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日本のW杯敗退を“アシスト”した、電通とマスコミの商業主義

2006-06-24 16:46:48 | Weblog
日本のW杯敗退を“アシスト”した、電通とマスコミの商業主義
渡邉正裕

05:11 06/23 2006
 
2004/04/02,日本経済新聞朝刊より

 日本代表のジーコ監督は、ワールドカップ1次リーグ敗退が決定的となったクロアチア戦(18日)直後の共同インタビューで、2試合連続の酷暑を強調、「テレビ局がそれを望んでいる以上、仕方がない」と熱く語った。だが、この部分を新聞は報じず、書いたのは夕刊紙(日刊ゲンダイ)くらいのものだった。

 後述の沢木耕太郎の連載でも述べられているように、ジーコ監督はこれまで、どのような敗戦も受け入れ、外的要因のせいにすることはなかった。しかし、テレビを観た人はご存知のとおり、冒頭から、酷暑について、かなり強い調子で執拗に語っていた。

 「テレビ局側の都合もあるのだろうが…」と、聞こえないくらいの早口で同時通訳していたのを、聞いた人も多いだろう。神保哲生が「その部分だけ訳しませんでした」とブログで書いているように、確かに、訳さなかったと言われても仕方がないくらいの、自粛した訳し方だった。

 日本はテレビ局が新聞社の系列下に置かれており、一心同体だ。たとえば、クロアチア戦を放送したテレビ朝日の社長は、必ず朝日新聞社から天下ってくる。当然、サポーターの怒りを買いたくない新聞も、ジーコのこの部分のコメントは、綺麗に削除している。

 各紙に配信している共同通信も、新聞社を顧客としているため、書けない。たとえば以下のとおりだ。(2006/06/19, 日本経済新聞夕刊)

 ジーコ監督は少し険しい表情で、クロアチア戦後の記者会見に臨んだ。2試合連続午後三時のキックオフに不満をもらしながらも、決定的な得点機を逃したことへの無念さを率直に口にした。

--試合の感想は。
 「引き分けてしまったが、負けたら終わりだった。暑さもあり、簡単なパスのミスなどボールコントロールが良くなかった。パスをつなぎながらも得点できず、その失敗の代償を払った格好だ。世界中が注目する中、午後三時開始で気温が30度を超える試合を2試合も続けてこなした。これだけの暑さの中でやった選手たちは、ミスすることもある」

--決定力が不満か。
 「確かに問題がある。日本がチャンスをつくれなかったら心配するが、それはつくった。ただゴール前まではきちんとやっていながら、フィニッシュできない。チームは毎日この練習に取り組んできたのに、本番で平常心でできなかった。それが悲しい。これだから、サッカー界にストライカーと呼べる選手は一握りしかいないのだ」

--PKについては。
 「クロアチアが決められなかったのではなく、われわれのGK(川口)が素晴らしく、美しいセーブをした」

--勝ち点1でブラジル戦を迎える。
 「とても難しい試合になるだろう。相手は優勝候補。だが、サッカーではどんなことも起こり得る。もちろん勝つ気持ちで、顔をしっかりと上げて臨む」
(共同)
 中田への試合後の共同インタビュー冒頭も、やはり酷暑についてだった。中田は「相手も同じ条件だから、何も答えることはありません」と、リーダーの立場からも潔さを見せていたが、クロアチアは2試合連続午後3時スタートではないのだから、間違いなく、同じ条件ではなかった。

 かくして、選手の精神論や根性論ばかりがマスコミで書きたてられる結果となり、相変わらず、本当の事実を報じない「お祭り騒ぎマスコミ」に終始している。


2006/03/16,日本経済新聞朝刊より
◇元締めはボロ儲けの電通
 ジーコの怒りは、もっと掘り下げて報じられて然るべきであろう。それができないのは、もちろん、この放映権ビジネスを手がけているのが、ほかならぬ電通だからである。(電通という会社がどういう社員/体質/カルチャーであるかは、こちらで詳しく書いた)

 現地取材中の沢木耕太郎が下記のように書いているが、2試合連続午後3時というのは、確率的には、まずありえないことで、商業主義によるものと考えるほかない。

 「この大会において、2試合とも午後3時に戦うということがどれほど特異なことかは全試合のスケジュールを眺めてみればわかる。

 参加32チーム中、午後3時に戦わざるを得なかったのは約半数の17チームしかない。しかも、それが2試合ともということになると、わずか3チームに激減するのである。トーゴとセルビア・モンテネグロと日本。

 もしかしたら、それはテレビ局の意を受けた日本サッカー協会が「依頼」した結果なのかもしれない。なぜなら、ドイツの午後3時は日本の午後10時であり、この時間帯の試合だけが国民が揃って楽しむことのできる唯一の枠だったからだ。」(NIKKEI NETより)

 マスコミでは「かもしれない」という表現が限界であり、「放映権の取得を行ったのは電通で、午後10時の時間帯は高視聴率が欲しいテレビ局も望んだことである」とは、書けない。当然ながら、ゴールデンタイムに近いほうが、権利価格を高く設定できるから電通側のマージンは増えるし、夜中にやられては視聴率が下がるからテレビ局側も困る。

