オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

 測定器と、他は過去に学んだことへのコメント。

佐久間駿氏のこと

2019年05月04日 | 評論ーホビー



佐久間駿氏のこと



 私の住んでる県には有名な佐久間駿氏の店がある。私は行ったことはないが、知人のうち三人(いずれも県外)が彼の店に行った。三人のうち良い音で鳴っていたと言った人はいない。うち一人は音は兎も角として性格は良い人みたいだ、という話だった。

 いわゆる技術雑誌(いわゆると言ったのはもはやそうは呼べないと思うからだ)を読まなくなって随分経つ。昔は武末氏が書いておられた号のラジオ技術はだいたい買った。無線と実験は森川さんや浅野さん伊藤さんが書かれたときは殆ど買った。佐久間駿氏の記事が出る頃から買わなくなった。佐久間氏が書いたから買わないのではなく、正確に言えば、彼の製作記事が載るようでは技術雑誌とは呼べないと思ったからだ。技術雑誌と言うのはそれによって教えられるメリットが有ってはじめて買う気になる。何も学ぶことが無いのだったら買う意味が無い。

 佐久間氏の記事で一番面食らったのはトランスの使い方だった。多数のトランスを使う目的や意図が分らなかった。数学や物理とは無縁の世界でそこにあるのはただ文学的表現のみだった。

 佐久間駿氏の記事が出るから買わないという人はいないだろう。いたとしても多分ごく少数で、実際は出るから買わない人より、出るから買う人のほうが多いと思う。

 オーディオという趣味はこのようにして理論無視が幅を利かす世界になってしまった。佐久間氏がもたらしたものではない。その大分前からそうなっていた。

 オーディオ・アンプ製作において測定器を持ってると言うのは、或る特定の興味の方向、例えば超三結が好き、小出力アンプが好き、ディジタルアンプに凝るといった類のことでしかない。必ずしも必要な道具とは見做されていない。

 まぁいい、こんなことはどうでもよくなってしまった。


 黒川さんの記事は読みたいが、書いておられないようだ。今はこういう雑誌は本屋においてないし、定期購読などとてもする気にならない




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何故多くの人が出品をやめるのか

2019年05月03日 | オークション日記

 

 オークションは少数の恒常的大量出品者と圧倒的多数の出品を殆どやらない入札者とで成り立っている。

 

 数ある出品者の中にはオークションで儲けようとする人も少なくない。 

 そういう人が大勢いてくれないとマーケットは成り立たないのでそれ自体は歓迎したい。

 

 

 オークションを仕事として始めて間もない人が或る日こんなことを言ってきた。 

 「落札者が受け取ってから 良いものを安く買えて喜んでいます という声を聞くと嬉しいよね」

 ????? 

 そう思うのは分かる。だがその考え方で出品し続けられるのか?となると必ずしもそうではない。

 

 この辺りは論理的に考えれば良い。買い手が良いものを安く買える、ということは多くの場合、売り手が利益を削って売るということに他ならない。例外もあるがだいたいがそうだ。

 

 この人は出品すると全量落札された。

 

 それは結構なのだが、そうなると仕入れなければならない。仕入れたものはどこかが傷んでいたり、故障しているので彼の知識と技術で治す。

 それでまたもや「良心的な価格で」出品する。

知識と技術を安売りしているのだ。

 

 こうなると彼の店は品物が無いのが普通になる。

「出さなきゃ、出さなきゃ」

 彼は精神的に追い込まれる状態になる。

 

 やや気になったので以前は何をしていたかを聞いたら製造業にいたという。製造業の世界にいて営業に関わらなかった人はこうなりやすい。良いものを作るということしか頭にない。

 

 それだけでは不足なのだ。事業は継続するためには利益が必要だ。だれでも分かる理屈だが、製品の製造に没頭してしまう。

 

 多くの継続できている出品者はすぐには売れそうもない価格で大量出品している。たった独りで1000個も出す人もいる。

 全く売れない場合は手間が掛かるだけだから頃合いを見て値下げすれば良い。

 

 そのようにやったほうがいいですよ、と一回だけ勧めた。私は一回しか言わない。そうでないと「しつこい」「余計なお世話」となる。

 

 人とは「自分には自分のやり方がある」と頑なに頑なに考えるイキモノなのだ。

 

 半年後には彼はオークションを辞めた。良いものを安くというだけでは、甘い考えでは続かないのがオークションなのだ。

 

