「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの美術:美楽舎忘年会…現代アートのチアリーダー・山口裕美さんの講演

2009年12月22日 | 美術鑑賞
12月13日(日)、恒例の美楽舎(美術愛好家の団体)の例会および忘年会が、青山の彩画廊でありました。

忘年会に先立ち、12月の例会は『現代アートのチアリーダー・山口裕美さん』の講演が予定されていていました。

山口さんについては、朝日新聞のコラムなどを読んで知っていましたので、その講演は興味がありました。


山口裕美さんのプロフィール

アートプロデューサー。「現代アートのチアリーダー」として、現代アートの応援団を作るべくウェブページ、トウキョウトラッシュを主宰。

アーティスト支援NPO法人「芸術振興市民の会」(CLA)理事。e AT金沢99総合プロデューサー。

学校法人KIDI学園顧問。著書に「トウキョウトラッシュ・ウェブ・ザ・ブック」(美術出版社)がある。

現在は東急電鉄のラジオ、FMサルースのパーソナリティーも務めている。





美楽舎での山口裕美さんの講演は、前回は私は参加していませんが2回目となり、今回の内容は『最近の仕事』と『53回ヴェネチアビエンナーレ報告』でした。

『現代アートのチアリーダー』を自任しているだけあって、山口裕美さんはエネルギー溢れる才色兼備の女性。


『最近の仕事』の中で、『掛川現代アートプロジェクト』の話は、今回の講演の中では特に面白い内容でした。

このプロジェクトは掛川城の隣にある二の丸美術館と二の丸茶室を会場に、お茶会に使える道具を1つずつ、ゲストのアーティストがつくっていくというもの。



梅の花が咲く素晴らしい掛川城のすぐ隣の二の丸美術館と二の丸茶室が会場
『夜の美術館と現代アート茶会―和魂洋才』がタイトル 
開催時間は、なんと18:20~20:45(美術館→茶室)
《企画・プロデュース:山口裕美》



中村ケンゴとアクリル職人の俵藤ひでとさんのコラボで、棗(抹茶を入れる蓋物容器)を制作。




二の丸美術の木下コレクションの贅をつくした根付の数々





山口裕美さんの53回ヴェネチアビエンナーレ報告概要

現代美術の世界的な祭典。

「ビエンナーレ」とは「隔年」という意味のイタリア語で、同様な芸術祭の多くが「ビエンナーレ」や「トリエンナーレ」などとイタリア語で名付けられているのは、ヴェネチア・ビエンナーレが範とされていることによるもの。

6月7日から11月22日まで開催される今回のビエンナーレのテーマは「Making Worlds(世界を創る)」。

世界のアーティストを集める主催者による企画展示部門会場(アルセナーレ)と、国別パビリオンで自国を代表する気鋭のアーティストを送り込んで出展させる形式の会場(ジャルディーニ)があり、更に街中にも幾つも展示会場が設けられました。


国別参加部門の金獅子賞が贈られたのは、アメリカ館。

企画展示部門の金獅子賞は、ドイツのトビアス・レーベルガー。ジャルディーニ地区にある旧イタリア館に新設したカフェの空間。

今回の日本館展示は、やなぎみわ氏が提案する「Windswept Women: 老少女劇団」と題されたインスタレーションでした。


総合ディレクターのバーンバウム氏は、「アート作品は単に物や製品というだけでなく、世界観を象徴している。世界を構築する1つの方法と見なすこともできる」と説明しており、展示も従来の博物館スタイルではなく、スタジオや研究所といった、製造過程や創造・訓練の現場に寄り添った形を目指した。


「アートの言語に革命を起こした」として、故ジョン・レノン(John Lennon)さんの妻で芸術家のオノ・ヨーコさん(76)が、今年の生涯業績部門の金獅子賞を受賞。


(ヴェネチア・ビエンナーレへの出品者には、過去、セザンヌ、ピカソ、マティス、ジョーンズ、リキテンスタイン、ラウシェンバーグらが名を連ねています。日本のこれまでの主な参加者には、藤田嗣治、横山大観、岡本太郎、棟方志功らがいます。)






講演を聞く前におおよその彼女の仕事内容や考え方を知るために、2冊の著書を購入。








当日は、その本を持参して、山口裕美さんにサインをいただきました。


講演後、山口裕美さんも参加して恒例の美楽舎忘年会で盛り上がり、今年最後の例会を締めくくりました。



《現代美術とは・草原 真知子》
意味不明な『現代美術』を端的に表現した分かり易い文章なので、早稲田大学教授・草原 真知子さんの文章を掲載します。

現代美術(Contemporary art)とは一般に、1960年代もしくは70年代から現在までのアートを指す。では現在制作されているアート作品はすべて現代美術かというと、そういうわけではない。19世紀末から20世紀前半にかけて近代美術(Modern art)が築いた基盤の上に発展し、その後の価値観の多様化を反映するのが現代美術だ。

近代社会の成立につれてアートの意味や方法も変革を遂げ、印象派や抽象絵画などを含む近代美術が、今日の美術の概念をつくりあげてきた。しかしモダニズムの終焉とともに、時代を画するような大きな物語は消滅し、20世紀後半の芸術は、何でもありの百花繚乱状態に突入した。

多様化はアートの方法にもおよぶ。写真や映画やビデオ、ミクストメディア、インスタレーション、パフォーマンス、アースワークス、ナノアート、スペースアート。現代美術はミクロの世界から宇宙まで、あらゆる素材や手法を包みこんで今の時代を輪切り(厚切り!?)にする大きな枠組みだ。

(メディアアート)

一方、アートの主題が人間の本質や感覚、あるいは自然や社会との関わりである以上、そこには時代を超えた共通のテーマが見てとれる。メディアアートの根底にあるのは、道具を使い、コミュニケーションする存在としての人間に着目し、そうした媒体(メディア)の意味を問い、あるいはその可能性を拡張する、飽くなき興味や表現への欲求だろう。

この普遍的な欲求が現代のメディア技術と出会ったところに生じるのが、今日のメディアアートだ。それは現代美術のひとつのジャンルだが、科学、工学、ポップカルチャー、メディア論などとの連続性という特徴のために、拡張する現代美術のなかでも最もエッジの部分にあって、アートとその外の領域の攪拌(かくはん)に一役買っている。

メディアアートとは、手法よりむしろスタンスの問題である。同じくメディア技術を用い、あるいはメディアに言及しながらもメディアアートとは言わない作品や作家は少なくない。それも現代美術の多様性の一端である。





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