 実際、放映権を独占販売した電通は、ボロ儲けした。放映権料を前回大会の2倍強に吊り上げることに成功したのだから。もちろん、この時点から「最低2試合はゴールデン前後で」くらいの暗黙の了解が、少なくとも裏で握れていなければ、ここまで高くはできなかったということは、容易に推測できる。

 問題は国民側だが、日本代表の勝率を確実に下げてでも、自分が普段から起きている時間帯に試合を観たいだろうか?おそらく、多くの国民は、少しでも勝率を上げ、決勝トーナメントに進むほうを選ぶのではないだろうか。

サッカーW杯独大会、放映権料140億円、日韓の倍NHK・民放、電通と合意
 NHKと民放各社で構成するジャパンコンソーシアムは、サッカーの二〇〇六年ワールドカップ(W杯)ドイツ大会の放送権料について電通と合意した。電通は国際サッカー連盟(FIFA)から放送権の販売を受託し、交渉を担当している。放送権料は約百四十億円と、二〇〇二年の日韓主催大会(推定六十億円強)の二倍強に上昇した。(2004/04/02,日本経済新聞朝刊)

電通、来期営業益最高に、750億円、サッカーW杯が寄与
 電通の二〇〇七年三月期の連結営業利益は、今期予想比二九%増の七百五十億円前後となる見通しだ。〇一年三月期の七百二十五億円を上回り、過去最高を更新する。サッカーW杯ドイツ大会の高価格帯チケットを世界で独占販売することや放映権の販売が利益を大幅に押し上げる。テレビを中心にマスメディア向けの広告需要が回復してきたことも寄与する。
 増益の最大要因は、六月にドイツで開催されるサッカーW杯。ホスピタリティープログラムと呼ばれる高額チケットの独占販売が営業利益を百億円程度押し上げる。テレビ放映権の販売や広告収入の上乗せなども合わせると、百五十億円程度の上乗せ効果が見込まれる。(2006/03/16, 日本経済新聞朝刊)

◇本物のスポーツジャーナリストは、一人くらいいないのか
 もしスポーツにジャーナリズムがあるとしたら、誰が、日本の勝率を確実に下げることになる、2試合連続の酷暑ゲームを決定したのか、徹底的にその経緯を調査報道し、検証すべきだろう。

 しかし、そこに電通がある限り、『広告モデルメディア』が電通に生命線を握られている限り、絶対に触れられないのが、今の新聞・テレビ・大手週刊誌…すべての、広告依存型マスコミ企業の現実なのである。

 私は、「企業の利益」と「人の命」を比べたら、間違いなく企業の利益を優先させるのが、現代日本の権力構造における最低・最悪なところだ、と繰り返し指摘してきた。それは、いまだ終わらぬ水俣病、薬害エイズやアスベスト、C型肝炎と延々と続き、その事後処理を見ても、今後も全く終わる気配がない。

 そして今回、「企業の利益」と「日本のワールドカップでの勝利」を比べても、それは全く同じ構造にあることを見せつけられた気分だ。それは、報道されることさえもない。日本の敗退よりも、そちらのほうが、よほど、私を暗い気持ちにさせるのである。
+++ 記者コメント +++
 日刊スポーツによれば、国際サッカー連盟(FIFA)は2005年12月に日程変更を発表。日本のオーストラリア戦は当初は日本時間の午前4時スタート、クロアチア戦は同午前1時スタートだったものが、いずれも「テレビ放送のため」午後10時へと変更されている。ブラジル戦は変更がなかった。問題は、この意志決定プロセスの裏側である。たとえば、ブラジルにはどうせ勝てないのだから「3戦目のブラジル戦だけ、午後10時スタート(現地では灼熱の午後3時)」がベストの選択だった。


http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=434

国立大で工学部離れ、5年で17%減・岐阜大が調査

2006-06-24 15:09:35 | Weblog
国立大で工学部離れ、5年で17%減・岐阜大が調査

 全国の国立大入試で、工学部系の志願者数が2002年度から06年度にかけて大幅に減少、志願倍率が2倍を切る大学が増えるなど深刻な「工学部離れ」が進んでいることが、岐阜大の調査で24日分かった。

 調査した同大の黒木登志夫学長は「社会が物作りの担い手を多くは必要としなくなってきたことや、中高生の理数離れなどが背景」と分析。大学関係者は「将来の研究開発力低下につながりかねず、『技術立国』も難しくなる」と危機感を強めている。

 岐阜大は、各大学の工学部、システム工学部などを「工学系学部」と分類。全国87の国立大のうち58大学の志願状況を調査した。

 2002年度と06年度に実施された入試(前期日程)を比較すると、計約2万人の募集に対する志願者は約6万4000人から約5万 3000人に約17%減少。平均倍率は3.3倍から2.7倍になった。この間の18歳人口は約9%の減少で、少子化を上回る勢いで人気低下が進んでいる。〔共同〕 (14:42)