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CR発振器 トリオ AG-10

2019年05月02日 | 測定器

 ヤフオクで落札した大古CR発振器です。よく発信器と書く人がいますが、発振器です。

 さて、もともと動作は期待しませんでしたが、全く動きません。それ以上にヤニで非常に汚いです。だいたい昭和30年代とか40年代の国産の測定器はタバコのヤニがベットリというものが少なくありません。タバコを吸いながら測定器を操作するのが許された時代だったのでしょう。

 近頃中国人技術者がアフリカで奮闘(かつての日本人みたいに)している場面をTVで見ていたら、ハイテク機械の操作中にタバコを吸っていました。同じ段階を踏むものらしいです。

 通電するとゴミが温まった臭いが立ち上ってきて不愉快この上無いです。こういう場合は洗ってしまいます。中性洗剤でしつこくやると驚くほど綺麗になります。乾燥が問題で、早く通電するとダメにしてしまいます。よく晴れた日に一日干しておけば大丈夫です。それでもダメなら部品取りにすればよいだけのことです。


 

 その後綺麗にしてからいろいろ調べていたら動くようになりました。修理箇所は一箇所だけ。発振回路のプレートから終段につながるカップリングCの絶縁不良だった。これ一個の交換で治るんだから他愛無いものです。もっとも、ちゃんと治したい人はカップリングのCは他の箇所も替えたほうが良いです。これはキクスイやリーダーの場合でも同じです。

 方形波は立ち上がりの悪いなまった波形ですが、安物なので仕方ありません。

 CR発振器は方形波専用に増幅回路を用意しないのでなまってしまうのは仕方が無いです。
 200KHzの方形波を増幅する回路はその10倍の2Mhzの帯域が無いといけないのですが、それをやるとコストが掛かるのです。

 方形波は本当は要らないのですが、オーディオマニアの場合は無いと承知しない人が多いので付くのです。シロートはこの点で説得不可能です。前は“なんでか”を説明しましたが、そのうち疲れてしまって、汗をかくのはやめることにしました。


 測定器のことは某大企業の先輩に教わりましたが、彼の話によれば、教えた相手で モノニナッタ のは私だけだそうです。私も何人かに教えましたが、モノニナッタ人 はいません。物理や数学が嫌いだと上達は難しく、歩留まりは非常に悪いのであります。


 私のブログを読んで見に来たい人もたまに居られますが、お断りしています。

  歳を取ると(現在後期高齢者)無駄になる見通しの多いことは、取り敢えず止めとこう、ということになります。

 
 オーディオはなまじ理論に明るくなったりすると、今までの趣味仲間の話を聞くのがウザクなったりするのでなかなか考えものです。





 

 
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リーダー/LAG120A

2019年04月23日 | 測定器



リーダー/LAG120A 入門用CR発振器

(概説)オークションによく出品される機種でこの改良型が120Bですが、内容はあまり変わりません。
キクスイの418A,418Bやトリオ(後のケンウッド)と比較しても大差無く、元の価格3万円クラスの代表的な性能です。歪は100Hz;0.12%、1Khz;0.02%、10Khz;0.01%です。

 100Hz近辺から下で急に歪が増えるのもこのタイプの特徴ですが、もともと歪測定には使いませんので全く気にする必要はありません。出力のフラットネスもケーブルに注意しかつ短くすれば、全帯域でプラマイ0.15dBとそこそこのものになります。ケーブルに無頓着ですと多少悪くなりますが、測定の実技上500KHz以上はグラフをラフに描く筈なので、そんなに厳格にやらなくて良いです。


 ただ、須らくケーブルは短くすべし、は基本です。だいたいCR発振器は歪、フラットネス、周波数の三つのスペックのうちいずれか二つが正常なら残りの一つも正常というのが私の経験知であります。


(仕様)10Hz-1Mhz、出力約3.6V(600オーム負荷で)、方形波付き。





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インダクタンスと限界電流値が未知のチョークの測定法

2018年11月19日 | 測定/オーディオ

8800g 7H 700mA   35Ω
5300g 10H 400mA  31Ω
5120g 20mH 15A  11mΩ
3540g 10h 300mA  63Ω
3230g 5H  400mA  55Ω
2040g 630mH 800mA 10Ω
2010g 320mH  1A   3Ω
2350g 10H 250mA 117Ω
1900g 10H 200mA 150Ω
1610g  5H  250mA 80Ω
1100g 10h 130mA 165Ω
980g 10H 125mA  250Ω
930g  10h 100mA 230Ω
510g  20H 50mA  430Ω
440g   5mH  3A    3Ω
390g  100mH 0.5A  4Ω
290g  20mH  1A 638mΩ
150g  1H  150mA  24Ω




