白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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幽玄の間シリーズその8 李炯珍ー仲邑菫(三星杯)

2022年11月01日 23時49分46秒 | 幽玄の間

皆様こんばんは。
本日は幽玄の間で中継された、三星火災杯本戦2回戦の李炯珍六段(黒)と仲邑菫三段の対局をご紹介します。

1図(テーマ図)
黒△と切られた場面です。
ここは白Aと伸びて×のシチョウを見合いにするか、あるいは黙って白Bと形を整えれば無難です。
それで形勢も十分でしょう。
ただ、やや緩んだ形ではあるので、完成の鋭い仲邑三段としては引っかかるものを感じたのでしょう。



2図(実戦)
実戦は白1、3と目一杯の手で応戦しました。
これも2つのシチョウを見合いにした手ですが、黒4(×の所)のハネを一本打つ手筋で両方凌いでいます。
もちろん、仲邑三段には読むまでもないことで、あえて実戦の振り替わりで打ってみたくなったのでしょう。
ただ、実際問題としてこの振り替わりはかなり黒有利で、形勢も黒がリードしました。

仲邑三段は筋や形にこだわりがあり、それが魅力的な棋譜を残せる要因の1つでもあるでしょう。
半面、それが勝負においてマイナスに働いてしまう場面もしばしば見受けられると感じています。



3図(実戦)
しかし、中盤戦のセンスは流石のものです。
左右の黒を脅かしながら、白7まで下辺に大きな地をまとめてしまいました。
こうなっては逆に白優勢でしょう。



4図(実戦)
地は白リードですが黒1~5と、中央、左下の白を攻めて挽回を図っていす。
ここから一進一退の攻防が繰り広げられますが、残念ながら最後にミスが出たのは仲邑三段の方だったようです。
僅かに届かず、1目半負けとなりました。

惜しい結果でしたが、世界戦本戦で素晴らしい戦いぶりだったと思います。
次の機会を楽しみにしています。

 


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