白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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5路盤

2018年09月19日 23時47分53秒 | 仕事・指導碁・講座
<本日の一言>
棋聖戦挑戦者決定トーナメントの出場者は、山下敬吾九段、河野臨九段、村川大介八段、芝野虎丸七段、大西竜平三段となりました。
10代から40代までと幅広いですね。
果たして誰が挑戦権を得るのか、注目です。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
五反田の教室では、囲碁が初めての方や初級者への指導も行っています。
碁盤も5路盤、7路盤、9路盤、11路盤、13路盤と色々用意していますが、今回は5路盤についてお話ししましょう。

囲碁の入門には狭い碁盤が適しているということは、これまでにもお話ししてきましたね。
ただ、狭ければ狭いほど良いというわけではなく、やはりある程度の広さは必要です。



1図(初手天元)
なにしろ、狭すぎて黒に初手天元に打たれると、白は生きることすら困難です。
全滅してしまったら、地の数え方も何もあったものではありませんからね。
入門初期での石の取り方の練習に絞るなら、使いようはあるかもしれませんが。
というわけで、入門指導には6路盤か7路盤が使われることが多いようです。

ですが、私は初級者への指導でも時々5路盤を使っています。
メリットの1つとして、対局がそのまま死活の練習になるということです。
必ず白が生きるか死ぬかという問題になりますからね。
2眼という概念を覚えたあたりの人には、ちょうど良いでしょう。

もう1つ、指導中のちょっとした息抜きとしての役割があります。
仮に白を全滅させられなかったとしても、ほぼ毎回黒が勝ちますからね(入門したばかりの方はその限りではありません)。
これが7路盤などでは、コミ無しの黒でも100%勝つことは意外と難しいですし、9路ともなると助言無しではまず勝てません。

ところで、そんな5路盤にも、実は面白い死活問題が生じることがあります
今回はそれをご紹介しましょう。
黒の初手天元の後・・・。





2図(進行図)
白がツケたりハネたり、色々とやってみました。
白5の当てに対して、黒はつなぐのが正解ですが・・・。





3図(問題図)
黒1と抜きたくなるのが人情というものです。
白2に黒3とつないで、これでも白が困っているように見えますね。
AとBの傷があります。

でも、実は白には全滅を避ける方法があるのです。
どうすれば良いでしょうか?







4図(正解図)
白1、3の連続カケツギが好手です(順番は逆でも同じです)。
この後黒Aと置くのは、白Bで全部生きてしまうので・・・。





5図(正解図)
黒1と切るぐらいですが、白2と急所に打って2眼を作ることができました。
黒はAに打てません。

隅と隅の距離が近い盤ならではの粘りでした。
これで生きてしまうのは意地悪なので、対局ではこの手は使いませんが(笑)


張栩九段の「よんろのご」もありますし、狭い碁盤も面白いものです。
確か5路盤の問題集も出ていましたね。