白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

幽玄の間その2

2016年07月30日 23時50分56秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
本日は前回に引き続き、幽玄の間で中継された対局をご紹介したいと思います。



趙治勲名誉名人(黒)対王銘エン九段戦です。

白△がプロの踏み込み!





白1では厳しさが足りません。
白5まで打っても下辺には黒の1眼確定、黒6と悠々飛び出されて攻めになりません。





実戦は白1の踏み込みから白7までと進み、下辺黒の眼の出来具合が違う事をご確認ください。





黒1、3なら白4、6となり、明らかに白が攻勢に立っています。





実戦は黒は5子を捨て、黒5と右下白へ迫って行きました。
ここで主導権を握る作戦です。





黒6までと進み、次に白Aなら黒Bとなって白が下辺に閉じ込められます。





そこで白1と変化、黒は右下白を取り、白は中央を突き破る変化になりました。
相手の言いなりにならない、プロらしい分かれになったと思います。





その後このような展開になりました。
右下隅の石を取られた白は、下辺一帯でそれ以上の大きさの白模様を築いています。
白の碁盤全体を見た打ち方が光った1局でした。