競馬 変わる傾向と変わらない鉄則

前週までの馬券圏内馬の血統や馬番を集計し、次週を推理します

高松宮記念回顧 中京馬場造園課が考えたこと

2014-04-19 00:49:16 | 中京競馬

M.デムーロ騎手の見事な騎乗が決まりました。全周パトロールを見ると、5番枠からゲートを出て馬場が緩んでいるラチ沿いを避けながら、なお且つ3コーナーでインに入るための最短距離を走ろうという意思が明確に見えます。この辺りの馬場読みが日本の騎手よりも数段上というか、残り1000mハロン棒の付近、即ちスタートして200m走ったところでは、既にコパノリチャードより内枠発走4頭中マジンプロスパー以外の3頭はコパノよりも外を回していますからね。そして、3~4コーナーでは距離ロスを防ぎラチ沿いを。最後の直線では外に向かって斜めに真っ直ぐ走るという、アウト・イン・アウトの教科書的走りでした。

スノーフェアリーがエリザベス女王杯で荒れたインを1頭だけ狙って後続を突き放したレースの時にも思ったのですが、大多数の日本人騎手と外国人騎手との間には、馬場読み=距離ロスとタイムロスの方程式を解く分野において、大人と子供ほどの差があるように感じます。競馬学校のカリキュラムに問題があるのか、滑る馬場での乗込み量が海外に比べて足りないのか、どうなんでしょう。急がば回れ。単に農耕民族と狩猟民族の気質の違いなのでしょうか。

とにかく、馬場が渋ったら外国人騎手を買え!を鉄則のひとつとして覚えておいたほうがいいかもしれません。

さて、まずはその優勝したコパノリチャードの父ダイワメジャー産駒についてです。中京競馬場改修後の2012年以降、ダイワメジャー産駒の中京芝1200mの全成績は、

(1- 2- 0-28/31)、勝率3.2%、連対率9.7%、複勝率9.7%、単勝回収率7%、複勝回収率48%と極端に悪い成績となっています。馬券に絡んだ3頭を抜き出すと、

ダイワメジャー産駒の中京芝1200m成績

馬場状態に注目して下さい。3頭とも稍重馬場です。即ち、ダイワメジャー産駒は良馬場で1頭も結果を出していないんですね。芝1400mでは人気がなくてもよく馬券に絡みますから、中京コースが苦手だとは言い切れないと思います。こういう傾向を発見したら、それを覆す競走馬が現れるまで追いかけ続けるのが穴党の基本ポリシーです。ダイワメジャー産駒は人気になりやすいですしね。

高松宮記念はあいにくの不良馬場となりましたが、今後良馬場では何か1頭馬券に絡むまでは、ダイワメジャー産駒を嫌い続けてみたいと思います。

久しぶりにクラスの壁を

ダイワメジャー産駒 クラスの壁にぶつかる種牡馬

※△印は5番人気以内の人気馬、◯印は6番人気以上の穴馬が馬券(3着以内)に絡んでいるコース&馬場。

※集計期間は2011年産駒デビュー~2014/3/30現在。


続いて、改修以降の中京芝1200mAコースフルゲート18&17頭立ての馬番別成績です。時間があれば本番前にエントリーを上げたかったのですが、高松宮記念当日のアクセス数が過去最高の数字を記録しているのを4月に入ってから気がついた状態でして・・・申し訳ないです。改めて前々回上げた全21レースの結果をご覧下さい。

中京芝1200mが外枠有利であることは、もうだいぶ知れ渡っているようです。同じことを話しても全くつまらないので、視点を変えて、そうですね、中京馬場造園課の担当者の立場になって詳細に見ていきましょうか。あなたも私も会議室で苦いコーヒーを飲んでいる風情で。

馬場改修後の2012年以降、中京競馬場は4週続けて同じコースを使用したケースが一度しかないんですね。それがいつかと言いますと、改修後初めて行われた2012年3月3日から25日のことで、この時はAコースで4週連続施行されています。それ以降、夏開催はAコース2週~Bコース2週、冬開催はAコース3週、2013年に入って1月にBコース3週、高松宮記念が行われる春開催はAコース3週(1週短縮)、夏開催Aコース2週~Bコース2週、冬開催Aコース3週、2014年今年に入って1月Bコース2週(1週短縮)、そして春開催は昨年と同様にAコース3週というスケジュールでした。

この間のスケジュールで変更点が2つ見られます。ひとつは2013年の春開催が4週から3週に短縮されて、高松宮記念が4週目から3週目に施行されたこと。ふたつめは今年1月の開催が前年より1週短縮されて2週間になったことです。

