白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

封じ手予想

2016年05月09日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本因坊戦挑戦手合、始まりましたね!
両者共に華のある碁で、名勝負を期待しています。
まずは1日目の見所を振り返ってみましょう。



両者着実に打ち進め、落ち着いた局面です。
黒△と打った所で、白は右辺の模様をどう広げるかと見ていましたが・・・。




高尾挑戦者、白△と格好良いツケ!
目一杯の形を目指したもので、所謂「石が張っている」手です。




これが目一杯の図で、最大限に模様を広げています。
黒からすれば面白くない図です。




よって黒1と反発、勢い白は2、4と隅に雪崩れ込んでいきました。




その後黒は隅に構わず気合のポン抜き、白も8と模様の接点を占めて一段落です。
見事な振り振り替わりでした。




その後手順が進み、黒△と備えた場面です。
白模様を拡大したい所ですが、上辺の黒地も気になるので普通の人は白Aなどを考えます。




しかし実戦は白1の押し!
黒△のダメヅマリを睨んで、白Aの切りから白Cの打ち込みが狙いです。
この重厚さ、師匠の藤沢秀行名誉棋聖を彷彿とさせます。




ならばと井山本因坊も黒1と力強い踏み込みです。
中央が孤立しますがシノギに自信ありと言っています。
そして白8には地を気にせず、手抜きで黒9と中央の要衝へ。
こちらも堂々としています。

さて、ここで封じ手です。
記事のタイトルを封じ手予想にしましたが、正直な所予想する程でもないような・・・(笑)




大本命は白1の押さえです。
黒△まで来た今、同点に打たれると攻められてしまいます。
逆に白が押さえれば完全に生き、左辺の黒に対して白A、黒B、白Cといった狙いも生じます。
9割方この手で間違いないでしょう。
外れたらごめんなさい(笑)




白1のカケツギが気になる方も多いでしょうが、これは小さいです。
黒4で主導権を握られるでしょう。




黒2と切られても、まだ白Aと逃げていく味があります。
もう1手かかるとすれば、地の稼ぎ方としては非常に効率が悪いです。




そもそも、上辺を渡りたければ黒1と打つことができました。
これなら1手ですっきりと渡っています。




あえて黒1と欲張って傷を残す理由はありません。
2つ前の図はこの形と全く同じです。




白1あたりに打って中央を攻める手は考えられます。
しかしこの周辺には着点が多く、最善を探すのは難しいです。
場合によっては敗着を打ちかねないので怖いですが・・・もしこの周辺に打ったら拍手です。

1日目は観戦していて気持ちの良い碁でした。
明日もどうなるか楽しみです!
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする