白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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相性

2018年07月16日 21時10分55秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継された中国甲級リーグ、李世ドル九段と古力九段の対局をご紹介します。
言わずと知れた、韓国と中国を代表する大棋士ですね。
庁舎の対戦成績は把握していませんが、確か良い勝負だったと思います。

ところで、囲碁の対局には相性があると言われています。
ほぼ同じ実力の相手でも、対戦成績が大きく偏ってしまうことは珍しくありません。
私にも全く勝てていない相手や、何故か負けていない相手が何人もいます。
それらには大きな理由があることもあれば、偶然の産物であることもあるでしょう。

また、対戦成績とは別の相性もあり、それは碁の内容に関するものです。
特定の組み合わせにおいて、毎回両者の個性が色濃く表れ、系統の似た碁になりやすいのです。
かつての武宮正樹-趙治勲戦などはその典型ですね。
武宮九段が三連星や大模様模様といった上段の構えにこだわれば、趙名誉名人も徹底して下段の構えで対抗しました。
意地や自信といったものも影響した結果でしょう。

李九段と古九段の対局にも、似たような傾向を感じます。
それぞれオールラウンダーだと思いますが、両者が対局すると毎回非常に激しく、かつ変化の多い対局になる印象があります。
ライバル同士、いつも以上に力が入っているのかもしれませんね。



1図(テーマ図)
李九段の黒番です。
白△と打ち、右下黒を閉じ込めた場面です。
一息ついた印象もありますが・・・。





2図(実戦)
黒1、3と仕掛けました!
この鋭い仕掛けは、いかにも李九段ですね。





3図(実戦)
白△まで、大変化となりました。
黒は白×を取り、白は黒×の4子を抜いています。
ただ、これは後に始まる激戦の序章に過ぎませんでした。





4図(実戦)
さらに170手ほど進んだ場面です。
盤上いたるところが焼け野原に・・・。
いかにも両者の対局らしく、戦いと変化に終始した碁でした。