インダクタンスと限界電流値が未知のチョークの測定法



 平滑用チョークのインダクタンスと限界電流値を測ることは原理そのものは難しさはありません。DCを流す測り方も電流が小さい場合は普通のブリッジでも可能です。然し、電流が大きくなるに従って困難さが著しく増大します。専用の測定器がかつて米国GR社によって製造されましたが、ブリッジ部、200Wの電力増幅器、強力なDC電源の三点セットから成り、重量も150Kgに達する猛烈なものでした。その他のメーカーからも大掛かりなものが出ているようですが、ひどく高価なものです。此処は薀蓄を披露する場ではなく、アマチュアが絶対入手出きないものを知っても意味が無いので詳細は省略します。以下は物量と資金にごくごく低いレヴェルでの限界が有るアマチュア向けの測定法です。

簡便測定法/直列比較法

 

1、インダクタンスと電流値が不明のチョークLxとそれらが既知で電流値がLxより大きいことがハッキリ分っているチョークLsを直列に接続して100Hz(60Hz地域では120Hz)の脈流を加えます。
2、LxとLsそれぞれに発生する交流電圧を2CHミリバルで比較します。交流電圧の比はほぼインダクタンスの比を示します。交流電圧の測定は出来る限り2CHミリバルが望ましいです。測定値よりも二つの指針の開きの変化を見るのが視覚的に分りやすいのであります。
3、LxとLsに発生する交流電圧は当初は比例関係を保ちますが、電流を増やしていくと、許容電流の小さいほうが先にマイッて(磁気飽和して)、その比が大きく変わります。この時2CHミリバルの二つの針の角度が大きく変わります。これによりLxの限界電流値を得ます。

 鉄心が入ったチョークは電流だけでなく加わる電圧でもその値が変動します。表示する基準が厳格に定められていないのなら大きく(良く)表示する余地が有るわけです。市販されている平滑チョークのインダクタンスと電流値の表示を調べるとメーカーにより甘辛が有り、どうやら表示の基準が各社同一ではないようです。そこで前述において辛めのタムラ、東立などのものを選んでそれとの比較で表示するほうが実際的です。
 一般的に言ってどんな分野でも、老舗のメーカーは控え目に表示し、後発のメーカーは目を惹くように表示することが起こりがちなので、経験有るユーザーはそのことを予測し、カタログ数値のみで比較することは有りません。

補足1:平滑チョークは、PP用の出力トランスに比べれば、コアにギャップが有るためにLの変化は随分小さいので(シングル用OPTの一次インダクタンス変化が小さいのはそれです)、直流を流さない測り方でも大雑把になら予測することは出来ます。そこでごく簡単に前以てLをブリッジ(或いは他の方法で)で測っておきます。ついでに重さとDCRを測ればどれくらいの電流を流せるかはあまり酷い誤りが無い範囲で予測出来ます。直列比較法ではLxよりは限界電流の多いLsを用意しますが、万一LsよりLxの限界電流が大きい場合は更に電流の大きいLsを用意するか、Rで代用します。Lsの替りにRで代用するのはLxの電流が大きいときは案外面倒なので、なるべく電流の多いLはLs用にとっておきます。

補足2:平滑チュークに流せる電流を上記説明とは全く無関係に巻き線の抵抗値が20%増加(すなわち巻き線温度上昇)する電流値によって限界を推定する方法も有ります。こちらの限界が上記説明文より低い場合はこちらを採用すべきです。


 以下にも別法を示しますが、いずれも限界電流値を得るのがやや面倒です。

補足3:適当な脈流を用意し、そこに、試料によるパイ型フィルターを作ってフィルターの前と後とのリップルの減衰比を知り、それが1/(ω^2LC)であることからLを求める方法は有効な方法です。メーカー製の表示と近似させる為には測定条件も近似させる必要が有り、その為には脈流の電源電圧と負荷抵抗の両方を調整出来るようにする等の特別の工夫が必要です。これが案外面倒なのであります。




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gm測定をやって気づくこと

2018年11月06日 | 測定/オーディオ
 
 gm測定をやってるうちに気づいたことがある。gm測定は原理的な難しさは無いが、真空管回路や交流理論の基本の基本がわからないと、思わぬミスをしてしまうのでオーディオ製作しかやらない人にはハードルは低くない。


 さて、ごく少数ながらTV7やTV2(基本的にTV7のゴージャス型のようなものでメーターは多いが原理はオーソドックスではない)に拠らない測定をして、売ってる人もいるようだ。


 交流的な測定をせず、DC的のみの測定で済ませている人がいて、これまではそれでは不足のように思っていたが、近頃では実用上はそれで十分と思うようになった。

 それは与えられた成極電圧で十分な電流が流れている状態ではgmも不足が無い場合が殆どであり、実用上はgmのテストかDC電流のテストをすれば良い、いいかえるといずれか片方の測定をすれば足りるのだ。


