白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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<明日発売>やさしく語る 碁の大局観

2018年05月22日 23時59分59秒 | 著書
皆様こんばんは。
いよいよ明日、「やさしく語る 碁の大局観」が発売されます。
今回は本の内容をご紹介したいと思います。
ですが、その前に私がこれまで執筆してきた本の価値について語っていきましょう。

〇やさしく語る 碁の本質
まず、第1作の「やさしく語る 碁の本質」は、碁で最も大切にすべき基本が何かということをお伝えする本です。
基本ですから、当然私しか知らなかったような斬新な発見はありません。
ですが、本書は大ヒットとなりました。
基本の考え方を本当の意味で理解している方が少なかったからです。
その原因としては、基本の考え方を書いた本は沢山あっても、誰にでも分かりやすく、かつシンプルに伝えられている本は少なかったということが考えられます。
そこをクリアしていることが、本書の最大の価値であると考えています。

〇やさしく語る 布石の原則
第2作、「やさしく語る 布石の原則」も前作の延長戦上にあるもので、姉妹作と言っても良いでしょう。
もっとも、布石段階がメインなので、碁の流れとしてはこちらの分野が先になるのですが、理解の流れとしてはやはり前作を先にした方が分かりやすいかと思います。

本作もシンプルな内容にまとめることを心掛けました。
布石は1局の碁の中で最も自由度が高く、それゆえ最善の結果を求めることの難易度は高いです。
そのために必要な考え方も数多くありますが、本作ではあえて優先度の高いことだけに絞りました。

布石をきっちりと理論化しようとすれば、論文のようになってしまうでしょう。
しかし、多くの囲碁ファンに必要なのは、理解しやすく身に付けやすい考え方です。
そこで、本書でも「やさしく語る」ことにこだわりました。
布石の高度な分野に踏み込んでいないので、ある意味ではプロらしくない本になったかもしれません。
まあ、長い間アマチュアをやっていたので仕方ないでしょうか(笑)。

〇やさしく語る 碁の大局観
さて、では第3作はどうでしょうか?
実は、これまでの本と違って、内容自体が斬新ではないかと思っています。
本作は、置き碁の白番の打ち方を学ぶことで、大局観を身に付けるという内容ですが・・・。
まず、置き碁の本は色々と出ていますが、多くは黒の立場に立っていて、白番の打ち方を記した本はかなり数が少ないです。
また、白番の打ち方にしても打ち碁集のようなものが多く、考え方を中心にした本は私は見たことがありませんでした。

本書は、白の必勝戦法や定石をお伝えする本ではありません。
もちろん、これがおすすめという打ち方自体は出てきますが、それを何故打つかという理由の方が大切です。
また、打ち碁集ではないと言いつつ、本書の最終章では約70ページに渡って私の打ち碁をご紹介していますが・・・。
これも、皆様に考え方を身に付けて頂くためのものです。
ですから、手どころの解説などは最小限にして、私がどんな方針で打っているかを詳しく説明しています。
プロが打つ碁ですから、当然難しい手を打つこともありますが、ぜひ根底にあるものを感じ取って頂きたいですね。
具体的な着手を真似するには棋力が重要ですが、考え方を学ぶということに関しては、級位者も高段者も関係ないと思っています。

しかし、今書いたばかりのことと矛盾するようですが、本作は打ち碁集としてもなかなか面白いのではないでしょうか。
世に出るプロの置き碁対局は、大抵2子局か3子局ですが、本作は2子~9子まで網羅しています。
それも、難易度の低い2子局は参考図込みで4ページ、3子局も6ページと少なく、メインは4子局以上となっています。
そもそも、最終章以外では4子局以上の置き碁しか登場しません。

ところで、第1作「碁の本質」では、問題図ができるまでの手順を記しませんでした。
これは、とにかく「碁盤全体を見て、石の強弱を確認する」ことに集中して頂くためです。

ですが、第2作「布石の原則」では問題図までの手順を記しています。
布石の本ですから、問題ができるまでの手順も重要と考えました。
おかしな手は出てきませんから、お手本としても役に立つでしょう。

そして、第3作でも問題図までの手順を記しています。
置き碁の序盤は互先以上に重要だからです。
また、テキスト部分を活用し、手順についても解説しています。
詰め込み過ぎて、再校ゲラができた段階で盛大にはみ出していたページも多数・・・。
本に残ったらどうしようかと思いましたが、それは大丈夫でした。


さて、あまり具体的な内容について語れていない気がしますが、長くなりましたので今回はこのぐらいにしておきます。
今後も紹介を続けていきたいと思います。