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白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

陳耀燁-芝野虎丸戦

2018年07月26日 23時23分50秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は百霊杯2回戦が行われました。
日本代表の2局は、幽玄の間にて解説付きで中継されています。
大橋成哉七段が1人2役で解説していましたが、効率的で良いですね。
なるべく多くの棋譜に解説が付くようになって欲しいと思っています。

さて、今回は陳耀燁九段(中国)と芝野虎丸七段の対局で、印象に残った場面をご紹介しましょう。
陳九段も、例によって世界戦優勝経験者です。
この棋戦でも優勝していますね。



1図(実戦)
陳九段の黒番です。
白1と三々に入った瞬間、黒2のノゾキを利かしにきました。
白Aとつなぐと、黒にとって一方的に得な交換となります。
ましてや、白は×の所に眼が2つあるような石です。
ここで頭を下げるのは悔し過ぎます。





2図(実戦)
ということで、白1と反撃しましたが、黒2、4と絡んできました。
黒AやBが先手なので、白としては鬱陶しい限りです。





3図(実戦)
結果、左辺にできそうだった白模様はすっかり消えてしまいました。
白は黒×を取りましたが、厚みを小さく囲わされた格好ですね。
黒が上手く立ち回りました。

芝野七段の腕力は、世界のトップ棋士にも劣らないと思います。
ただ、本局は上手く力を封じられた印象です。

残念ながら日本勢は2回戦で敗退となりました。
その代わり、依田紀基九段が元老戦で決勝に進出したので、そちらを応援しましょう!

高校選手権

2018年07月25日 23時56分33秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
3日間に渡って開催されていた高校選手権が、本日閉幕しました。
男子団体戦は灘高校、女子団体は洛南高校が優勝しました。
男子個人戦は林朋哉さん、女子個人は岩井温子さんが優勝しました。
おめでとうございます。

私が高校選手権で優勝したのが高校3年、17歳の時でした。
もう2倍の年齢になったのですね・・・。
当時とは全国大会の方式も色々と変わりました。
一番大きな変更点は、リーグ戦方式の予選が行われるようになったことですね。
私の時は1回負けた時点で即終了でしたが、今は少なくとも3局打てるようになっています。
参加者全員が楽しめるようになったと言えるでしょう。

さて、今回は個人戦決勝の2局の感想を述べたいと思います。



1図(男子個人戦1)
男子決勝、鈴木智大さん(黒)と林朋哉さんの対局です。
序盤から物凄い戦いが起こりました。
黒1に白2と受け、双方命がけのコウ争いが勃発!





2図(男子個人戦2)
コウ争いは黒が勝ったものの、白△に回っては白優勢です。
しかし、ここからの黒の必死の頑張りが印象的でした。
黒△と黒×を両方助けてしまいます。

一方、林さんも冷静でした。
最後まで隙を見せず、しっかりと勝ちきったと思います。

毎年言っていますが、最近の高校生のレベルは高いですね。
今の私は、17歳当時の私に2子置かせても勝ち越せると思いますが、最近の高校生のトップクラスにはとても無理ですね。
一般のタイトルホルダーも混ざっているぐらいですし・・・。





3図(女子個人戦1)
女子決勝、岩井温子さん(黒)と田中ひかるさんの対局です。
白△と、4線の石に肩衝きしたのは思い切った作戦ですね。
本局は全体的に、堅実な黒と思い切った打ち回しの白の好対照でした。





4図(実戦)
白1に対し、黒2からの打ち回しも印象的でした。
部分的にかなり損ですが、黒8と左右をつなげばもう負けようがない、という判断ですね。
実際、このまま黒が押し切ることになりました。

百霊杯

2018年07月24日 23時52分37秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は百霊杯1回戦が行われました。
日本勢2勝2敗はまずまずといったところですね。
今回は檀嘯九段(中国)と芝野虎丸七段の対局をご紹介しましょう。
檀嘯九段は世界戦優勝経験者です。
中国の若い九段は、大体世界戦優勝で昇段しているようです。



1図(テーマ図)
芝野七段の白番です。
白△とつなぎ、右辺を広く構えました。
ここで、上下の白の強弱が問題となりますが・・・。





2図(実戦)
黒1と打ち込みました。
白は決して強くない、むしろ攻めの対象だと主張しています。
一方、白も2とボウシして、黒を攻める態勢を取っています。
どちらの判断が正しいかという疑問が湧くところですが・・・。
これはどちらも正しいのでしょうね。
白石は強いとは言えませんが、石数が多いです。

プロ同士の対局では、どちらの言い分も正しい時に戦いが起こりやすいです。
どちらかが明らかに間違っている時に戦いが起こると、あっという間に形勢が傾きますからね。





3図(実戦)
例によって延々と戦いが続きました。
黒△と打ったところでは、ようやく局面が落ち着き、ヨセに入るかと思われましたが・・・。





4図(実戦)
あっという間に盤面が激変しました。
白が黒×を取り、黒が白×を取る振り替わりです。
にわかには損得勘定ができませんが、この2人のことですから良い勝負なのでしょう。
これだけ激しく戦って半目勝負になるとは、面白いものですね。

上野-六浦戦その2

2018年07月23日 23時22分28秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日はナショナルチーム合宿の六浦雄太七段と上野愛咲美二段の対局をご紹介します。
またか、と言われてしまいそうですが・・・。



1図(実戦)
六浦七段の黒番です。
黒×と白×の力関係は、白が有利ですが・・・。





2図(実戦)
だからこそ、黒△と仕掛けていきました。
攻めというより、捌きの感覚でしょう。





3図(実戦)
黒△と伸びた場面です。
黒×はほぼ取られていますが、白×も動きにくくなっています。
元々黒が不利な戦いだったことを思えば、黒が上手く立ち回ったと言えるでしょう。


上野-結城戦

2018年07月22日 23時34分09秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
来週にチャリティーイベントを予定していましたが、参加者が集まりそうになく、中止することになりました。
当日は休養日にして、個人的に寄付することにします。

昨日の日記でAIのことに触れましたが、たかお日記によると人間はチーム戦だったようですね。
普段の対局とは違ったものが見えてくるのではないでしょうか。

さて、本日は上野愛咲美二段と結城聡九段の対局をご紹介します。
最近の上野二段の活躍はご存知の通りです。
ところで、Twitterのフォロワーの方に教えて頂いたのですが、天元戦予選で私と上野二段との対局が決まっているとか・・・。
8月2日の片岡聡九段との対局に加えて、またしても強敵ですね。
今年の成績はどうしようもないので、せめて強い相手に勝つことを目標にするとしましょう。



1図(テーマ図)
上野二段の黒番です。
左辺は白の勢力圏ですが、そこで全力で戦うとはいかにも上野二段ですね。
黒△とつないだ場面、次に白Aなら黒Bと打って白×を取り、左上白が弱体化しますが・・・。





2図(実戦)
ここで結城九段の放った白1~7が、鮮やかな返し技!
中央がピッタリ止まってしまいました。





3図(実戦)
白△まで、左上黒はAと打たなければ生きませんし、左下黒は完全な浮き石です。
白の有利は明らかですね。
本局は結城九段の読みに軍配が上がりました。