 然るに世の真空管測定器がgm表示としているのはなぜだろうか。

 真空管はパワー管ならばバイアス電圧も大きいが、電圧増幅管では小さいものが少なくない。ここで2ミリモーの真空管を測定しようとすると1V変化させても2ミリAしか動かないが、そもそもバイアスの小さい球のバイアスを1Vも変化させて良いのかという疑問もある。バイアスの変化をより少なくするためにはより微小なDC電流の変化を検出せねばならない。測定器を精密に作ったのでは機器が複雑化、大型化する。

 それだったら、変化分はトランスを使い交流分を測定したほうが簡素化、小型化できる。


 おおかた以上のような事情によるものだろう。それでもgmの小さい球では過大入力にしなければならないのだ。だからマニュアルには測定は短時間でと書いてある。







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かつての業界舞台裏アレコレ

2018年10月13日 | 評論ーホビー


今は昔の業界舞台裏アレコレ

  
 『先生、ウチの製品も書いて下さい』、『いいけど、芸者を回せよ』。これは随分前の高名な評論家(今は故人)の話。 

 『中身を見ている時間はないから、パンフレットだけから書くよ』、『それで結構です』。 アンプの中身を見ず聞きもせず、パンフレットの写真だけで書くから、シャーシの上に見えてない部品は省略されていることになる。でも回路図には書いてあって実際にも有る。加えてパンフレットの誤植はそのまま書き写されてしまう。海外の製品は誤植が多いからね。
 
 『そんなに頼まれても聞いてる時間が無いよ』、『今日が締め切りですから書くだけ書いてください』。 かくて、聞いてないスピーカーの記事を書く。
 
 製作記事:ペンネームの人が文章を書く。作ってるのは別の人。

 毎月新譜が出るが筆者は聞いてる時間が無い。実は別の人が聞いてメールで送るだけ。

  こういうことは世慣れた人は何とも思うまい。私も格別咎める気はしない。

 もっと大きい誤魔化しがいっぱいある。趣味の世界のこんなものは可愛いい。


 

 

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測定器解説:オシロ

2014年09月11日 | 測定器の種類別解説



HP1200B型オシロ 500Khz/100マイクロV 超高感度差動


オッシロスコープ


 オッシロスコープは基本的に米国のテクトロニクス社(以下テクトロという)がリードして来ました。オシロの歴史はテクトロの歴史と豪語していましたが、あながち間違いでもありません。ヨーロッパではフィリップス等独特の考え方でテクトロと感覚が違うオシロを製造したところも有りましたが、国産のオシロはテクトロのコピーと言ってよく、それはどのメーカーも同じです。当然にコピーした物同士は似てしまうので、国産メーカーのオシロは帯域が同じならどれもほぼ同じ内容です。

 だったらテクトロが一番良いのかと言えば、だいたいそうだと言えます。初心者がテクトロを買うのが恐れ多いというのなら、国産ならどこでも良いといえるでしょう。ただし、マニュアルを入手したいのなら、岩通とキクスイが入手しやすく、この点他社は困難です。然し、マニュアルを入手する必要は実際には無く、世にある解説書を読むほうがずっと良いです。

 初心者には30Mhzの二現象くらいまでが手を伸ばす範囲となるでしょうが、痩せても涸れても一応二現象となると、性能チェックや手直しが必要な場合(そのような場合が多い)は発振器やミリバルとは比較にならないくらい手数が掛かり、その手間が落札価格に反映されることはあまり無いので、ノークレームノーリターンとして出品されることがどうしても多くなります。不具合が有る場合、発振器やミリバルほど簡単には直らない場合が多いので、動作品としてあるのを買うほうが良いでしょう。出品側として見ると手数が掛かる割りに高くならない機器です。


ディジタルオシロについて


 私が初めて買ったのはHPの54112D型で、100Mhz/400Mサンプリング/4CH/6ビット/64KWORDでした。その後より新しい機種を試しましたが、現在はすべて処分してしまい、手持ちはありません。

 アナログと比べるとディタルオシロは、輝線が太く、汚いです。然し、その多機能ぶりは圧倒的です。デジタルでは振幅を適当なサイズに表示する操作や、波形の水平サイズを適当に表示する操作は要りません。つまりXもYも自動なのです。テクトロの2445や2465などアナログオシロのディジタルリードアウトをも遥かに超えるもので、最初に使ったときはもはやアナログの時代ではないと思いました。

