【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【煙に閉ざされた街】

2007年03月17日 | アジア回帰
 チェンマイの街は、白煙に覆われている。

 いや、情報によればミャンマーやラオス方面からも野焼きや山火事の煙が流れ込んでいるらしく、タイ北部地方一帯が煙に包まれているらしい。

 私の部屋は、白人とタイ人の夫婦が経営する郊外のアパートの4階にある。
 風通しがいいので、1週間くらい前までは窓を開け放していた。

 ところが、煙害の激しくなった数日前から部屋の中にいても目がシバシバして涙が出るようになり、それからは窓を閉め切って使いたくもないクーラーの世話になっている。

 昨日は、ベンがもらったばかりの薬をなくしてしまった(おそらく、脳梗塞の後遺症だろう)ので、再び市中心地の病院に同行することになった。

 そのあと、私はセンタン(セントラルデパート)で用事を済ませ、久々にソンテオ(ピックアップトラックに座席を付けた乗合いバス。北部弁ではロッデーン。ドアや窓がないので吹きさらしだ)に乗ったのだが、アパートに戻ると目が痛くなり、あわてて目を洗った。

 排気ガスによる大気汚染は以前から深刻で、市内を歩いているとしばしば目の痛みを感じるのだが、ソンテオに乗ったあとで目の痛みを感じたのは初めてだった。

 バイクでやってきたタイ語教師のアン(同名の男性である)に「目が痛くなった?」と訊くと、「いえ、今日はかなり空気がきれいになっているようです」という。

 確かに、天頂でいわし雲から垣間見える青空の領域はいささか増えたような気もするが、それでも盆地状のチェンマイの周縁は白く煙っており、2~3日前にぼんやりと見えたドイステープの稜線もまったく見えない。

 各地の病院には、気管支炎を起こした人々が続々と駆け込んでいるという。

 当局は、通行人に大量のマスクを配布しているらしいが、根本的解決にはほど遠い。

 煙を払い大気を洗うには、雨や風の力に頼るしかなさそうである。

 すでに、当局による“人口雨作戦”も実施され上空には数種類の化学物質が撒かれたそうだが、今のところ雨の兆しはない。

 水の効果に期待して、4月中旬のソンクラーン(タイ暦正月に行われる水掛け祭り)を前倒しする話も出ているそうだが、地面で水を掛け合っても空の浄化にはつながるまい。

 確定申告や桜の季節ということもあり、3月から4月にかけて一時帰国する日本人が多いという。

 私も、来週早々に控えたロングステイ・ビザの延長手続きが済んだら、野暮用のためにいちど日本に戻らなければならない。

 その後どうするか、とりわけベンの療養生活にどう対処すべきか、まだ結論は出ていない。

 チェンマイの街のみならず、私の心も濃い白煙に覆われたままだ。

 

 

 
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