<本日の一言>
名人戦リーグ最終節は、一力遼八段(23)が勝って望みをつなぐも、その後井山裕太棋聖(31)も勝って8戦全勝で挑戦を決めました。
芝野虎丸名人との三冠同士の決戦は非常に楽しみです。
なお、最終節の対局はYoutubeの日本棋院囲碁チャンネルや日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されました。
皆様こんばんは。
本日は8/1に行われた、鄭有珍初段(14)と仲邑菫初段(11)の三番勝負第3局をご紹介します。
なお、この対局は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されました。
1図(実戦)
鄭初段の黒番です。
黒1のカケツギに対して、白はAと当てる一手としたものです。
古事記にもそう書かれています。
なにしろ、黒Bとつながせれば眼を奪う大きな利かしになりますからね。
仲邑初段は黒Cとコウに受けられる心配をしたのでしょうが、コウ争いは黒にもリスクがあります。
ここでひるんだのは仲邑初段らしくなかったと思います。
2図(実戦)
黒1の膨らみに対しても、白2と当てる一手です。
しかし、白4と一手かけたのはどうでしょうか。
黒Aのコウ仕掛けを恐れるところではなく、白BやCなど、広い所に向かいたかったですね。
本局は鄭初段との三番勝負の最終戦であり、計12局の特別対局の最終戦でもあります。
どうしても勝ちたいという思いが、仲邑初段の着手を重くしてしまったのではないでしょうか。
3図(実戦)
とは言え、全体としては互角に渡り合って、勝負はまだまだこれからという場面です。
ここで白1、3とは天才的な発想でした。
絶対に黒×を逃がさないという、強い意志を示しています。
4図(実戦)
しかし、黒1~7と応じられ、AやBに断点のある白としてはこれ以上追及できません。
仕掛けは空振りに終わり、もう勝てない碁になってしまいました。
この後はチャンスが無く、黒中押勝ちとなりました。
この黒の対応は最も自然なもので、白としては予想して然るべきでした。
気持ちがはやり、確認を怠ってしまったのではないでしょうか。
私は囲碁の勝負を左右するのは実力がほとんどだと思っています。
その感覚を数字にすれば、実力7・体調2、メンタル1ぐらいのものでしょうか(麻雀における運と実力の比率のように意味の無い数字ですが)。
しかし、本局に関してはメンタルによる敗北だったと感じました。
それにしても、仲邑初段は本当に良い経験を積んできていますね。
将来はどんな棋士に成長するのでしょうか。
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