 ところが、私は生憎と毎日オシロを使う者ではなく、大多数の諸兄と同様、休日にしかオシロを扱いません。そうなるとディジタルオシロの多機能は却って負担になったのです。つまりこうです。こう使うのかフムフムそうかそうか、と何十分か掛けて一応理解するのですが、一週間か十日すると、忘れてしまってる部分があり、その都度使いこなしに時間を喰う、こうだったよなぁ、というようなことが有ります。それ以上間が空くともっと時間が掛かるというようなことがあり、これは仕事として毎日使うような人のものと思いました。今では、テクトロの2445や2465程度で十分と思います。

大古オシロの修理

 
 強制同期、管球式の松下のVP311A/B/C、VP517A、トリオのCO50、CO-3K、キクスイの555、556、557、OP-31C等を見掛けます。そのまま使えるモノはまず無いと言ってよいです。掃引の時間を決めるCは必ず全て交換、その他のCも交換したほうがよいです。
 
 トリオのCO50型2インチオシロはたとえ完動にしたとしてもハシゴ型と呼ばれる波形の歪が残ります。回路がシングルエンドであってプッシュプルではないためです。2インチの場合プッシュプルになってることは稀です。

 修理はハッキリ言って馬鹿馬鹿しいです。管球式は修理のコストが高くなりやすく、たとえ治ったとしても感度が悪く帯域もせまいです。レトロの感覚を楽しみたいというのでも無ければやめたほうが良いでしょう。部品取りの場合は古いもののほうがパーツが取れますが、限られた管種と電流容量の不明なトランス、それに鉄製のため転用の困難なシャーシと楽しみが少ないです。

シンクロスコープと岩通


 岩通が強制同期の古い型式のものとの違いを殊更強調するため、シンクロスコープなる言葉を流行らせ、一時期はオシロと言うとシンクロではないのですかと聞かれたり、トリガー掃引方式と態々断り書きが必要になったのは残念なことでした。他のメーカーも追随してしまったのですが、テクトロは一貫してオッシロスコープと呼称していました。中高年の技術者で今だにシンクロと呼ぶ人もいますが、次第にオシロに収斂しているようです。
 悪口を言いましたが、国産オシロメーカーではやはりトップメーカーです。個人的な感覚ですが古くなった機種同士では岩通のものが不良が少ないように感じます。このへんがキカイはカタログを見ても分からないと思う所以です。特にアジャストする場合、岩通が一番分りやすいです。マニュアルも出して呉れます。(最低3000円)。









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測定器解説:校正器

2014年06月12日 | 測定器の種類別解説

校正について

 中古測定器はその正確さが気になるものです。この問題については測定器(およびその取引)に不慣れな人ほど厳格に考える傾向があり、これに対し、ヴェテランはあまり気にしません。何故なら、だいたい測定器というのは、目視で異常が無く、DC的、AC的に異常が無ければ、問題になるほど狂ってるということは殆ど無いのです。ジャンク屋のオヤジは横河のメーターを揺さぶってみて、動いてるみたいよ!といいますが、ああやって動いてるメーターで大きく狂ってるのを見たことは記憶にありません。これはあまりに簡単な例ですが、もっと複雑な構成のものでも事情はそれほど変わりません。

 私の場合、或る交流電圧を発生させる測定器は少なくとも数台は有ります。それを測定する機器も常に数台は有ります。この場合、確率的にみれば或る範囲から離れた計器があれば、それが狂ってる可能性が高く、逆に或る範囲から離れた計器が正確で他が信用出来ない可能性は極端に少ないと言えるでしょう。

 このように出力側と入力側を複数にし、それが近似していれば正確であると予想します。粗っぽいですが、少なくともアマチュアのホームユースではこの発想で十分です。

 費用の話をすれば、定期校正などは個人では実現不可能です。試みにメーカーに問い合わせるのも良いでしょう。特にAC電流は目を剥く高額です。これだけで初級クラスの測定器が買えます。結局、これは資金量の問題なので、正確さについてどのような考えを持つのも自由ですが、自己が支出し得る資金に見合わない考えを持つのは無意味です。


校正器

 校正器というのは普通、直流と交流の電圧と電流、あとは抵抗くらいがメインです。抵抗は横河の標準抵抗器で間に合います。直流と交流の電圧校正は被校正測定器の入力抵抗が問題なので、これが10MΩと言った大きさが有れば、校正器の出力抵抗が1KΩでも誤差は約1/1000となります。然しながら、被校正計器の入力抵抗が低くなれば誤差を少なくする為には出力抵抗も低くならざるを得ず、従って校正器の出力抵抗は出来る限り低いことが求められます。また、電流を校正する電流発生器も低すぎる供給電圧では用を成さない為、結局、市販される標準電圧電流発生器には電力増幅器が別に必要になり、途方も無いコスト、重量となるわけです。

