「グレイト・フラマリオン」

「エドガー・G・ウルマーとゆかいな仲間たち」

「グレイト・フラマリオン」1945年　米　監督：アンソニー・マン

拳銃曲撃ち芸人のフラマリオンは助手のコニーのため、彼女のアル中の夫を事故に見せかけて撃ち殺すが・・・。ファム・ファタルに人生を狂わされる男を描いた典型的なフィルム・ノワールだが、フラマリオンを演じるシュトロハイムの圧倒的な存在感と、過去をナレーションで回想する巧みな演出で魅せる。

やっぱりどちらかというと、否、圧倒的に面白いのは、男に騙される女の話より女に騙される男の話って事になるなぁ。面白くって引きこまれるアンソニーマンの珠玉作。

騙されるフラマリオン（エリッヒ・フォン・シュトロハイム）がチビ、デブ、ハゲで拳銃曲撃ちなる危なっかしい芸に非常にストイックでいつでもどこでも真剣な表情で練習に精を出す真面目人間。これがまた哀れを誘って良い。
ファム・ファタルのコニー（メアリー・ベス・ヒューズ）にとっては非常に容易い相手で、あっという間にカモにされちゃう。
最初は敬遠していたフラマリオンが次第に彼女の虜になり、メロメロになる経緯。
騙されているとも知らず再会の約束のホテルでのウキウキぶり。
シュトロハイムの名演が光ります。

コニーの夫でアル中のアル。この役者さんの顔が、私の先輩OBにそっくりなので、それが気になってしょうがない。極めて個人的な事を言ってしまいました。その先輩は皆から志茂田景樹に似ていると言われていました。これで少しは一般的な話になりましたでしょうか。

シネマヴェーラ渋谷