昔からの競馬ファンからすると1開催は4週間単位だというのが肌に染み付いていて、他場が改修工事を行っているための代替開催は別にして、ローカル開催が3週間とか5週間とか春の東京開催が10週間だってのに触れると、カレンダー代わりに使えねぇじゃんと違和感を感じてしまうのですが、みなさんはどうなんでしょう。

ちなみに、いつ頃から4週間単位の慣例が薄まっていったのか、中京競馬場の春開催を例に上げてみます。

2005年 4週開催
2006年 4週開催
2007年 4週開催
2008年 5週開催
2009年 3週開催
2010年 4週開催
2011年 改修工事
2012年 4週開催
2013年 3週開催
2014年 3週開催

他場でも2008年に福島競馬場の4月開催が4週から3週に短縮されたりしていますので、この頃にスケジュールを決める際の何らかの変更があったのでしょう。組織が大きくなればなるほどに慣例を変えること、改革を断行することが難しくなるのは皆さんご承知のとおりです。それでも変化が訪れた2007年から08年に掛けてJRA内部で何か動きがあったのか調べてみると、2007年9月に理事長が土川健之現理事長に交代していますね。この方はJRA初の生え抜きだそうです。

日本中央競馬会 - Wikipedia

土川理事長が何を考え、どのように行おうとしているのかは、この項と趣旨がずれますので、今回は詳しく調べませんでしたが、今後いくつかの記事をUPしていく中で何らかの形が見えてくればいいなと思います。ひとつ言えることは、土川理事長が就任した2007年当時のJRAは、売上の減少に歯止めが掛からない時期だったということです。これまでJRA理事長は農林水産省次官の指定席でした。たとえ高橋政行前理事長の強い推薦があったとしても、官僚がそう簡単に天下り先の席をプロパーに譲るとは考えられません。ちょうど同じ時期の2007年9月7日には小林芳雄農水事務次官が退任されてます。普通に考えれば、この小林前事務次官が理事長に就任するのが慣例に則ったシナリオだったでしょう。

恐らく農水省は、JRAの行く末にだいぶ悲観的な印象を抱いていたのではないでしょうか。高橋前理事長の時代には、ワイド、馬単、3連複、3連単と新型馬券を次々と導入し、言わば拡大路線を目指したにも関わらず失敗。毎年3,000億円以上も国庫に納入していた超優良法人が、売上減少によってそれが覚束なくなってくるとなると、財務省からの冷たい視線も気になります。次のカードを持ち合わせない状態の農水省にとって、高橋前理事長の土川氏推薦は渡りに船だったのではないかと考えられます。やれるものならやってみな by 大和田常務(古いなぁw)

逆説的に言えば土川理事長側の現状は、対案を持っていない農水省の顔色を窺わずに強力に改革を断行出来る環境にあるのかと。

話を戻します。何の話でしたっけ。そうそう、中京馬場造園課の会議室の模様です。テーマを発表しましょう。

『高松宮記念を内外の馬場差なく公平なレースにするためには』

通常、次年度の開催スケジュールは菊花賞や天皇賞秋が行われてる10月末頃に発表されます。とすると、それを検討する会議は遅くとも9月初頭には始まっていると考えるのが妥当でしょう。2013年のスケジュール検討が始まった前年の秋、参考となる資料は3月と7月の2開催8週間分のみです。そこでは参加者にこんなデータが届けられたのではないかと思います。

1.中京芝1200m Aコース 20123月&7月開催 フルゲート18&17頭立て 全10レース馬番別成績

中京芝1200m Aコース2012年3月&7月開催 馬番別成績

2.中京芝1200m Aコース 2012年3月&7月開催 フルゲート18&17頭立て良馬場のみ 全5レース馬番別成績

中京芝1200m Aコース2012年3月&7月開催 良馬場馬番別成績

3.中京芝1200m Bコース 2012年7月開催 フルゲート18&17頭立て 全1レース馬番別成績

中京芝1200m Bコース2012年7月開催 馬番別成績

最近私は、このところのJRAというのは馬番別成績を結構詳細に調べていて、それを元に、以前より遥かに内外馬場差のない公平な馬場造りに務めるように努力しているのでないか、と考えているんですね。中山1600m外不利という状況が逆転している開催期があることや、ローカル開催での4週連続同一コース開催がほぼなくなってしまったこと等からです。昔はローカル最終週の外枠狙いという手があったんですが、もうその手は使えません。正直言うと残念ですが。

