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【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【断酒の効果】

2008年07月31日 | アジア回帰
 ラーの再検査のため、昨日チェンマイに入った。

 山から引いたわが家の水道が4日間も断水したため、洗濯物を持参しての移動である。

 チェンマイに着くとすぐに洗剤を買いに走り、宿の水浴び場で彼女はすぐに洗濯を始めた。

        *

 このところ、彼女の体調はきわめて良好だ。

 食欲も旺盛で、朝6時に起きるとすぐに朝食の支度を始めるようになった。

 その後も体を休めることなく、一日中こまめに働き続ける。

 10日ほど前、チェンマイラム病院で胃炎と肝炎を指摘されて以来、彼女は一滴のアルコール類も口にしていない。

 村に帰ると、すぐに近所の友人知人から〝チョークディー(グッドラック)〟のための焼酎献杯の誘いがかかったが、彼女は断固としてこれを拒み続けてきた。

 もちろん、私も常に彼女の傍らにいて監視を続け、どうしても断りきれない場合には、彼女の代わりに強い強い焼酎を飲み干した。

 すると、彼らはやっと納得した風で、ラーへの献杯を諦めるのである。

「ラー、村人たちはお前さんが病気だと知っているのに、なんで焼酎を勧めるんだ。まったく、訳がわからん・・・俺は、そろそろぶち切れそうだぞ」

「クンター、ごめんなさい。でも、これが昔からの慣習なんだから仕方ないんだよ。前の主人が死んでから、わたしは家族の代表として村の男衆たちとも対等に付き合ってきたから、みんなわたしのことを男のように思っているの。それに、ほとんどの人が学校に行けなかったから、病気のこともよくわからないんだ・・・勘弁してやってね」

 ラーが懸念しているのは、村人たちの潤滑油になっている〝焼酎付き合い〟を欠かすことで人間関係が壊れることなのである。

 現実に、ラーが絶対に飲まないことが知れ渡ると、それが村人たちの格好の噂の種になり、友人や知人の訪問もぴたりと途絶えてしまった。

「でもなあ、ラー。本当の友人だったら、まずはお前さんの体のことを心配するのが先決だろう。焼酎がなくったって、家にやってきて〝辛いだろうけど頑張れ〟って励ましてくれるのが本当の友人や仲間というもんだよ」

「・・・そうだね。彼らが欲しかったのはわたしの心じゃなくて、ただで飲める焼酎だったのかもしれないね」

          *

 私は、彼女の気分を引き立てようと、極力外に連れ出そうと試みた。

 少し遠出になるが、信頼できる友人の家を訪ね、山に入って筍掘りや茸狩りを楽しんだ。

 山を降りて沢の風を浴びながら休憩していると、ラーの表情がとてもよくなる。


 彼女は以前のように疲れを訴えることがなくなり、「体の中の悪いものがどんどん外に出ているような気がする」と微笑んだ。

          *

 今日の再検査の結果は、「きわめて良好」ということだった。

「胃の症状は8割方改善しているし、ピロリ菌の除去も順調に進んでいます。肝臓の方も、このまま断酒を続けていけばいい状態が保てるでしょう。あとは、6週間後にピロリ菌と肝数値のチェックをして、その後の様子を見ることにしましょう」

 このところ頭痛もなく、頭部検査の必要もないようだ。

 この状態が、いつまでも続くように祈りたい。
 
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1 コメント

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少し安心ですね。 (チェンライの山並み)
2008-08-01 12:23:41
数年に一度は狭いの中で、飲んだ後永遠に起きない人が出ますからね、、チェンマイですとうっているものは35%でチェンライの40%より少し楽と聞いています。

私も進められる酒は拒まずと飲んでいましたが、事実上飲まなくなって、殆ど其の付き合いは無くなりました、、なにかの時に、一本寄付していますが、誰が何してると言うことはわあk里にくくなりますが、ほかのことが出来る時間が増えたと喜んでいます。

お大事に、、
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