室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

お陰さまで、生き延びました

2008-11-24 16:00:13 | Weblog
この一週間、私なりに毎日全力で走った・・かな?

17日月曜日は、中野ゼロホールでの東京室内管弦楽団の岩窪さん没後10年メモリアルコンサートで、東室にとって初めての指揮者、菅野宏一郎さんが懐の深い音楽性(たぶん人間性)で、演る側にとっても満足のいくコンサートとなりました。

どこまでもどこまでも広がる、広い宇宙に到達させようとするオーケストラの響き。これは音量のことではなく、何十人という演奏者の気持ちと、それについて来て下さる千人以上の観客・聴衆との精神的な空間の広がりのことですが、本当に久しぶりに、そういう演奏会になりました。岩窪さんの時代以来、10年ぶりだなー、と演奏しながら感じる瞬間がありました。

一人で弾いていても、室内楽でも、自分の中で音の広がり、音の洪水で幸福感にひたれるものですが、フル・オーケストラの音の海は、そこに、目に見えて、手に触れることが出来るような至福の感覚が有ります。それをポピュラー音楽で実現するのが”イワクボ・サウンド”の醍醐味で、「それが好きでやっている」という話を岩窪さんとずいぶんしたものでした。それがこの日、蘇った感じがして、現・社長の橘川さん(いわくぼ未亡人)と、思わず肩を抱き合いました。

後から頂いた感想で、「日本のオーケストラなどの演奏は、良く勉強されていると感じる事があるけれど、この日の演奏は、学習した成果という物ではなく、まさに”ネイティブ”の、自分たちの物とした演奏だと感じられた」と言って下さる方があり、最高の賛辞を頂いたと思いました。


さて、翌日18日からは、ブラームスです。
22日土曜日に、バイオリニスト・小笠原伸子さんの関内にある”スペース横浜バロック”で、ピアノ伴奏によるバイオリン協奏曲シリーズ・第4弾。ブラームスのバイオリン協奏曲です。

去年、ベートーヴェンの協奏曲をやって、終わった時に「来年はブラームスやりますから」と小笠原さんに言われて、去年のうちにブラームスの楽譜を購入しました。今年は、3月と5月にバイオリニストの井上直子さんとブラームスのバイオリン・ソナタ第2番を演奏する機会があり、今年は”ブラームス”づいているな・・と思いつつ、楽譜はずっとピアノの上の楽譜の山に埋もれていました。

9月になってから「ドッペル協奏曲(バイオリンとチェロの為の二重協奏曲)もお願いします」とご連絡が・・。

ホンマかいな~

・・と思っていたら本当に楽譜が届きました。
10月になって、1~2回譜読みを試みましたが、バイオリン協奏曲も、ドッペル協奏曲も、第1楽章を終わりまで弾くだけでもとても大変。どちらも有名な曲なので、テーマやモチーフは記憶にあるのだけれど、和音のつながり、転調の仕方が予測がしづらい作風です。譜読みが大変・・というより、身体に振り付けを覚えさせる必要があるのに、時間が無い・・という状態で、11月18日になったのです。

翌19日には第1回目のリハーサル、一日置いて、21日に2回目のリハーサルで、22日が本番。
正直言って、18日に自宅で練習しながら「これは、やっぱり無理ですって、普通は言うんだろうなー」と思ったりしました。でも、とにかく出来る限りの事をして、取り組みました。

バイオリン協奏曲が51ページで40分を超え、ドッペル協奏曲は47ページで35分位かかる、どちらもなかなかの大曲です。20日の段階では、いくら練習しても、まだバイオリン協奏曲の方の第1楽章・・という状態で、両方を前楽章ほんとに出来るんだろうか、と思いましたが、次第につかめて来るに従って、ブラームスの音楽の深さ、大きさ、美しさ、純粋さに心打たれるに至りました。

そして本番では、ドッペル協奏曲の途中から「ああ、もうすぐ終わっちゃう」と惜しい気持ちになる程でした。弾く方も体力、気力に余裕が無いと出来ませんが、お客様の方も、相当にがんばって聴いて頂くことになるなーと思いました。それと、エコノミー症候群になる方が出ないか心配でしたが、終わってからの感想で「そんなに永いとは感じませんでした」とおっしゃって下さる方が何人もいらして良かったです。

小笠原伸子さんは、一見おおらかで、伸びやかで「本番は本番よ。何でも有り!」とさらりと言ってのけたりする方ですが、「やると言ったら、やり通す」その芯の強さと集中力には感服します。それでいて、全てを包み込む明るさがあって、それが魅力だと思います。

本番にはご両親もいらしていて、ドッペル協奏曲の共演者でもあるチェリストのご子息、俊之さんと、良き理解者で協力者のご主人にも囲まれて、ちょっぴり羨ましく思いました。


そうそう、写真は、17日の中野ゼロの日に聴きに来て下さった、横浜の鳩の森愛の詩保育園が送って下さった花束です。19日のブラームスの1回目リハーサルの夜、保育園の歌の合唱団の練習に伺い、来年3月の卒園に向かって、本格的に発進しました。これからは、歌つくりに頑張りマッスル

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