私は、クイーンのクの字も知らない。
フレディ・マーキュリーという人の名前と、ヒット曲数曲しか知らず、思い入れというものも当然ない。
そもそも、何人組だったのかも知らない(笑)。
しかし、猫も杓子も
「ラスト21分で、大号泣!」
と煽るので、コレはさすがに行って観ないと語れないと思い、行ってみたのであった。
もう多くの方がご覧になっていると思うので多少のネタバレはお許しいただけると思うが、この映画は早い話がフレディの半生を描いたドキュメンタリーである。
空港の荷物運びのバイトの傍らライブハウスに足を運び、ファンだったバンドのボーカルが辞めたのをいい事に自分を売り込み、バンド名もクイーンとしてデビュー。
レコーディングの様子、世界的に売れていく様子、その一方で金の亡者に囲まれ裸の王様のようになり、メンバーを裏切る形でソロになるのだがそれらの描写、さらにはバイセクシャルのカミングアウトまでがとにかく切れ味鋭いアップテンポな構成で進んで行く。
この映画は、時間の過ぎるのが恐ろしく早く感じるのである。
やはり圧巻なのは、ラストの1985年「ライブ・エイド」の再現だ。
あのスタジアムに本当にエキストラを入れたのかCGなのかはわからないが、あの何万人の熱気に世界中が熱狂するさまがリアルに伝わってきて、映画ならではのスケール感だ。
なにせクイーンを知らないのでライブシーンでは泣けないが、フレディが若かりし頃父親に云われた言葉をライブ・エイド当日に父にそのまま返す伏線回収の見事さには、私も目頭が熱くなった。
エイズにかかり91年にわずか45年の生涯を閉じたフレディだが、「伝説になる」とはこういうミュージシャンを指すのだ、と再認識させられるのである…