白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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申真ソ-朴廷桓

2020年05月06日 23時59分21秒 | 幽玄の間

皆様こんばんは。
本日は日本棋院ネット幽玄の間で中継されていた、申真ソ九段(20)-朴廷桓九段(27)戦をご紹介します。

1図(実戦)
申九段の黒番です。
白△に大して、「ノゾキにつがぬ馬鹿は無し」の格言に従えば黒Aですね。
白は先手で黒の眼を潰せたので、白Bなどと攻めを続行することになるでしょう。

守破離という言葉がありますが、ノゾキに対して必ずつなぐということは「守」にあたります。
石のつながりは碁で最も大切なことですからね。
特に入門者や初心者は、まずこれを身に付けなければいけません。

「破」の段階では、時々は手を抜けるようになることが求められます。
そのためには、例えば「放置すると本当に切れてしまうのか?」「切られた場合の黒×の生死は?」ということを確認できるようになる必要がありますね。



2図(実戦)
「離」の段階では、臨機応変な判断が求められます。
実戦は黒1と反発しましたが、そうすると白2、4と切られてしまうこと、上辺黒に眼が無いことは分かりきっています。
しかし、その代わり黒5の切りが生じること、形勢不利の黒としては勝負に出なければならないこと、など様々な要素を考慮して決断したのですね。

実際のところ、プロはノゾキに対してはまずつながないことから考え、やむを得ない場合につなぐことが多いです。
考え方の順序が逆になってしまうとは面白いですね。



3図(実戦)
黒×はピンチになりましたが、白×を切り離し、中央白も黒Aと切り離す手が残っています。
おとなしく黒×を助けるより、外側で勝負した方がチャンスがあるとみたのでしょう。



4図(実戦)
結果は黒△まで、右辺や中央の白をほぼ全滅させました。
ノゾキ1つで展開が激変した一局でした。



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