怖の中死んで行く者。延命に一縷の望みを見出したかと思えた刹那、やはり適わず非業の死を迎える者。長く重苦しい死への恐怖と対峙して、耐えて、でも結局死んじゃう者。
映画の中ではそんな沢山の無名の人々が、アントン・シガーというモンスターにそれぞれの死を与えられて行く。
連続殺人魔に追われる者と逃げる者、ハラハラドキドキの単純なバイオレンス・サスペンスとして観ていたら、後半、単なるサスペンス・ドラマに終わらない展開にに変貌・・・勿論、サスペンスとしても緊張感の連続で十二分に楽しめるのだけれど。
やはり、シガー役のハビエル・バルデムに圧倒されます。危険だとかモンスターだとか幽霊だとか、形容のしようがありません。時折見せる、チャーリー・ワッツの顔真似(違うって)も不気味さを増します。
この映画の緊張感を高めている理由にサウンドトラック(BGM)を完全に廃している点もあるでしょう。何も無い荒野が舞台での銃撃戦の跡、屍ゴロゴロ。
シガーの持つ武器(ホースの先から圧縮した空気が飛び出す酸素ボンベ)エアガンのブシュ、ブシュと響く音に観客席で何度も身体がビクっと反応しちゃいました。もう驚かないぞと身構えていても、シガーの突飛なタイミングに適いません。
アントン・シガーという殺人鬼に目をつけられたらもう、天災としてあきらめるしかありません。コイントスに答え的中させる事に何の意味がありましょうか。モスの奥さんも一瞬で悟ってましたし。
さて、そんなストーリー、主役と見られるモスでさえ、殺され方はいとも呆気ない。
どのような展開になるのかと思っているとシガーは交通事故に遭遇。えーッ!
ここでの少年たちとの接触がこの映画の中の唯一の救いのようにも思えたり。
最後はっきりさせないのがコーエン兄弟の特徴という情報を仕入れていたのでこのあたりでENDかなと思ったりしたが、甘かった。
実はもう1人この事件を追っていた老保安官の現代社会への敗北感が浮かび上がる。
なるほど原題は「NO COUNTRY FOR OLD MAN」なのでした。トミー、あんた、主役だったのね。
そして、老保安官が夢について語っていると。ブチッ!
またまた、えーっ!
家庭DVDで鑑賞していたら思わず、「何だよ!人が観ているのに。消すなよ」と家人との争いが起きかねない。
ひょっとしたら、交通事故で骨が肉から突き出ちゃってるアントン・シガーが観客席の後からブシュってやったのかもしれない。と思ったりして・・・即死!
あー、本当に面白かった。
原作はコーマック・マッカーシー「血と暴力の国」
原作の忠実な映画化だそうだ。気になりますね。
コーエン兄弟の他の作品も要チェックだな、これは。
渋東シネタワー
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