白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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弱い石には・・・

2016年05月03日 21時34分39秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は横浜の宇宙棋院にて囲碁アカデミー 級位者クラスの担当回でした。
毎回工夫して教材を作っています。
生徒さん募集中!

さて、宣伝はそのぐらいにして講座の方に移りましょう。
本日の題材は生徒さんとの9子局です。



置碁でよくある序盤戦です。
白△と入ってきましたが、黒はどういう作戦で行きますか?




級位者の方は相手の石にくっつけるのが大好きです。
しかし格言には「弱い石にツケるな」とあります。
弱い石にツケて行くと、強い石にしてしまうのです。
この黒1などもそういった手になります。




白1には黒2が必要、白3には黒4が必要・・・自然の流れで白の石数が増えて強くなっています。
そして白5となってみるとどうでしょうか。
隅の黒が心細いですね。
そしてこの黒を生きている間に白の壁が出来、黒△が次の標的に・・・というのがよくあるパターンです。




黒1とこちらにくっつけて行くのも大人気の手です(笑)
しかし白6となってみると、なんだか急に白が威張り出した印象です。




そして逃げるのは怖いからと白4までと見捨ててしまったりします。
9子だからこれで十分などと思ってはいけません。
真っ黒の所に大きな白地が出現したわけで、本来ありえない事です。
50目は損をしていますよ!




石をくっつけたがる理由ですが、どうも2手続けて打った時のイメージに惹かれている節がありますね。
しかし実際には相手は二手打ちを許してくれないので、危険な習慣と言えます。




ではどうすれば良いのでしょうか。
まず弱い石を他の石に繋げることを考えます。
黒の弱い石は左下隅と下辺の星ですね。
どちらを優先させるかはお好みで結構です。
まずは下辺星から動く図から見てみましょう。

黒1のように、△の間の線を繋げていきます。
白2のように入ってくるでしょうが、ここは閉じ込められないことだけ考えておけば大丈夫です。
一例として黒5までとなった図はどうでしょうか。
白石は3つに分かれ、どれも弱い石です。
一度に一手しか打てませんから、非常に苦しい状況になりました。




黒1などと、こちらの△の間の線を繋げていくのも良い手です。
白2のような手を怖がる方も多いですが、客観的な視点で見てみましょう。
現在の戦場である碁盤の下半分の石数は黒8子に対して白3子です。
そして白の3子はどれも繋がっていません。




となれば黒1と堂々と進出すれば問題ありません。
黒11までと楽々進出、対する白は弱い石ばかりです。


如何でしょうか。
今回の講座、黒に難しい手は一切必要ありません。
1間トビやコスミなど基本的な形ばかりです。
しかし線を繋ぐ意識をしっかり持っているだけで、あとは白が苦しむばかりです。
ぜひお試しください。
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