ほしちゃんの「続・なるようにしか、ならん」。

安くてウマいもんと料理と旅行と音楽と競馬が好きなサラリーマンの暮らしを、ありのままに綴ります。

「三橋美智也二十三回忌追善コンサート」に、行く。

2018-07-24 20:00:00 | No Music,No Life.

先日の森昌子に続いて、橋幸夫・水前寺清子、さらに人間国宝の坂東玉三郎をナマで観られる機会をいただいた。
昭和を代表する歌手、三橋美智也の二十三回忌追善コンサートというのが大阪・新歌舞伎座で行われたのである。

二部構成になっており、一部は出演歌手の持ち歌を披露。
上記の大御所以外にも80歳というのがとても信じられない大津美子、紅白歌合戦出場歴のある岩本公水、「通天閣の貴公子」林健二など豪華な顔ぶれがそれぞれの曲を披露。
休憩を挟んで二部は、三橋美智也の往年のヒット曲を代わる代わる歌うという構成だった。

まず司会の元NHK・宮本隆治アナウンサーの安定感は素晴らしい。
重厚な低音と大御所らとの絶妙のカラミで、まるでNHKの番組公開収録であるかのようだった。

橋幸夫は、今も抜群に声が出る。
「いつでも夢を」をシングアウトして全員に歌わせる持っていき方は見事だ。
反対に水前寺清子は、明るさとサービス精神は健在だがどの曲もかなりキーを下げていた。
「365歩のマーチ」はCだったのがA。「ありがとうの歌」はAだったのがDまで下がっていた。

前後半を通じ、在りし日の三橋美智也の歌唱動画をスクリーンに投影していた。
その印象が新たなうちに各歌手が三橋美智也の曲を歌うのだが、やはりいくら上手い歌手でも全く別物だ。
三橋美智也のあの澄んだ声、朗々としたビブラートはまず誰もマネ出来ない。
橋幸夫が「哀愁列車」を歌ったのだが、冒頭の「♪惚〜れ〜て〜」のビブラートが少なすぎ、三橋美智也のファンは少なからず違和感を覚えるだろう。
やはり三橋美智也は、不世出の歌手だ。

しかし逆説的だが、そこにあったのは見事にどの曲も自分の色に染める出演歌手の上手さだ。
決して三橋美智也のカバーではなく、
「私がこの曲を歌うと、こうなる」
と言わんばかりに、まるで三橋美智也の曲を利用して自らの上手さをアピールしているかのようだった。
いつも思うのだが、カバーとはオリジナルとの喧嘩である。
勝てる喧嘩でないと、してはいけない。
まさにプロの歌唱の技、そして三橋美智也の人柄と曲に惚れ込んだそれぞれの歌手の心が結集した、ものすごく濃密な空間であった…