「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの算数指導法『特殊算』…『旅人算…その6(最終回)・中学入試問題《女子学院中学》』

2009年05月07日 | 学習指導法
今回も引き続いて、速さの問題を比を使って考える問題について、説明します。


旅人算の基本的な問題解法を理解するためには、以下のブログをご覧ください。


家庭で教える小学生の算数『特殊算』…速さの文章題(1)『旅人算…その1』

家庭で教える小学生の算数『特殊算』…『旅人算…その2・中学入試問題《渋谷幕張中》』


今まで5回、難関校と呼ばれる算数の入試問題をあえて使って、速さの特殊算『旅人算』を中心に、二量関係に着目して比を上手く使う解き方を説明しました。

難関校の入試問題も、よくその内容を読んで、与えられた条件を整理して、問題構造を理解できるなら、思いの外簡単に解くことが出来ることもお話ししました。

くり返し私が指摘することは、日常の算数の学習において、単に解答を出すだけではなく、しっかりと問題の条件を整理することと、その条件から根気よく論理的に式をたてることを身に付ける重要性です。

また、算数の力がついたら、または上位校をねらう生徒は、1つの問題を、多角的に考えて、複数の解き方をしてみるのも、実力アップにつながります。

今回の女子学院中学は、首都圏女子御三家の一つです。

しかし、算数の問題は、比較的基本事項が分かっていれば解ける素直な問題で、今回取り上げた問題は、要素として『速さの公式』『二量関係』を使う良問です。

では、チャレンジしてみてください。



新緑が美しい公園の木々


女子学院中学【4】

水泳1.5km、自転車40km、ランニング10kmを順に行ってかかった時間を競うレースに、J選手とG選手が参加した。

(1)J選手の水泳のタイムは20分50秒だった。

J選手の水泳の分速は□mである。

J選手の水泳と自転車の分速の比は3:20だった。

J選手の自転車のタイムは□時間□分□秒である。


(2)G選手は、J選手より5分20秒遅れてランニングを始めた。ランニングは、G選手の方がJ選手より毎分32m速かったので、G選手はランニングに入って34分40秒後にJ選手に追いついた。

J選手とG選手のランニングの分速の比は□:□である。

G選手のランニングの分速は□mである。

G選手がJ選手に追いついたのは、ゴールまで□mのところである。


(3)G選手の3つの種類のタイムの合計は□時間□分□秒である。



【ヒント】

(1)は、まず速さの公式を使って分速を求める基本問題で、次の問題は、二量関係を使い、与えられた速さの比から、時間を比例式を使って求める、やはり基本的な問題です。


(2)は、旅人算の追いつきの問題です。
『道のり一定の時、速さと時間は反比例』という二量関係を使い、時間の比から2人の速さの比を求めます。

速さの比が出せれば、2人の分速の差が条件としてありますので、G選手の分速は簡単に出ます。

G選手がJ選手に追いついた地点のゴールまでの距離は、G選手の追いつくまでの時間と求めた速さから、簡単に出すことができます。


(3)これは、(1)~(2)までの問題が理解できた人に与えるボーナス点といって良い問題です。




都内各所でツツジが満開です


【問題(1)・解答】

(1)は、速さの公式を知っていることと、比例式を使うことができれば、簡単な問題です。

J選手の、水泳の距離とそのタイムが分かっているので、水泳の分速は簡単に出すことができます。
1.5×1000÷(20と50/60)=72(m/分)…答え


また、J選手の水泳と自転車の分速の比が3:20という条件から、自転車の分速を求めます。
3:20=72:□ という比例式を求めて、□=480m/分

よって、求めるJ選手の自転車のタイムは
40×1000÷480=250/3=83と1/3(分)
よって求めるタイムは、1時間23分20秒…答え



【問題(2)・解答】

この問題は旅人算の追いつきにかかる時間の問題です。

追いつくまでの2人の走った道のりが一定ですので、速さと時間は反比例することを利用します。

G選手は、34分40秒走って、J選手に追いつきました。
J選手は、それよりも5分20秒前に、ランニングを開始していますので、追いつかれるまでに、ちょうど40分走っていたことになります。

時間の比は、J:G=40分:34分40秒=15:13
よって、求める2人のランニングの分速の比は、時間の比の逆比を求めます。
J:Gのランニングの分速は、13:15…答え

この2人の速さの差が、毎分32mという条件で出ていますので、今求めた速さの比の13:15の差の2が毎分32mに当たることになります。

よって求めるG選手のランニングの分速は、
32÷2×15=240m/分…答え

この求めた分速と、G選手がJ選手に追いつくまでの時間34分40秒を使って、追いついた地点の、ゴールまでの距離を求めます。

10×1000-240×34と2/3=1680m…答え


【問題(3)・解答】

条件をもう一度整理すると、

J選手の水泳のタイムは20分50秒
J選手の自転車のタイムは1時間23分20秒

この条件から、J選手のランニング出発は、スタートしてから1時間44分10秒後

この時間より5分20秒遅れでランニングを開始したG選手のスタートしてからランニング開始までの時間を計算します。

1時間44分10秒+5分20秒=1時間49秒30秒後

この時間に、G選手のランニングのタイムを加えると、求める合計のタイムが出ます。

G選手のランニングタイムは10×1000÷240=41と2/3(分)

よって求める時間は、
1時間49分30秒+41分40秒=2時間31分10秒…答え

どうでしょうか。


御三家と呼ばれる難関校の算数でも、基本事項をしっかりマスターしておけば、容易に解ける問題も、かなりあることが分かったはずです。


今回のブログで、速さの特殊算『旅人算』を終了して、次回から、速さの特殊算『通過算』について、実際の入試問題を取り上げながら、家庭での指導法を伝授しましょう。



若葉のグリーンが、青空に映えて美しい



興味ある方は、以下のブログも参考にご覧下さい。

マッキーの算数指導法『特殊算』…『旅人算…その3・中学入試問題《雙葉中》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『旅人算…その4・中学入試問題《立教新座中》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『旅人算…その5・中学入試問題《麻布中学》』





人気投票に、応援のクリックをお願いします


にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ
人気投票に、応援のクリックをお願いします




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今年も春爛漫の故郷・新潟か... | トップ | マッキーの、親友と恒例のゴ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

学習指導法」カテゴリの最新記事