 結局、アマチュアのシャックに於いては校正電圧の発生器等は諦め、やや不便ながら、価格にして高くとも20万円くらいまでのディジボルを三年に一度校正に出すくらいで我慢するのですが、これで不足を覚えることはまず無いと考えられます。それ以上はアマチュアには荷が勝ち過ぎるでしょう。

具体的な製品紹介

横河 2793 ディケード抵抗箱
 0.001Ωー1KΩ
CLAROSTAT 240C 電力型ディケード抵抗箱
CLAROSTAT 250 電力型ディケード抵抗箱
HP/738BR VOLTMETER CALIBRATOR
 出力:DC及びAC(400Hz) 0.3mV-300V 1-3-10及び1.5-5-15ステップ
 出力抵抗最大で7.5KΩ
ESI/RV722 VOLTAGE DIVIDER
 入力抵抗;100KΩ 入力最大700V 7桁
GERTSCH/1011R RATIO TRANSFORMER
GERTSCH/RT-7 RATIO TRANSFORMER

以後書き足し予定有り

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発振器 管球式 VP706A 松下

2014年03月16日 | 測定器


 ヤフオクで落としたもの。この機種はRC711、その後のVP711の後に出たもので若干の改良がある。メーターが付属したのと、帯域が狭まり、かつ前段の真空管がDC点火されたのが変更点である。

 一般にCR発振器は出力が開放でも数Vまでと大きくないのが普通だが、これは600Ωを負荷して10Vを出力できる。開放では20Vだ。それで買ったようなもの。

 基本の回路はヒューレット・パッカード社の200シリーズである。バランス型とも呼ばれCR発振器を設計する際のあちら立てればこちら立たずの悩みどころをかなりの程度解決し、初めて見たときは天才の産物と思った。HP社のそれを真空管を替えただけのコピーと考えれば良い。

 歪が当時としては低かったが今となってはさほどでない。殆どの発振器が低い周波数では歪が急増するのにこれはそうならない。20Hzでも0.05%くらいである。またこれだけの出力を出す発振器は他にない。

 









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測定器解説:歪率計

2014年03月15日 | 測定器の種類別解説
歪率計


 オシロ、発振器、ミリバルときて次に欲しいのがブリッジか歪率計でしょう。以前はかなり入れ込んでいろいろ買いましたが、最近は興味を失ったために、扱った歪率計を思い出すのは困難になりました。多分、機種にして30~50機種くらいだろうと思います。

 さて、この測定器はどうも高価というイメージが有ります。それはアマチュアが要りもしない高性能機を狙えば確かに高価です。しかし、簡単な構成のものでは1万円~3万円台くらいなのです。測定器に不慣れなうちはどうしても中古=信用出来ない、という心配が先立つために、いろいろ悩むのですが、新品はアマチュア向けのものでも10万円をラクに超えるのでこの際スッパリ諦めましょう。本当のことを言えば、このそれほど情報量が多いとは言えない測定器に大金を投じるべきでありません。こんなものに大金を投じるよりスペアナに投じたほうがよほど気が利いています。

 測定原理については、以前は或る周波数を取り除くフィルターアンプの方式が多かったのですが、低い歪を測るのに限界が有って、測定したい周波数の高調波が個別に測定出来るFFTタイプのものが多くなりました。幾つかのメーカーから出されている100万円をラクに超える高級品の多くがそうです。これらは今はまだ高価ですが、あと10年もしないうちに、買いやすくなるでしょう。
 シバソクの725シリーズは依然として高級機という感じですが、この機種ですら5万円を切るようになりました。(ただし、リース屋では10万円以上です)。

 よく見かけるのは、HP8903、HP339A、シバソク725シリーズ、松下の7702,7720A(及び目黒の同仕様型)、7722/7723、あまり見かけなくなったのがシバソク796、816、870等の古い連動型、などです。それぞれ長短が有り、その長短が分ると何台も欲しくなるのですが、まぁ一台あれば良いでしょう。

 

入力抵抗に注意!


