白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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王座戦感想&問題解答その2

2017年11月18日 20時36分03秒 | 問題集
皆様こんばんは。
本日、第65期王座戦第2局が行われました。
なんと言うか、凄い碁でしたね・・・。
ただ勝ち負けを争うだけでなく、お互いの全てをぶつけ合うかのように戦っていたと思います。



1図(実戦)
井山王座の黒番、白が△と打った場面です。
×の所の黒石を抜かれ、黒△も腐っています。
井山王座の碁には珍しい惨状です。
その代償に左下白を狙ったものの、白△までと生きられては絶望的な形勢に見えます。
私が黒を持っていれば、ここで投了してしまったかもしれません。

ただ、実際には見た目ほどは離れた形勢ではなかったのかもしれませんね。
それもあってか、井山王座の挑発に一力挑戦者が乗っていき、生き死にをかけた勝負に突入・・・。
そして双方秒読みの勝負の中、ついに井山王座が大石を仕留めて逆転しました。

そして、そこからの井山王座も全く緩みませんでした。
優勢なのにコウ争いで損コウを連発する、私には怖くてとてもできない打ち回し・・・。
しかし、終わって見ればしっかりコウに勝っていましたね。

双方が楽な勝ちに甘んじず、とことんまで争った1局でした。
これで明後日には第3局を打つのですから、物凄い体力です。


さて、それでは残っていた問題の解答を発表します。



2図(失敗図)
まず、白1は黒2と眼を作られてしまいます。
これは失敗ですが、この後もし白Aと打てれば・・・という発想ができれば正解が見えてきます。





3図(正解図)
というわけで、正解は白1です!
白3の後、黒Aなら今度は白Bと打って欠け眼にすることができます。
黒Aでなく黒Bと押さえてくれば白Cとハネ、やはり欠け眼になります。
白1はシンプルですが、気持ちの良い手筋ですね。

ちなみに、初手白Cとハネ、黒Aに対して白1でも正解です。
正式な詰碁ではないので、答えが2つありました。





4図(変化図)
本題から外れますが、面白い図があるのでご紹介しましょう。
別解の白1のハネに対して、黒2のコスミが敵の急所は我が急所の好手となります。
白3と伸びる一手ですが、黒4と渡って白地を減らすことができました。
もっとも、白5と切られて本体が取られてしまうので、問題の本質には影響ありませんが・・・。





5図(白の失敗)
白1(Aの所)に黒2とコスんだ時、うっかり白3と押さえると大変です。
黒6まで、×の所のコウ争いに持ち込まれてしまいました。

狭い所ですが、考えてみると色々な変化があるものです。
そして、問題の本質には関係なくても、こういうところを突き詰めて考えると良い読みの訓練になります。
ですから、私たちが詰碁を解く際には、こうした変化まで考える習慣がついています。
コメント
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