白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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囲碁用語について・その2

2017年12月01日 23時59分59秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
本日は昨日に引き続き、囲碁用語についてお話しします。
昨日は位置を表す用語をご紹介しましたが、今回はを表す用語をご紹介します。



囲碁における形とは、主に既に置いてある石との位置関係を表すものです。
図で言えば赤丸の中の△が付いた手ですね(右下は△に黒が打つとポン抜きができます)。

ここでご紹介した形は、直感で理解しやすい用語が多いのではないでしょうか?
間を空けて打つ飛び、将棋の桂馬の動きと同じケイマ、相手の石にくっつけるツケ、一間飛びのつながりを邪魔する割り込み、相手の肩を上から衝く(圧迫する)肩ツキ、ポンと相手の石を取り上げるポン抜き・・・。
コスミだけは語源が分かり難いですが、小隅とも小角とも言われていますね。
いずれにしても、四角いマス目の隅(角)から隅への、斜めの動きを表したものなのでしょう。

この形を示す囲碁用語も便利なもので、数字を使わずに座標を示すことができます。
位置を示す囲碁用語と合わせれば、「右上星からケイマに打つ」「天元の石に右からツケる」などと表現できます。
プロ同士など、時々会話だけで碁の検討をすることがありますが、それができるのも囲碁用語があってこそです。

ただ、この囲碁用語は非常に便利なのですが、使用に慣れ過ぎていると知識に差がある相手と食い違いが生じたり、あるいは全く理解されないということにもつながりかねません。
その原因としては、1つは囲碁用語の数が非常に多いことです。
我々プロは普段使われる囲碁用語は大体知っていますが、アマの碁の経験・知識は様々です。
ですから、解説しやすくするために囲碁用語を使い、逆に伝わらなくなることが考えられます。
そうならないよう、あまり用語を使い過ぎないことも大切ですね。

2つ目として、棋力が高いほど言葉を省略してしまいがちだということです。
例えば、図の上段中央の手を、「次の手は星下の白から1間飛びして・・・」などと言えば、プロはほぼ白△しか考えませんが、アマの方にはAや左右に打つ手も思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。
気を利かしたつもりで「上に一間飛び」と表現するかもしれませんが、上と言うとAだと感じる方は多いでしょう。
碁盤の中心が上で、端が下であることは前回お話しした通りですが、それも知識が無いと分からないことですからね。
この場合、「5線に一間飛び」もしくは「中央に向かって一間飛び」とした方が通りが良いでしょう。
言葉を省略した方が効率は良いので、なかなか悩ましいところではありますが、伝える相手によって表現方法を変える努力はするべきでしょう。

原因の3つ目、形を示す囲碁用語にはややこしい点があって、それは位置関係だけではなく意味・目的を含んでいることがある点です。
そのため、同じ形でも名前が変わることがあります。
次回、そのことについてお話ししましょう。
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