第79回キネマ旬報邦画ベストワンに「パッチギ!」が選ばれた。
「パッチギ!」は、
1968年(昭和43年)の京都が舞台だ。
2位の「ALWAYS 三丁目の夕日」も、
1958年(昭和33年)の東京タワーが完成をする年、が舞台だった。
昭和ノスタルジーに浸る、
(ああ・・あの頃は、よかったなあ)
という井筒監督のつぶやきが、聞こえそうだ。
ザ・フォーク・クルセダーズが歌った「イムジン河」が、
平成によみがえる。
なぜ、彼らがあの時代、「イムジン河」を歌ったのかが、
この映画を観て、やっと分かった。
「帰ってきたヨッパライ」の作詞者、
松山猛の自伝的小説「少年Mのイムジン河」をモチーフにして、
この作品のオリジナル脚本が作られた。
夏目漱石の「坊ちゃん」ではないが、
いつの時代にも青年は、マドンナを求める。
お寺の息子松山康介(塩谷瞬)にとっても、
一目惚れしたマドンナ(沢尻エリカ)の国籍なんか関係ない。
監督は、 「ガキ帝国」、「岸和田愚連隊」の、井筒和幸。
音楽はザ・フォーク・クルセダーズのメンバーだった加藤和彦。
イムジン河」のほかにも、
「悲しくてやりきれない」「あの素晴らしい愛をもう一度」が、
劇中に流れドラマを盛り上げる。
タイトルの「パッチギ」 (박치기)とは、「突き破る、乗り越える」
という意味を持ち、「頭突き」の意味もあるそうだ。
日本アカデミー賞の優秀賞にも選ばれたが、
おそらく、98%「ALWAYS 三丁目の夕日」が
最優秀作品賞に選ばれるだろう。
シネカノン配給の「パッチギ!」が選ばれれば、
日本アカデミー賞も変わる。
是非、「パッチギ!」が、
その壁を「突き破り、乗り越えて」最優秀作品賞を受賞して欲しい。
第79回キネマ旬報ベストテン
【2005年度日本映画ベスト・テン】
1位 「パッチギ!」
2位 「ALWAYS 三丁目の夕日」
3位 「いつか読書する日」
4位 「メゾン・ド・ヒミコ」
5位 「運命じゃない人」
6位 「リンダ リンダ リンダ」
7位 「カナリア」
8位 「男たちの大和/YAMATO」
9位 「空中庭園」
10位 「ゲルマニウムの夜」
次点 「埋もれ木」
【2005年度外国映画ベスト・テン】
1位 「ミリオンダラー・ベイビー」
2位 「エレニの旅」
3位 「亀も空を飛ぶ」
4位 「ある子供」
5位 「海を飛ぶ夢」
6位 「大統領の理髪師」
7位 「ウィスキー」
8位 「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」
9位 「キング・コング」
10位 「ヒトラー~最期の12日間~」
次点 「ヴェラ・ドレイク」
>という井筒監督のつぶやきが、聞こえそうだ。
井筒監督は毎日映画コンクールでの受賞コメントで以下のように言ってます
「“何十年前の夕日がきれいだった”なんてことだけで、日本の歴史を語るなと言いたい。日本の映画界自体にパッチギをしてやろうという気持ちで作った」
ライバル作にあんま噛み付くなよ、とは思うけど、ま、簡単にノスタルジーに浸るような奴じゃないっす(笑)