白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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黒の態度(7子局)

2017年01月05日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は7子局を題材にします。



1図(テーマ図)
白が△とカケて来た場面です。
黒の応手は、AとBのどちらが良いでしょうか?
置き碁では、こうした大きな分岐点が多く現れます。





2図(実戦1)
実戦は黒1でした。
左右を繋がろうというもので、守りの発想です。
黒の方の棋力は初段付近ですが、同じぐらいの棋力の方なら、殆どの方は実戦でこちらを選ばれるでしょう。





3図(実戦2)
黒8まで、白の手を全て受けました。
全部繋がって安心という事ですね。
ただし、それはあくまで右上方面だけの話です。





4図(実戦3)
白1となると、どうでしょうか。
上辺に白の勢力ができた事で、それを生かして黒△を攻められる形になっています。
受け身に回ると、置き碁の黒はつらいものです。
この後白が次々に技を繰り出し、黒は全局的に防戦一方となりました。





5図(正解1)
最初に戻って、黒1、3の出切りが正解です。
白△は繋がっていない手で、置き碁の黒としてはチャンスと見るべきです。
チャンスを逃さずポイントを挙げてこそ、勝機が見えるのです。
勇気を出して行きましょう。





6図(正解2)
黒8までは一例ですが、白は左右共に全く眼が無く、弱い石です。
特に白△は包囲されつつあり、風前の灯と言えます。
左辺白1子を逃げるチャンスは、永遠に訪れないでしょう。





7図(正解3)
ただし、白1、黒2となって、上辺の黒は生きているでしょうか?
これが分かっていなければいけません。
もしこの黒が死んでしまう方だと、出切りからの仕掛けは暴挙という事になってしまいます。
戦いを仕掛ける前に、自分の石の強弱を確認しておく事は重要です。
無理をする必要はありません。





8図(正解4)
実際には上辺の黒は生きており、黒は外側の戦いに専念できます。
白3には黒4と、やはり足元を固めておきましょう。
すると後には白の弱い石だけが残るので、白△を包囲しても良し、黒Aとこちらを止める展開になっても良しです。
白は防戦一方になり、技を繰り出すどころではなくなるでしょう。

置き碁で正面から戦えば、まず黒が有利になるのです。
もし、こうした戦いで黒がやられてしまうとすれば・・・。
それは、置石が足りない可能性が大ですね。





9図(変化図)
黒にとって嫌なのは、白4のような変化球ですね。
気の利いたうわ手なら、こういう事をやって来るかもしれません。
ですが、怖がる必要はありません。
取られてはいけないのは、上辺の黒と、黒3と切った石です。
これらの要石さえ取られなければ、何とかなります。
仮に悪手が出て黒△が取られたとしても、致命傷にはなりません。

・・・と言っても、実際にはここから誤魔化されてしまうケースは結構多いですね。
戦いに慣れていない方だと、最初は結果が出ないものです。
ですが碁の上達には、戦いに強くなる事は必須です。
うわ手の技を見るつもりで正面から戦って行けば、上達のスピードは間違いなく上がるでしょう。

繰り返しになりますが、無理な戦いを仕掛ける必要はありません。
黒が有利な戦場である事を確認できたら、そこで迷わず仕掛けましょう!