白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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起死回生?

2016年05月30日 23時59分59秒 | 問題集
皆様こんばんは。
本日は昔の碁を題材にしてみます。



当時の私としても稀に見る酷い碁で、本来は100手以上前に投げているべきでした。
しかし本局はプロ入りを賭けたリーグ戦での1局、みっともないのは承知の上で勝負に拘りました。
また、通常形勢が悪いときは相手のミスを期待するのではなく、少しずつ差を詰めていくべきです。
しかし本局に限ってはたった一つの狙い筋に賭け、相手が気付かない事をひたすら祈っていました。
白が△と打ち、ようやくその狙いが実現した場面です。
黒番、どこに手がありますか?
こちらで実際に石を並べて研究できます。





中央の白に目を付けられた方もいらっしゃるでしょうが、残念ながら失敗です。
黒1には白2で生きています。





「敵の急所は我が急所」と黒1と打つのも、白2でやはり生きています。
中央は既に生きているので、右辺に目を向けてみましょう。





黒1は先手になりますが、後が続きません。
黒3には白4、6と冷静に受けて生きています。





正解は黒1でした!
上下の白を両睨みにしています。





白1と下方を生きれば、黒2で上方の白は1眼しかなくなります。





実戦は白1ですが、黒2の利かしから4と置いて眼がありません。
白7で一見AとBが見合いで生きているようですが、黒から良い手があります。
考えてみてください。





黒1と渡りを止めるのは白2で失敗です。
黒3、5と1目は取れますが、肝心の眼が取れません。





かといって黒1と繋ぐのは、白2以下繋がって生きてしまいます。





黒1の割り込みがうまい手でした!
白2は仕方ありませんが、そこで黒3と助けます。
白Aに入れなくなっている事をご確認ください。





白1以下が気持ち悪い手ですが、予め黒△を利かしてあるので取れています。
ここまで綺麗に罠に嵌ったのも珍しい。
泥水を啜って生き延びた甲斐あって、大逆転!
と思ったのですが・・・





相手は冷静でした。
白1、3とヨセに入られ、4目半負け・・・
これで逆転しないとは、やはり序盤で投げておくべきでした
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