白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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謹賀新年

2020年01月01日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、今年も昨年同様、昔の名棋譜をご紹介しましょう。
1844年2月15日、桑原秀策四段(14)と本因坊秀和七段(24?)の対局です。
どちらも歴史に名を残す、大名人クラスの打ち手ですね。

1図(実戦黒1~黒21)
秀策の先番です。
右上でいきなり攻め合いに突入しましたが、当時研究されていた変化でしょうか。



2図(実戦白22~黒39)
一本道で進んだ結果攻め合いは白が勝ち、黒5子を取りました。
しかし、黒18に回って白×が弱くなっているので、黒が悪いとは言えません。
面白い変化ですね。



3図(実戦白40~黒65)
左上は黒の石数が多すぎるので、白×を捨てました。
これはプロにとっては常識的な発想ですね。
白9と開いて治まり、以下しばらく布石のやり直しです。
白11~黒24まで、お互いに石の強弱を重視しながら打っています。

しかし、白25が実に秀和らしい手でした。
多くのプロは、ノータイムで白Aと根拠を確保するのではないでしょうか。
それを秀和はあえて攻めを誘い、捌いて打とうというのですね。



4図(実戦白66~黒77)
黒2はモタレ攻めですね。
そして黒8、10が好手順で、白が苦しくなったように見えます。
黒12に対し、白Aなら黒Bと伸びているぐらいで黒十分でしょう。
かと言っていきなり白Cと切るのは無理、という状況ですが・・・。



5図(実戦白78~白96)
しかし、秀和は白1の肩衝きを用意していました。
黒2と換われば、そこで白3の切りが成立するという読みがあったのですね。
白17まで先手で脱出してから白19に回ると、黒3子の方が危なくなっています。



6図(実戦黒97~白110)
黒も手筋を連発して凌ぎましたが、白12、14に回っては白の捌きが成功したと思います。
3図の時点からは予想外の手順でしたが、秀和には見通しが立っていたのでしょう。
始めて並べたとき、こんな打ち方があるのかと感動したものです。

秀和は特定の型を持たず、様々な打ち回しを見せた棋士です。
固定観念を持たず、常に自由な発想ができていたのではないでしょうか。
私が一言で表すなら「懐の広い碁」ですね。


ちなみに、この碁は持碁になりました。
14歳にして秀和の寄せについていけるとは、秀策も流石ですね。



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