白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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手合日雑感その2

2017年04月07日 23時59分59秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
まずはお知らせです。
明日は永代塾囲碁サロンにて指導碁を行います。
その場で対局の棋譜をお渡しするサービスも行っております。
ご都合の合う方はぜひお越しください。

また、ツイッターの日本棋院若手棋士アカウントの担当者が、上野愛咲美初段から田尻悠人四段に交代しました。
初代担当者の田尻四段、2回目の登板です。
面白い投稿を期待しましょう。

さて、本日は昨日に引き続き、幽玄の間で中継された対局についての感想を述べたいと思います。

<本因坊戦リーグ>
棋聖戦名人戦本因坊戦は所謂三大棋戦と呼ばれています。
リーグ戦形式を採用している事は同じですが、運営方法はそれぞれ違います。
本因坊戦リーグの特徴として、8人中4人が陥落するという厳しさがあります。
なお、本因坊戦のウェブサイトはこちらです。

〇本木克弥七段-黄翊祖八段
棋士の対局では勝てば1、負ければ0という事はよくあります。
しかし、挑戦者争い中の黄八段には、マイナス(陥落)になる危険もありました。
こんな重たい1局もあるのですね。
結果本木七段が勝って挑戦権を獲得しましたが、黄八段も陥落は免れました。
黄八段は複雑な気分でしょうね。

〇羽根直樹九段-張栩九段
「四天王」対決その1です。
張栩九段は稀に三々打ちの趣向を見せる事がありますが、この大一番で採用したのは気合の現れだったでしょうか?
二人の碁らしい持久戦模様でしたが、気が付いたら羽根九段が勝勢になっていましたね。

〇高尾紳路名人-山下敬吾九段
「四天王」対決その2です。
力と力がぶつかり、何とも派手な1局でしたね。
羽根-張戦と比べると、とても同じゲームとは思えません(笑)。

〇結城聡九段-三谷哲也七段
既に陥落の決まった両者の対決でした。
しかし、プレッシャーが無いからこそ思い切った事ができる意味もあります。
序盤早々、ハメ手の本に載っていそうな手を仕掛けて行ったのは、研究熱心な結城九段らしいですね。
積極性が功を奏したか、最後に意地を見せたのは結城九段でした。

<棋聖戦>
棋聖戦Bリーグ、林漢傑七段-王銘エン九段戦はメイエンワールド全開といった1局でした。
昔からこんな打ち方だったような気もしますが、やはりAIに触発されている感もあります。
私には真似できない世界ですね。

マスターズカップ
大竹英雄名誉碁聖は碁界屈指の早打ち、二十四世本因坊秀芳もかなりの早打ちです。
持ち時間各1時間の対局でしたが、2時間かからずに終局しました。
序盤からコウ争いをするような碁で、何故こんなに早く打てるのか不思議です。

<女流本因坊戦>
女流本因坊戦本戦、木部夏生二段-青木喜久代八段戦は、木部二段の豪快な打ち回しが目を引いた1局でした。
しかし、私にとって最も印象的だった場面はヨセに入ってからです。
白石が1線に11本ずらずら並ぶ珍形!
勝負には全く関係ありませんが、滅多に現れない光景にちょっと感動しました(笑)。