【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【雨のビエンチャン】

2007年08月17日 | アジア回帰
 15日にバンビエンからビエンチャンまで、カヌーで移動した。

 というのは大嘘で、途中にあるリク川までカヌーを積んだトラックで移動し、3時間ほど漕ぎ下り、後半はまたトゥクトゥクに乗り換えて首都ビエンチャンまでたどり着いたというのが正確な記述である。

 当初は、バスでの移動を考えていたのだが、このところバスでの移動が続いて少々飽きが来ていた。

 そこで眼に飛び込んできたのが、「カヤックツーリング・ツー・ビエンチャン」という看板の中の「エキサイティングな3~4級のホワイトウォーターを楽しもう!」という宣伝文句だった。

 「3~4級」というのは、カヌー乗りにとってはやりたさ半分、怖さ半分、武者震いがくるたぐいの魅力的な大波をさす。

 どうせビエンチャンまで行くのなら、この誘いに乗らない手はない。

 というわけで、年寄りの冷や水。

 さっそく、受付に乗り込んで手続きを済ませた。

      *

 結論からいえば、大波は大したことはなかった。

 いや、それなりの瀬はいくつかあり、一箇所では3~4級の謳い文句に間違いはない大波が立っていた。

 それが証拠に、同行者の1艇は背の中で見事に?沈?したのである。

 だが、私にとってはイギリス人学生と乗り込んだ2人艇は大きすぎ(つまりは安定しすぎ)で、日本で楽しんでいるような小さなカヌーでのスリリングな醍醐味は味わうことができなかったのである。

 だが、岸壁の岩場でのバーベキューランチや急流での瀬遊びなど、トータルで見れば、ある国の首都に向かう交通手段としては最高の部類に入るのではなかろうか。

     *

 ビエンチャンは、メコン川の川沿いに開けたこじんまりとした首都である。

 見所といえば、メコン川の夕陽、タイとの国境を結ぶ友好橋、いくつかの古刹、仏塔、博物館くらいで、首都というよりもどこかの田舎町という風情が色濃い。

 そうした緩やかさが、とりわけ欧米人に受けるのだろうか。

 川沿いにある安宿は、ほとんどが満室状態だった。

 汗だくになって歩き回るうちに、中華街のような町に紛れ込んだ。

 「美麗幸福酒店」という素晴らしい名前に惹かれて一軒の宿をおとなうと、一泊15ドルだという。

 これは想定外の高額だったが、夕暮れも迫り一刻も早くシャワーを浴びたい。

 安くていい宿探しは明日に譲って、ともかくチェックインを済ませた。

 ところが、シャワーを浴びる段になって、湯が出ない、水も出ない。

 文句を言うと、愛想のない小生意気な2代目と思われる娘が、恩着せがましく「18ドルの大きな部屋を15ドルで提供します」という。

 すぐに移って、洗濯とシャワーをすませ、CNNやBBCの映るテレビを見ながらキンキンに冷えたビアラオ(ラオスビール)をあおって、やっと生き返った。

     *

 川沿いに出てみると、ずらりと並んだ屋台がすべて観光客向けでやたらと値段が高い。

 嫌気がさして、宿のある中華街に舞い戻ると、意気のいい庶民派食堂があった。

 そこで、焼き飯を注文すると、とたんに激しいスコールが来た。

 主人に訊いてみると、このところ毎日スコールがあるという。

 人々は慣れたもので、巻きスカートを履いた若い女性たちも、悠然と雨の中に歩き出していく。

 焼き飯の味もなかなかよろしく、ビエンチャンに着いて初めて落ち着くことができた。

 夕食を平らげると、早々と宿に戻り、久々にアメリカ映画を眺めながら眠りに落ちた。

 雨のおかげで、ビエンチャンが少しだけ好きになった。

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