 ところで、今諸兄が入手出来る歪率計は入力抵抗が100KΩのものが殆どです。アンプの出力段の歪を測る場合は、インピーダンスが相当低いので、これで構わないのですが、真空管アンプの場合に段間を計る場合は100KΩでは低くて不便な場合が生じます。古い歪率計(自動式でない場合も多い)なら1MΩのものが多いので、諸兄は自分がどういうアンプを主に作るかで考えたほうが良いです。だいたい、0.1%フルスケールのもの、つまり古いものは1MΩのものが多く、0.01%になると1MΩのものはありません。タマしかやらない人は0,1%フルスケールのもので構わない筈です。前述のように、歪率計は必ずしも有用な情報量に富んでるというわけではなく、タマの場合はそれほど高性能のものは要らないので、兎も角古いもので一台という考え方でよいでしょう。



オークションで見かける歪率計



東亜電波 低周波特性測定器
 これは完動を謳ってない限り、もしくはノークレームノーリターンを掲げられたら買えない測定器です。理由は、組み立てがメンテナンスを殆ど考慮していないように見受けられるからです。問題なく動作するものはまず有りません。ボリューム一個替えるのですら、よほど気の長い人でなければいっそのことバラしたくなります。ツマミを外すのでさえ困難かも知れません。だいたい、メンテナンスしにくい測定器はバラスのも一苦労です。このメーカーのものに限りませんが、国産の測定器で修理しやすいものは少ないです。中でもここの歪率計は腹立たしいほど修理の厄介な機械です。

 まず、ロックペイントを塗ってあるものはシンナーでふやかしてからナットを取り外すのですが、まったく余計なことをしてくれると感じます。これは国産は大抵そうなので、規格での指定仕様だったのかも知れません。


シバソク796D/796E、816、
 当今ではさほど低い歪といえなくなってしまった発振器を内蔵した歪率計です。発振周波数と、フィルターアンプの周波数がずれてしまってるものが少なくなく、そういう機械を掴んでしまったらイヤになると請け合いです。測定器を持たない人が修理するのはらくではないと思います。ずれてしまってる機械が多いので普通は発振器を別に求めるようになりがちです。


シバソク870
 796を使いやすくした感じで、レンジが自動です。796と同じ瑕疵がある場合が少なく有りません。


HP333A/334A型
 HP334Aという自動式歪率計をたまに見かけます。0.1%フルスケール、入力抵抗1MΩなので、タマアンプ製作には好適です。歪を測れる上限周波数が600Khzという変わり種です。あまりに古く、今となっては動作するものがあるかが疑問です。


HP339A
 0.01%フルスケールで、一見後から出た8903A/Bのほうが良さそうですが、歪の測定最小電圧が30mVというスグレモノです。発振器の歪もこちらのほうが少し低くなっています。CALの機能が自動でないのが苦しいところです。これも完動品は少なくなってると思われます。


松下VP770A
 入力抵抗1MΩ、0.1%フルスケールです。この機種はバリコンのベアリングがほぼ駄目になってるのですが、歪の多いタマのアンプにはこれでも不自由しないでしょう。一般的に言って、松下の測定器はケミコンの多用が目立ちます。


松下VP7701A
 あまり出てきません。入力抵抗1MΩ、0.1%フルスケールです。CALと%レンジが自動で非常に便利です。HP334Aをかなり使いやすくした感じです。


松下VP7702A/B/C
 1V入力以上で0.01%フルスケールです。1V未満の入力なら0.03%になります。入力電圧と歪率が同時に見られ、両方ともアナログメーターなので、アマチュアが使うには非常に便利です。だいたい、歪率計のメーターはアナログ式のほうが便利です。アマチュアが家庭で使うのだったらこれより高級なものは要らないと思います。高くてもせいぜい3万円くらいで落着するようです。


松下VP776A
 滅多に見なくなりました。0.3%ですが、最小入力50mVとかなり小さく、フィルターの幅の広いのが長所です。大変使いやすいのですが今となっては古すぎて動作するのか、、、、NCNRではちょっと、、、、、、。


高級機


 このクラスになると相当構成が複雑になるので、多少の瑕疵の可能性が出て来ます。安心して買うのなら返品不可を謳わない出品者、もしくはリース屋からということになるでしょう。
シバソク725シリーズ
 ファンもなく、家庭で使いよいです。


松下VP7720A
 発振器付きで使い良いですが、メーターが粘る欠陥に出遭います。その都度叩けば良いので、これくらいは我慢しますか。


松下VP7722A/7723A/7724A
 すこぶる高性能ですが、ファンがうるさく家庭用には向きません。


HP8903A/B
 すこぶる高性能です。



自動でない歪率計


 歪率計は或る周波数を抜き去るフィルターアンプですが、フィルターアンプには温度特性が有ります。また、信号源は通常CR発振器ですが、この周波数が必ずしも安定ではないので、双方の不安定が相俟って、フィルターアンプの操作は厄介です。特に0.1%未満を測ろうとすると、二つのダイヤルから手を離せません。ハッキリ言うと実用性が無いと言っても過言ではないほどです。この何とも面倒くさい操作が、オシロを用いてリサージュ法を使うと別に自動で無くても良いかも、と思えるくらい速やかに出来ます。やりかたはアンプ出力をX入力にし、歪率計のモニター出力をY入力とする方法で、これは逆でも構いません。要するにリサージュを描かせるのです。出て来る波形が水平または垂直になるよう操作すれば良いのです。
この方法でたまに出回るNFの管球式歪率計やシバソク、東亜電波等の自動でないものも快適に使えます。

