
最近になく腹が立つ出来事が昨日あったが、別にどこかに当たり散らす事もなくヤケ酒をあおる事もなく今日になった。
アンガーマネジメントが出来ているという事なのか、単にトシを取ってしまったのか…
いつものように、通勤時は新聞を読み終わったらウォークマンで地元AMラジオのワイドFM放送を聴くのだが、操作を誤り(笑)私の愛してやまないバンド、スターダスト・レビューのアルバム「FACE TO FACE」がかかり、しばらく聴き入る間に怒りが鎮んだ、というかどうでもよくなった。
「スタレビン」が聴いたのだろう。
「FACE TO FACE」は、1992年に発表されたスタレビ初のライブアルバムだ。
「ニューアルバムを、ファンと共に作りたい。小さな小屋で演りたい。ホーンセクションも入れたい」
という意図で、渋谷ON AIRと大阪の今は亡きWO'HOLでDATの一発録りがなされた。
当時のスタレビは動員的に最も拡張期で、大阪では大阪城ホールはもちろん、フェスティバルホール7回回しもやっていた。同時に「オレたちのスタレビ」から少し遠い存在になりかけたように見えた頃だったので、小さな小屋で演りたいというメンバーの思いはまさに我々ファンの思いでもあり、嬉しかったのを覚えている。
「Baby Swing」「Smiling Face」、さらに今やライブの超定番曲「Get Crazy!」などの書き下ろし曲も数曲ある中で、「夢伝説」「追憶」「トワイライト・アヴェニュー」などの定番曲も第1期キーボード・三谷泰弘氏のプレイが冴えに冴える、貴重な記録だ。
しかし今さらながら、このアルバムを聴いて三谷泰弘がいなくなったスタレビの損失を感じてしまった。
誤解のないように言うが、第2期の光田健一時代も現・第3期の添田啓二も大好きだ。
しかしどうしても取り戻せないもの、それは三谷泰弘の「声」である。
私は今ももちろん、スタレビのライブには足しげく通う。そして通うたびに、元気をもらって帰ってくる。
しかし、何かが違う。それは三谷泰弘の声がない事だ。
今はサポートメンバーとして添田氏と、楽器は何でもこなす岡崎氏が加わっている。
岡崎氏のサポートにより、根本要のエレキと岡崎のアコギの両立や添田・岡崎のWシンセなど、サウンドの幅はものすごく広がった。その意味ではスタレビは2017年の今が最も充実した音を出している。
しかし、違う。そこに三谷の声がないのだ。
岡崎はもちろん、コーラスも頑張っている。見かけによらぬ低音の持ち主でもあるのだが、音程はしばしば狂う。
それに低音なのに、私を包んでくれない。
メンバーには大変申し訳ないのだが、その違和感は彼らがサポートして以来15年間ずっと消えないのである。
話を戻して、三谷泰弘だ。
「夢伝説」「トラワベ」どちらも、彼の声が音世界を全てふんわりとまとめてくれる。
不思議な魅力の声であり、それこそがスタレビのハーモニーだ。
このアルバムでは分かりにくいかもしれないが、三谷が在席した頃の「CHARMING」と、光田時代の「DEVOTIONS」、現メンバーの「ALWAYS」という3枚のア・カペラアルバムを聴き比べてほしい。
「CHARMING」は包んでくれるが、「DEVOTIONS」は細い。「ALWAYS」は、なんかズレてるのだ。
それほどまでに、三谷のコーラスワークは群を抜いている。我が尊敬してやまない山下達郎は、1998年以来バックコーラスから三谷を離さない。
前回のツアーで女性の新コーラスメンバーを紹介した時も
「これに、不動の三谷くんを加えて…」
と紹介した。あの達郎をもってして、三谷は不動のメンバーなのだ。
三谷の声の素晴らしさが、私をストレスから解放してくれた。
これだけデジタル、モバイル文化になり何でもかんでもネットやメールで済ませられる時代でも、「声」は不滅なのだと悟った次第である…
もちろん、今のスタレビも死ぬまで追っかけるのだが(笑)