まぁ、そういう検証チームがJRAにいるということを前提にした話ですが、このデータを確認した参加者には少なからず戸惑いがあったかと思います。というのも、リニューアルオープンに先立って行われた試走会に参加した騎手たちに感想を求めると、「芝1200mは外枠を引いたら考えなければならない」(池添騎手)等など、揃って外枠不利の印象を答えていたからです。それが蓋を開けてみれば、圧倒的に外枠優勢な馬場ではないかと。

競馬なニュース 中京競馬での試走会で分かる事をまとめてみました

高松宮記念は中山、東京、京都、阪神の主要4場以外で行われる唯一のG1です。年に何度もG1が行われる主要4場とは意気込みの程が違うと思うんですね。

騎手や厩舎関係者、馬主、そして競馬ファンからもいいレースだったと言われる為に馬場造園課がやるべき事は、内外馬場差のない公平な馬場を作ること。これ以外にありません。改善策が練られたと思います。今さらバンクコーナーや路盤の改修は出来るわけがない。となると、出来る手立ては芝の背丈を内外で変えたり内芝の植え方を逆目にして滑らないようにするなど、芝そのものに工夫を施すこと。これはJRAの馬場情報には載らないので不明ですが、個人的には今春開催を含めて継続的に試行錯誤しているのではないかと考えています。

と同時に日程を変更する、コースをAコースからBコースへ変更するなどスケジュールを調整することで何とかならないか、という案も検討されたでしょう。しかし、Aコース2週~Bコース2週の4週目に高松宮記念を行っても、貰ったデータからは外枠優勢のままの可能性が非常に高い。となると春開催を4週から短縮して、その最終週に高松宮記念を行うというのはどうだろう。幸いにして、現理事長は日程の変更には柔軟な考えをお持ちの方だし。そして出来るだけ芝に工夫を施して、何とか3週目のG1を公平な馬場で行いたい、と。

そういった意図のもとにスケジューリングされたのが、2013年の中京競馬の日程だったのではないかと思います。

2013年高松宮記念の結果は、1着ロードカナロア(11番、1人気)、2着ドリームバレンチノ(12番、2人気)、3着ハクサンムーン(13番、10人気)というものでした。

昨年秋、2014年の開催スケジュールを決めるために再び関係者が集まります。その時に配られた資料は、こんなものでしょうか。

4.中京芝1200m Aコース 2013年 フルゲート18&17頭立て 全12レース馬番別成績

中京芝1200m Aコース 2013年 フルゲート18&17頭立て 馬番別成績

リニューアル初年度に比べ、だいぶ内外の馬場差は解消されているように感じられます。しかし、同時にこんな資料もあったでしょう。

5.中京芝1200m Aコース 2013年3週目 フルゲート18&17頭立て 全3レース馬番別成績

中京芝1200m Aコース 2013年3週目 フルゲート18&17頭立て 馬番別成績

高松宮記念が行われる3週目となると、外枠優勢になることは否めません。昨年から今年の変更点である1月開催3週⇒2週開催は、高松宮記念のための変更であると同時に、今後Aコース3週目の馬場差が解消されない場合には、中京競馬の春開催は2週間開催になるかもしれませんよ、という沈黙の訴えなのかもしれないと感じますが、さてどうでしょう。

生憎と今年の高松宮記念は不良馬場でのレースとなりました。1月の開催を2週間に短縮した効果がどうなのか、確認することが出来ないまま、中京競馬春開催は終了となってしまったのです。となるとこの効果を検証するために、来年のスケジュールも再び1月2週開催~春3週開催となる可能性が高いと思われます。

とすると、高松宮記念が公平な馬場で行われるかどうかは分かりませんが、ひとつだけ確実に予想出来ることがあります。それは、来年の中京春開催の1週目&2週目の芝1200mフルゲート18&17頭立て戦では、内枠有利外枠不利な状況が生まれるであろうと。

今年の開幕から2週間の結果です。

中京芝1200m Aコース 2014年春開催~2週間 馬番別成績

現状では、3週続けてAコースを使用した場合に、開催期間中ずっと内外の馬場差がない状況でレースを行うのは限りなく不可能に近いのだと思います。もちろん中京馬場造園課の努力の賜物で、2012年に比べれば2013年は遥かに馬場差は解消しています。しかし、それでも3週に亘って公平な馬場を維持することは難しいと。今年の1~2週目の結果がそれを表していると思います。

来年もスポットを3週目の高松宮記念に当てる以上、1~2週目のレース結果には目を瞑らざるを得ない、ということになるでしょう。

週中には書き上げられると思っていたのに金曜日。皐月賞の考察は・・・。



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