白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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棋士紹介第8回・福岡航太朗初段 

2019年07月25日 23時59分59秒 | 棋士紹介

<本日の一言>
本日は横浜市栄区の本郷小学校にて入門教室を行いました。
1年生から6年生まで40人ぐらいの参加がありましたが、大勢のスタッフの皆さんのお手伝いのおかげで、行き届いた指導を行うことができました。
栄区では入門者や初級者に優しい環境ができていて素晴らしいですね。

ところで、参加者の子供とのやり取りでこんな場面がありました。
子「先生は何歳なの?」
私「そうだねぇ、何歳だと思う?」
子「えーっと・・・65歳!」



皆様こんばんは。
本日は久々の棋士紹介シリーズです。

<福岡航太朗初段(公式プロフィール)>

平成17年(2005年)12月22日生まれの13歳、中学2年生です。
小柄で童顔の少年ですね。
しかし、碁打ちとしては非常に大人ではないでしょうか。
彼には小学生低学年の頃から注目していましたが、当時から風格すら漂う碁を打っていました。
棋風は仲邑菫初段と近いところもある気がしますが、気合で押す印象の仲邑初段と比べ、福岡初段は終始冷静な打ち回しが持ち味ではないでしょうか。
韓国に留学して囲碁漬けの生活を送った時期もあり、さらに力を付けたようです。

福岡初段は2018年の4月に院生になりました。
Eクラスの一番下、全体の順位で言えば52位からのスタートです。
そこから驚異的な成績を残していきます。
5月には43位、6月には29位、7月には16位と毎月順位を上げ、8月には最短でAクラスに到達、順位は8位となりました。
そして、翌9月には5位、10月にはなんと1位になりました。
さらに、そのまま冬季棋士採用試験を迎え、2位に入って入段を果たしています。
凄まじい速度で駆け上がったものですが、院生に入った時点で既に十分な実力があったということでしょう。

さて、本日は日本棋院ネット対局幽玄の間にて福岡初段の棋譜が中継されていたので、ご紹介してみます。
福岡初段の黒番、相手は甲田明子四段です。

 

1図(テーマ図)
黒1、3は、地の増減だけ見ても大きいところです。
しかし、目先のことだけでなく、将来のストーリーまで思い描いているのが福岡初段です。



2図(実戦)
白1などと打ってくることは予想できますから、黒2の打ち込みから黒10までも予定通りの打ち回しでしょう。
左辺の白模様を荒らしていますが、それだけではありません。



3図(実戦)
白1と左辺黒に圧力をかけましたが、黒2で黒△を助けました。
白の眼を奪って、逆に攻めを狙っています。
テーマ図の時点で、既にこのような進行のイメージを持っていたのでしょう。



4図(実戦)
黒1、3、5の様子見も、目的意識から生まれる着想です。
なんとかして白の構えに弱点を作り、黒9のツケコシを成立させようというのですね。


このように、13歳にして非常に完成度の高い碁を打っています。
井山裕太四冠や一力遼八段もそうでしたね。
福岡初段の今後の活躍が楽しみです。




☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

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