先駆者ヨハネ、ヘブロンに帰る!!
いよいよ、正典『聖書』に迫る。
ここからは、聖書を脇に読まれることをお薦めする。
聖書には、割愛された部分が多い。改竄もある。素人には受け入れられない部分も 多い。しかしながら、この物語は多くの疑問を解消してくれている。目からウロコの部分も多い。それはこれからのお楽しみとして、先ずは一言一句を確認しな がら読むことは、真実に迫る迫力がある。
ヨハネは先駆者であることは、広く知られている。言わば露払いである。であるから、その口調は挑戦的であり、覚醒を促す意味合いが強い。
<キンモクセイと虫:記事に無関係>
<キンモクセイ:記事に無関係>
単刀直入であり、核心的である。当然、反発も大きいものがあったであろう。それはある程度、計算されたものであろう。しかし、民衆は違った。いつの時代も宗教を利用し、支配の牢獄を企む勢力は常である。
よく読むと、今の時代に通ずる。時代は変わっても、人間のなす事は、心根が同じであれば、同じ状況を呈するものだとつくづくに感ずる。
先駆者ヨハネ、ヘブロンに帰る。荒野で隠遁生活を送る。エルサレムに行き民衆に語る。
両親サカリヤとエリサベツの子ヨハネは、エジプトの諸学校で研究をすべて終えて、ヘブロンに帰り、数日滞在した。それからヨハネは荒野をさがし、ダビデの洞窟に身を寄せた。ここは彼が数年前エジプトの聖者から教えを受けた所である。
彼は人々から「エンゲジの隠遁者(いんとんしゃ)」と呼ばれたり、「山の野人」などと言われた。彼は毛皮で身をまとい、いなご豆、野蜜、果実、堅果(ナッツ)などを常食とした。彼は三十歳にして、エルサレムに出て、市場で七日間瞑想した。
一般民衆と祭司、律法学者、パリサイ人は、この山の沈黙の隠遁者を見ようとしてやって来たが、誰も思いきっで、彼に何人なるかを尋ねる者はなかった。
しかし精進潔斎が済むと、彼は民衆のなかに現われて言った。
「見よ、王が来た。予言者はこれまで彼のことを語って、さとき者は長いこと彼を待っていた。準備せよ、ああイスラエルよ、汝の王をまみゆる準備せよ。」
これだけ言って彼は姿をかくしたが、誰も彼の行方を知らなかった。
そこでエルサレム全体が大いに不安を感じ、また支配者たちはこの山の隠遁者のことを聞いて、来るべき王について知りたいと使者を送って、彼と語ろうとしたが見つからなかった。
数日の後ヨハネは再び市場に現われたから、全都を挙げてその言うところを聞こうとした。彼は言った。
「心配するな、国の支妃者たちよ、来るべき王は反抗者ではない。彼は地上の王座を占めようとする者ではない。王は平和の君、正義と愛の王として来る。その王国は魂のなかである。
人々はその眼でこれを見ない。心の清き者のみがこれに入ることができる。
準備せよ、ああイスラエルよ、汝の王を迎える準備せよ。」
再び隠遁者は姿をかくした。民衆はその後について行こうとしたが、彼は身のまわりにべールをかけたから、誰も見ることが出来なかった。
ユダヤの祭日が近づいた。エルサレムはパレスチナの各万面から来たユダヤ人や改宗者で一杯であった。そしてヨハネは宮の前に立って言った。
「準備せよ、ああイスラエルよ、汝の王を迎える準備せよ。見よ、汝は罪の生活をしていた。貧しい者が街頭で呼んでも、汝はこれを顧みない。
汝の隣人は誰か。汝は友と敵とを一緒にしてあざけっている。
汝は声と口で神を拝し、心は遠く離れて、黄金のことを考えている。
汝の祭司は身で背負いきれぬ大きな重荷人に負わせ、自分は貧乏人が苦労して儲けた金で気楽に暮らしている。
汝の律法家、博士、律法学者はこの世の厄介者である。国の体に出来た腫物(はれもの)同様だ。彼らは働きもせず紡(つむ)ぎもしない。しかも、汝の商売の利益を使い尽くす。
汝の支配者は姦夫、ゆすり、強盗であって、何人の権利も認めない。強盗は神聖なるべき室内でせっせと働いている。汝は神聖な宮を盗賊に売った。その巣窟(そうくつ)は祈祷に定められた神聖な場所である。
聞け聞け、エルルサレムの人々よ、改心せよ。悪事から離れよ。然らざれば、異教徒が遠くから来て、まだ残っている汝の名誉、声望を悉く一瞬にして消してしまうだろう。
準備せよ、エルサレムよ、汝の王を迎える準備せよ。」
それだけ言って彼は内庭を去ったが、誰もその行方を知らなかった。
祭司、博士、律法学者は一同憤慨して、ヨハネなきものにしようとしたが、見つからなかった。一般民衆は彼を弁護し、この隠遁者の言うことは本当だと言った。
そこで祭司、博士、律法学者たちは恐れて、それ以上何も言わずに身を隠した。
【宝瓶宮福音書:栗原 基訳】
第十三部 先駆者ヨハネの奉仕
第六十一章 先駆者ヨハネ、ヘブロンに帰る。荒野で隠遁生活を送る。エルサレムに行き民衆に語る。
1)両親サカリヤとエリサベツの子ヨハネは、エジプトの諸学校で研究をすべて終えて、ヘブロンに帰り、数日滞在した。
2)それからヨハネは荒野をさがし、ダビデの洞窟に身を寄せた。ここは彼が数年前エジプトの聖者から教えを受けた所である。
3)彼は人々から「エンゲジの隠遁者(いんとんしゃ)」と呼ばれたり、「山の野人」などと言われた。
4)彼は毛皮で身をまとい、いなご豆、野蜜、果実、堅果(ナット)などを常食とした。
5)彼は三十歳にして、エルサレムに出て、市場で七日間瞑想した。
6)一般民衆と祭司、律法学者、パリサイ人は、この山の沈黙の隠遁者を見ようとしてやって来たが、誰も思いきっで、彼に何人なるかを尋ねる者はなかった。
7)しかし精進潔斎が済むと、彼は民衆のなかに現われて言った。
8)「見よ、王が来た。予言者はこれまで彼のことを語って、さとき者は長いこと彼を待っていた。
9)準備せよ、ああイスラエルよ、汝の王をまみゆる準備せよ。」
10)これだけ言って彼は姿をかくしたが、誰も彼の行方を知らなかった。
→62の2に続く