白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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幽玄の間

2016年07月29日 23時34分15秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
本日は木曜日に幽玄の間で中継された対局をご紹介します。



金秀俊八段(黒)対伊田篤史八段戦です。
白△とハネた場面、黒A、白Bとなればごく自然な進行です。





ところが、実戦は黒1と驚きの強手!
碁界屈指の力戦家、金八段ならではの仕掛けでした。





白1と出る一手に、黒2の逃げ出しが狙いです。
黒の左右が裂かれ形になるので怖い打ち方ですが、白を分断して強引に戦いに持ち込みました。
相手の伊田八段も力戦家、ここから長い戦いが始まります。





白△と飛んだ場面、双方共に左右に生きていない石を抱えています。
下辺の白は一見強いようですが、黒A、白B、黒Cの手順で眼が無くなります。
ここから黒Dと打ち、さらに左下の白に狙いを付けて行きました。





このように進むと左下の白に眼が無くなります。
これが黒の注文なので・・・





白は2子を捨てて隅に根拠を確保する事になりました。
ここは黒がポイントを挙げていますが・・・





白は先手を取って1、3と中央の黒に攻めかかりました。
黒も6から反撃して一歩も引きません。





白1と右辺白を生きてようやく一段落かと思いきや、黒2と打ち込んでまだまだ戦いは続きます。





左上では、意外な所でコウ争いが勃発!





白△とコウを解消して、黒△から始まった戦いがようやく終わりました。
この間、150手以上!
戦いに次ぐ戦いで、面白い1局だったと思います。
ぜひ総譜をご覧ください。
なお、結果は金八段の黒番中押し勝ちとなりました。