競馬 変わる傾向と変わらない鉄則

前週までの馬券圏内馬の血統や馬番を集計し、次週を推理します

東京競馬場の砂は軽いというデマに関する一考

2014-02-22 00:53:26 | 東京競馬

昨年のフェブラリーSの時に、東京ダート1600mを重点的に取り上げました。このエントリーはその際に用意してあった原稿で、そのまま1年間フォルダに仕舞い込まれていたものに加筆しています。フェブラリーSの考察には有益ではないかもしれませんが、JRAの馬場造りに関心がある方には一食のおかずになるかもしれません。

現在、競馬場ダートコースに使われているクッション砂は、東京も中山も阪神も京都も、JRAだけでなく川崎や船橋や園田など主な地方競馬場へもひとつの業者がひとつの産地で採集した砂を導入しています。

下記は納入業者のパンフレットの一文です。

納入実績例 東京都と兵庫県 

同じ産地から仕入れているのに重いも軽いもありませんよね。東京も大井も園田も同じ砂なんです。

東京の砂が軽いというデマが根強く定着している理由は、タイムが他場と比べて早いからという一点に尽きると言っていいと思うのですが、全場同じ砂で砂厚も9cmに統一している以上、その原因を砂に求めるのは誤りでしょう。

他に考えられるのは、クッション砂の下の路盤が各場違うか、コースの形状と直線の長さの影響か、この2点に絞られるかと思います。

私も以前は路盤に違いがあるのではないかと考えていましたが、こちらの記事を読んで改まりました。

馬場造園課さんのお話を聞いてきました。 早稲田大学テンポイント・ブログ

クッション砂9cmの下には、スクリーニングスが8cm、シンダーが5cm敷かれており、この構造と厚さはどこも一緒のようです。

ちなみにスクリーニングスとは、砕石砂利を作る工程において自然発生する2.5 mm以下の細かい岩粉のこと。シンダーとは比重の小さい軽量コンクリートの事だそうです。

「シンダーコンクリート」ってどんなコンクリート

となると、東京ダートの時計が早いのは単にコースの形状と直線の長さの影響ではないかと思うのですが、さて、それでも東京の砂は軽いとおっしゃる方の理由を教えていただきたいものです。紹介したサイトはこんな文章で締めくくられています。

『みんなが間違って使えば、間違いも「正」になる典型的な例です。』

東京の砂は軽いという話もこれと同じなんだと思いますね。内枠決着や外枠決着が続くとラチ沿いの砂が浅いとか深い事に原因を求めがちですが、それについても上記サイトで高田順一馬場造園課長がハッキリと否定されています。それに今はダートのレース前に必ずハロー掛けをして綺麗に均しますしね。ダートで馬場差が発生する正体については、1年前に書いたものがありますので参考にどうぞ。

東京ダート1600m 馬場差の正体 完結編

言葉足らずが多々ありますが、要はダートの馬場差は砂の粒度の差によって生じるのだろうと思います。地方競馬のライターさんのブログに、興味深い写真を発見することが出来ました。

地方競馬日替わりライターブログ  園田競馬場砂の入れ替え

記事の後半部分のトピックスで、園田競馬場の砂の入れ替えの模様を取材しています。

年間2回行う作業で、担当する施設課の皆さんは、毎回砂を吟味してできるだけ良い状態を作ろうと必死に取り組んでいます。青森県から仕入れる砂は、取り出すところで砂の質や形も違い、それが競馬場の馬場となると微妙に影響してくるとのことです。今回の砂(写真左)は前回の砂(右)より目が粗く、摩耗しにくい砂だということです。

この記事が書かれた日付は2011(平成23)年6月4日です。冒頭のダート砂販売会社の園田競馬場への納入年月日からすると、今回の砂(写真左)は平成22年10月に購入されたもので、前回の砂(右)は平成21年2月に購入されたものであることが分かります。

同じ会社から同じ産地の砂を購入しても、これだけの粒度の違いがあるんですね。高田馬場造園課長の話に出てきたように、『毎回全部を入れ替えていると新たな砂を運んでくる運搬コストが高いので、しっかり洗って再利用』し、足りない分量を新しく補充するのでしょうが、その際に数千tもの量になる古い砂と新しい砂を均一の粒度に混ぜ合わせる技術は、さすがのJRAも持っていないのでしょう。

その結果、馬場には粒度の粗い所と細かい所がどうしても発生します。そしてこれは推測ですが、乾いた馬場では粗い砂のほうが走りやすくスタミナをロスしにくいのではないかと。

一方の濡れた馬場では上記サイトで園田競馬場の施設課の方がこう証言されています。

『(右の細かい砂を使用している)最近は雨が降って道悪になると、ものすごく時計の速い決着が続いていました。砂の入れ替えで(粒度が粗くなることにより時計が遅くなり)、馬の脚元への負担が軽減されることになります。』

カッコ内は私がニュアンスを汲み取って追加補足したものですが、あながち間違ってはいないでしょう。即ち、良馬場では荒い砂が有利で重馬場では細かい砂が有利になるのではないかと睨んでいますが。

この推測を踏まえた上で、今開催の東京ダート1600mの結果を見てみましょう。

※人気は5番人気以内、穴馬は6番人気以上

良馬場のレースは1週目に、また不良馬場のレースは2.3週目、重馬場のレースは3週目の3日目にすべて馬場回復期で行われました。馬場回復期のダート戦は、競走馬が数多く走り抜けることにより乾きが早くなる内ラチよりも外が有利とは何度も書いてきました。注目は1週目の良馬場での結果でしょう。東京ダート1600mは外有利が定説ですが、今開催唯一良馬場で行われた1週目は内枠有利なバイアスが掛かっていたのではないかという疑いがあります。即ち、粗い砂の帯が内ラチ沿い(恐らくバックストレッチ側)の何処かに発生しているのではないかと。濡れた馬場での内枠の不成績もそれを裏付けるのではないかと思うのですが。ただ、今年は2週目に馬場がガラッと変わってしまってサンプル数が少ないので、昨年のように確信を持つことが出来ません。

取りあえずは土曜日の結果を見てからですね。そして、フェブラリーSの前にもう1エントリー挙げられたらと思います。



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