久方ぶりの帰郷は豊穣なる出会いと新鮮なる発見に充ち満ちて、我が唯一の発表媒体ブログの存在すら意識の埒外に追いやる程の痛快さであった。
数えてみれば、掲示カレンダーの空白が既に5個。
九州高速道を時速160キロでぶっ飛ばし、そのまま離陸して舞い戻った東京には間抜けな輩が多すぎて“腕ひしぎ”で肘へし折りたき数多の愚行、我が頭蓋より溢れ出んばかりなのだが、待ちに待ったり和服美女、別名千の才自在 . . . 本文を読む
目が覚めた。午前4時半。眠った。およそ、4時間。たぶん・・・。
確実に覚えているのは、昨夜遅く眠剤なしでベッドに倒れ込んだということだけだ。
眠れた。久々に、眠剤に頼ることなく。
「イク、やったぞ!」
東北は岩手・水沢の義姉夫婦の家では、確か1時間半。共にぼろぼろに疲れ果てた結果とはいえ、薬なしで眠れる時間が少しずつ延びているという事実は私の心を軽くした。
やけに広い窓のカ . . . 本文を読む
「ピンポーン」と鳴った。金属探知器である。身構えた。このところ、常に胸底深く世相えぐるドス忍ばせた身ゆえの性であろうか。
ごつい警備員が近づき、南国の雪に備えた編み上げキャラバン・シューズを脱げという。
自慢じゃないが、こちとら筋金入りの腰痛持ちだ。
貧弱なパイプ椅子に座らされ靴ひもなんぞ結び直した日にゃあ、涙がちょちょぎれる。
「糞ったれめ!」
思わず、悪態が口をつく。
おまけ . . . 本文を読む
1月12日付けのブログで奥多摩大岳山で風に乗せた話を書いたら、幾人かの人にその理由を尋ねられた。
答えは、簡単だ。
まず、空気の澄んだ日にはいつでもわが家の2階物干場からその独特の山貌を眺めることができる。左手に富士、右手に秩父連峰。夕陽でも落ちかかれば、息を呑むほどの絶景である。
次ぎに、わが家から車で1時間半で行けること。いつでも日帰り山行可能である。
私は奥多摩御岳渓谷での川 . . . 本文を読む
しかし、現実を知る時が、いつかはやって来ます。
必死のリハビリのおかげで、どうにか車イスにも乗れる様になった頃でした。訓練を終え、病棟に戻る道すがら、理学療法士よりこう言われたのです。
「吉田さん、そろそろ自分の車イスを作りましょうか」
一瞬、耳を疑いました。まさか、この私が・・・。
「ああ、自分はもう一生歩けないんだ。車イス暮らしになるんだ。自分の人生はもうこれでおしまいだ . . . 本文を読む
9月の初めに、東京で絵手紙の個展を開く事になり、案内状だけでも見て頂こうと、松下センセにお送りしたところ、早速、激励のお手紙を頂戴し、思いもよらず原稿まで依頼されました。
身に余る光栄と思い乍らも、一方では、果たしてうまく書けるだろうかと心配になってきました。しかし、私にとって、文章の上手い下手などは二の次、とにかく、文字を書くという事が当たり前ではないのです。実は15年前、熊本の山鹿にある . . . 本文を読む
作家・松下竜一といえば、たいていの人はテレビドラマにもなった『豆腐屋の四季』を思い浮かべるらしい。
短歌を軸に構成された『豆腐屋の四季』は、高校卒業を待って結ばれた愛妻・洋子さんへの極上の相聞歌だが、その“べた惚れ”ぶりは昨年6月に逝去されるまで一貫して変わることがなかった。
だが、終生根を張り続けた大分・中津の海を破壊する豊前火力発電所建設差し止め裁判を機に、松下さんは『草の根通信・ . . . 本文を読む
世の中には“eメール”という名のまったく新しい通信手段を、従来の「電話」「葉書」「手紙」「FAX」等の代替物と勘違いしておられる御仁がずいぶんと多いようだ。
“eメールは、従来の概念を塗りかえるまったく新しい通信手段であり、その本質はスピード・ラリーにある”
この貴重な本質を今を遡ること6年前、1999年の時点で教えて下さったのは、私が尊敬するビジネス・コンサルタントの校條 浩(めんじょ . . . 本文を読む
昨日から今日にかけて、カミさんと二人、雪の仙台・水沢・江刺を巡る愉快な旅と心躍る新たな出会いを楽しんできた。
ところが、自宅に近いJR宇都宮線蓮田駅で改札口に向かうと前方に5~6名のむさい男どもが立ちふさがり、なにやら騒いでいる。
どうやら、ひとりの酔っぱらいオヤジが駅員にからんで、おまわりが出動してきたらしい。
「邪魔だ、どいてくれ」
私が静かに言うと、若造おまわりが酔っぱ . . . 本文を読む
反省を知らぬ役人どもが、アルツハイマー病を中心とする記憶障害症状のことを「認知症」などという訳の分からぬ呼称に決めたらしい。
どうせ、御用学者や世間知らずの「見識者」をご招待しての諮問委員会で、国民から預かった貴重な時間と税金を無駄づかいした結果に決まっているが、それにしても今回の「認知症」という呼称は、かつて、あの例えようもなく美しき海と心優しき海の民を地獄の底にたたき落とした“水俣病”を . . . 本文を読む
“六月の空気はうまし恋妻よ小鳥の声で話をしよう”
この強烈な相聞歌の存在を教えてくれたのは、1999年6月13日付け朝日新聞「折々のうた」の筆者である詩人・大岡信氏だった。
大岡氏によれば、歌人の筆名は“高辻郷子”と女性っぽいが、実は北の大地・網走で代々農業を営む骨太の男性歌人らしい。
この相聞歌にひとめ惚れした私はさっそく「折々のうた」を切り抜き、仕事場のボードに貼りだした。
カミ . . . 本文を読む
“腕ひしぎ逆十字固め”といえば、格闘技ファンにはお馴染みの関節技である。
最近では、PRIDEヘビー級王者“氷の拳”ことロシアのヒョードル選手が、すっかりショーマンマンシップ・プロレスにはまってしまった「柔道ハッスル王」こと小川直也選手を、いとも簡単に仕留めた手際の良さが印象深い。
私は、この関節技を中学時代から始めた柔道の練習で覚えた。
技の原理は、きわめて簡単だ。相手の右腕を決め . . . 本文を読む
いまの僕にとって、世の中には2種類の人間しか存在しない。
“カミさんを現在形で語ることのできる人”と“語れない人”。
言葉を換えれば、僕とカミさんの関係を“理解できる人”と“できない人”だ。
おかげで、身辺がずいぶんとスッキリした。
大学時代に知り合った2人の友人とも、すっぱりと縁を切った。
たとえば、僕が信頼する3人の山仲間とカヌー仲間は、こんな風に言ってくれる。
“いまの幾 . . . 本文を読む
わが家から上尾を抜けて川越・八王子方面へ向かうと、荒川を渡る大橋の上から独特のぽっこりとしたふくらみを持つ山の頂が見える。
年末の快晴のある日、信頼する二人の友が見守るなかカミさんをそっと風に乗せた奥多摩大岳山だ。
左手に、雪をいただいた雄大な富士。さらに、左手には丹沢連峰の連なり。
視線を富士から大岳山に戻し、右手に振れば女性的な稜線を見せる御前山が控えている。
その奥多摩の . . . 本文を読む