白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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二十四世本因坊秀芳、優勝!

2016年07月23日 23時51分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は第1回13路盤プロアマトーナメントの準決勝と決勝が行われました。
決勝に勝ち進んだのは二十四世本因坊秀芳河野臨九段でした。
そして結果は二十四世本因坊秀芳が黒番中押し勝ちを収めて優勝!
前身のクラウドファンディング13路盤選抜プロトーナメント戦と合わせて連覇となりました。
それでは対局の模様を振り返ってみましょう。
なお詳しい解説は幽玄の間youtubeをご覧ください。



黒1の打ち込みから序盤早々戦いが始まりました。
じっくりタイプの二十四世ですが、コミを意識して意図的に早く仕掛ける作戦のようでした。





しかし戦いの最中に黒1を利かしに行ったのが機敏です。
こういった小技は二十四世の得意とする所です。





白3に回られると黒3子を取られますが、4に回って黒優勢です。
こういった優劣の「見切り」が早い所が13路で勝つ秘訣なのでしょう。





実戦は白が隅を受けた所で、一転黒4から動き出しました。





前図から一本道で進み、黒8までとなりました(白1は黒4の所)。
白攻め合い勝ちですが・・・





黒は攻め合い負けは承知の上で、外側に勢力を築く捨て石大作戦でした。
黒10となって下辺一帯を目一杯に構えて勝負です。





白1と伸びて黒の弱みを衝くのに対して、構わず黒4と退路を断ちました!
白5には形が悪くとも黒6の逃げ出しです。
シノギが得意の二十四世としては珍しく全力の取りかけに行きました。





白1から必死にシノギを目指すのに対して、黒は最強手で対応しています。
しかし白9に対して・・・





一転黒1と丸取りを放棄しました。
これで勝ちという見切りですね。
白2と渡りを目指すのに対し黒3から追及して・・・





中の白を取り込んでは形勢は大差になりました。
白5の後黒Aと手を入れていれば終わりですが・・・





実戦は黒1と手抜き、そこで白2が妙手です!
流石河野九段、隙を見逃しませんでした。





白8まで渡っては大成功です。
しかし黒11からヨセに入り、黒がリードを保っています。





最後は黒1が鮮やかな決め手になりました。
この手でAなら簡単にコウですが、負けると黒2子を抜かれてしまいます。





下がりの効果で黒4を打ってなおかつコウになっています。
黒の花見コウとなり、勝負は決しました。


優勝候補の河野九段を力でねじ伏せるとは流石です。
予想外の激しい戦い戦いになり、面白い対局でした。

幽玄の間では準決勝2局と決勝を解説しましたが、3位決定戦には全く触れられませんでした。
という事で明日は3位決定戦、大橋拓文六段村松竜一八段戦を振り返りたいと思います。