 昔から有りましたな。何とかとハサミは使いよう、という、、、、、、、。 



 

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HP3580A 低周波スペアナ

2014年03月13日 | 測定器



(概説)スペアナはオシロと並んで原理の理解が必要な測定器です。また操作に慣れるにはオシロに比べて若干多いという程度の時間が必要ですが、然程高度の知識ではありません。誤った設定にしますと、それが目視で分かり、且つウォーニングランプが点灯して教えて呉れるので、誤ったまま操作を続けるということは無い筈です。むしろウォーニングランプが点灯しないようにするにはどうしたら良いかを考えていくうちに自然にスペアナという機械の原理が分かってくるのです。

 この機種が出品されるときは、多くの場合、出品者が使い方を詳しくは知らない、と断っていることが多いです。そこでこの機種の簡単な動作チェック方法を紹介します。即ち、3580Aは本体に10Khzの校正出力が内蔵されています。入力を校正の位置にしますと内部で校正出力と接続されますので、その10Khzを描かせれば管面には基本波と高調波が合計で五つ並ぶわけです。つまりそのような波形の出たものが写真として掲載されておれば、出品者はチェック方法を知っている(つまりは扱い方を知っている)だけでなく、スペアナが動作品たる証拠を示すことになるわけです。

 オーディオに使えるスペアナは使い慣れるとひずみ率計などよりは利用範囲が広いのですが、オーディオをやる人は技術音痴である場合が殆どなので出品されても競争相手が少なく高騰することはあまりありません。元の値段を考慮すればべらぼうな安値となることが多いです。
これ以後の機種で3588、3589が有りマーカー機能が強力ですから資金と空間が許す人はそちらが良いです。

 使い慣れるとオシロと同じくらい使用頻度が高くなります。

(仕様)周波数レンジ:5Hz~50KHz、帯域幅:1Hz~300Hz、測定レンジ:100nV~20V、掃引スパン幅:50Hz~50Khz、入力Zp:1MΩ、ダイナミックレンジ:80dB、トラッキングジェネレーター出力:0~2V/600Ω。

 1HzのBWが有るスペアナはこれだけです。3585とか、3588、3589が良いとは思いますが、置くところが限られます。



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HP 738BR 電圧計校正器

2012年05月01日 | 測定器
HP 738BR VOLTMETER CALIBRATOR
 出力:DC及びAC(400Hz)
 0.3mV-300V 1-3-10及び1.5-5-15ステップ
 出力抵抗最大で4.5KΩ

 内部は400HzのCR発振回路が入っており、100Wまでも出せる大型パワー管のPPで軽く5W(300V/18KΩ)の出力で使うあたりがHP製らしく、同じようなものが菊水から出ていましたが、6BQ5のPPでした。

 電圧計校正器というのは被校正測定器(以後UUTと略称)の入力抵抗が問題になります。校正器にとってUUTの入力抵抗は負荷になるわけです。ディジタルマルチメーターは普通入力抵抗が少なくとも1Mはあるので校正器は電流供給力が無くても構いませんが、横河のメーターのように入力抵抗が低い場合は大変です。
 かくして校正器は標準電圧発生器に電力増幅器が必要になり、結局は写真でよくみるように二階建ての大掛かりなものになります。

 フルークのAC電圧計校正器は大型のCR発振器と送信管による電力増幅器によって1000Vまでの出力が有るものですが、そんなふうに大掛かりになってしまうのでプロの領域です。

 この校正器では出力トランスの二次が18KΩになっており、出力抵抗は変動しますが最大で4500Ωです。

 国内ではあまり出品されず、米国から買うと運賃が凄いのでかなり入手の難しい機種です。








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ESI RV722 電圧分割器

2012年05月01日 | 測定器

ESI RV722 電圧分割器

(概説)ケルヴィンバーレイと呼ばれる回路で電圧を分圧するものです。向かって右側のダイヤルに行っても正確さが低下しない工夫がされています。初めてこの回路を知ったとき、考え出した人は天才かと思いました。ESIとFLUKEが出していて相当高価だったものです。
 
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GERTSCH/RT-7 レシオトランス

2012年05月01日 | 測定器


(概説)交流電圧をトランスのタップで分圧するものです。
 
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