白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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石の価値

2017年05月21日 23時03分51秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は第4回会津中央病院立葵杯、準決勝が行われました。
決勝に勝ち進んだのは、謝依旻会津中央病院杯藤沢里菜女流本因坊でした。
両者は女流三冠と二冠であり、本命同士がぶつかることになりました。
正に頂上決戦といった印象ですね。
来期から挑戦手合制になることもあり、優勝には例年以上に大きな意味があります。
決勝第1局は6/16(金)に行われます。
ぜひご覧ください。

さて、本日も指導碁を題材にします。
テーマは石の価値です。



1図(テーマ図)
白△と守った場面です。
次の黒の一手は、AとBどちらでしょうか?





2図(正解)
黒1と傷をしっかり守っておくのが本手であり、正解です。
白2と守るぐらいですが、そこで黒3、5などと攻めながら左辺を大きくして行きます。
黒にとって理想的な展開でしょう。





3図(実戦)
実戦は黒1と切りました。
黒△を取られても白△を取れば良いという発想ですが、どうでしょうか?





4図(実戦)
白5までとなり、確かに白△は取れました。
黒1子との振り替わりは互角に見えるかもしれません。
しかし、実際には違います。

黒△は絶対に死なない強い石であり、そこに張り付いている白△は価値が低いのです。
そこから地を増やしたに過ぎないのが本図の進行です。
白3子を取っている間に中央に白石が増え、攻めが狙えなくなってしまいました。
また、左辺を切られたことにより、左下一帯の黒も薄くなっています。

分断によって両方の石を攻められると最高ですが、カス石を切っても喜んで捨てられてしまいます。
2図のように、丸飲みする勢いで大きく攻めるのが厳しい攻めなのです。
私の本にも、ちゃんと「弱過ぎる石は取らない」と書いてあります(笑)。