白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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出版記念イベントについて&著書紹介

2018年06月27日 23時59分59秒 | 著書
皆様こんばんは。
先月、この本を出版しました。



「やさしく語る」シリーズの第3弾です。
また、これに関して、近々イベントを行うことになりました。



会場は横浜の宇宙棋院です。
こちらでは3年半ほど前から級位者教室の講師を務めています。
始めて行ったのが中学生の頃ですから、かれこれ20年ほどのお付き合いですね。

トークショーというタイトルですが、50分に渡ってひたすら話す能力はありません(笑)。
そこで、本の内容に関連した講座がメインになる予定です。
無料ですから、ぜひお気軽にご参加ください。


さて、本日はここでも本の内容について語ってみたいと思います。
暇ができたらやろうと思っていたら、いつの間にか時間が過ぎていました・・・。
多くの皆様にご購入頂きたいので、しっかりと宣伝します!
前回とかぶる部分もありますが、時間が経っているので改めてということで。

<本作のテーマ>
本作のテーマは、タイトルにあるように「大局観」です。
大局観とは、「現在の碁盤全体の状況を確認したり、将来の展望を思い描き、そのうえで正しい打ち方を考える力」です。
そして、題材は全て「置き碁で白を持った時の考え方・打ち方」です。

囲碁の本の中で、置き碁の打ち方をテーマにしたものはそれなりにありますが、白番での打ち方となると非常に少ないです。
また、それらも多くは打ち碁集のような形式であり、考え方に重点を置いた本となると、ほとんど出ていないと言っても良いのではないでしょうか。
ですから、置き碁で白を持った時の打ち方が分からず、困っている方は少なくありません。
苦手というだけならまだしも、嫌いという方もいらっしゃるようですが、それは非常に勿体ないことです。
なにしろ、囲碁ファンの棋力は幅広く、自分と近い棋力の方はその中のごく一部です。
そのごく一部の方との対局しか楽しめないとしたら、交流の幅が非常に狭まってしまいますね。

<置き碁を楽しく打つために>
多くの方が置き碁で白を持った時に陥りがちな展開は、大別すると以下の2つです。
「急いでハンデを縮めようとするあまり、無理を重ねてしまう→相手がポカをすれば上手くいくこともあるが、そうでなければボロボロに」
「無理せずしっかり打とうとするあまり、差が全く縮まらない→何もできずに負けるか、あるいは結局無理な勝負手(騙し)を連発してしまう」
どちらにしても、楽しめそうな展開ではありませんね。

ですが、正しい考え方・打ち方ができると、置き碁で白を持っても楽しく打てます。
そのために色々なことを学んで頂く必要がありますが、それらは全て大局観に通じます。
つまり、本書のコンセプトは「置き碁の白番を楽しく打ちながら、大局観も身に付けましょう!」ということになります。
身に付いた大局観は、当然ながら互先の対局や、自分が石を置いた時にも役に立ちます。
棋力そのものの向上にもつながるでしょう。

<本書の構成>
本書の構成は、大まかに言えば今までと同じです。
考え方をいくつかに分類し、1つ1つ学んで頂けるようになっています。
ただ、最終章は今までのようなテスト形式ではなくなりました。
これは、私の置き碁の白番での打ち碁集であり、ある意味では互先以上に工夫した打ち方が多くなっているためです。
テスト形式にすると難しすぎますから、普通の自戦解説形式になりました。
もちろん、皆様が挑戦して頂く分には自由です。
私が何を考えて打っているのか、想像しながら並べて頂くのも面白いでしょう。

ちなみに、特に最終章でその傾向が強いですが、しばしば高度な手が出てきます。
「ちょっとこの手は真似できないな」と感じることもあるでしょう。
その場合、無理に真似をする必要はありません。
大事なのは私の手そのものを真似することではなく、考え方を身に付けて頂くことだからです。
私が何を考えて打っているのかをご理解頂ければ十分です。


「やさしく語る」シリーズでは、棋力の向上はもちろんとして、碁を楽しく打てるようになって頂くことも目指しています。
その意識の強さで言えば、本作は今までで一番です。
皆様が今まで以上に碁を楽しむためのお役に立てれば幸いです。