折々スケッチ

小さなスケッチブックやハガキに水彩と鉛筆ペン等で描いた絵を中心に、感じたこと等日記代わりに添えています。

晩秋の京都へ(2)

2023年12月10日 | 京都

仁和寺五重塔


北野天満宮からバスに乗り御室仁和寺前で降りる。降りれば目の前に聳える仁王門。一瞬にして初めてこの門の前に立った10代の頃の感動がよみがえりました。友人たちと歩いてきて「着いた!道間違ってなかった」と喜んだこと、「仁和寺はいいですよ」と言われた恩師のこと・・・それにしても大きな門。右側の車用の坂道ではなく無理しても登って見たかった正面の石段、手をつきながら落っこちないようにゆっくりと・・・この石段も昔は何でもなかったはずなのに。



仁和寺仁王門


仁王門を見上げると



旧御室御所 世界遺産 「仁和寺」
888年宇多天皇によって建立され、歴代住職の多くが天皇家から迎えられたことから門跡寺院としても知られています。
応仁の乱・文明の乱から170年後、1641年から再興され、その後も新たな建物や庭が作られ御殿群建造物と調和のとれた「仁和寺御所庭園」として国指定名勝になりました。

仁王門をくぐり御殿入り口で拝観料(仁和寺御所庭園と金堂の壁画拝観共通券)を支払い靴を脱いで(これがなかなか面倒)御殿へ。広々として清々しい庭園や背後に五重塔が見えるお庭と重厚な御殿内部を見て歩く。その御殿の一角に今年10月竜王戦第2局が行われた部屋との説明がありました。藤井聡太さんと当時竜王の伊藤匠さんの戦いの場。高い天井と重々しい襖絵に囲まれた宸殿、ここに座るだけでも緊張して動けなくなりそうな場所で対局。棋士の精神力の凄さを想像していました。




御殿のお庭

御殿のお庭

こんなお部屋で戦われた竜王戦



ここから右手に見える五重の塔、真っすぐ進んで一番奥の金堂まではまだまだ歩かねば。
振り返ると仁王門。





五重の塔の西側には背の低い今は枝ばかりの御室桜が並んでいました。御室桜越しに五重塔をスケッチしてみたくてすぐ近くの観音堂へ。お堂の前には観音堂修復落慶記念と書かれた柱が立っており「この紐を握り真言を唱えてください」とありました。紐は観音堂の御本尊千手観音さまの御手につながっているのだそうです。ご真言は「オン バザラ タラマ キリク」。しっかり紐を握ってつっかえながらも唱えました。


紐を握り真言を唱える

五重塔をスケッチしていると(トップの絵)大きなカメラを持った地元の方が「ここから満開の桜越しの塔がいいですよ。ぜひ春にも来てください」と。私もぜひまた訪ねたいと思いました。




金堂まではずっとゆるい登り坂でまだ遠い。





金堂は国宝、1613年に造営された御所紫宸殿を移築したもの。
今回の目当ては5年ぶりに特別公開されている金堂裏堂の「五大明王壁画」(12月3日までの公開期間を延長されたようです)、370年以上非公開とされてきて普段は僧侶も蝋燭の明かりでしかみることができない場所です。薄暗い場所で非公開だったせいか長い年月が経ったとは思えないほど色も明王のお姿も柱の装飾も鮮かでした。説明役の僧侶が行ってしまうと1人残されて・・・ゾクッと。明王は邪悪なものが入ってこないように結界の役目もしているのだとか・・・私は明るい金堂の外へ。
↓ 普段は五大明王さまは暗い中で(パンフレットから)





五重塔の北側から経蔵がいい形に見えたのでスケッチ



その後は境内で期間限定のカフェでコーヒータイム。コーヒーの暖かさが沁みました。
倉を改造したカフェ・外では小さなマーケットも




冬の日は3時近くなると夕方の光です


仁和寺を出るころには膝が悲鳴を上げて、もう歩きたくないっ!と。時間はまだ3時でしたが明日のためにもホテルで休むことにしました。ホテルは妙心寺の隣なので仁和寺前からバスで5分ほどの妙心寺北門で下車。私は北門から南門までの距離がかなりあることを忘れていました。直線距離で600m、道は折れ曲がっていてホテルは南門のさらに東です。立派な妙心寺塔頭の並ぶ石畳の道をゴロゴロ荷物を引いてトボトボ歩く。時折自転車が追い越してゆくだけの道。ちょっと休憩していると手押し車を押した年配の女性が「こんにちは」と。「お散歩にはいい所ですね」と言うと「いい所ですけどね、松ぼっくりを拾いに来たのだけど落ちてないのよ」そう言えば松の木は沢山あっても松ぼっくりは落ちていないしほとんど枯葉も落ちてはいない。どこもきれいに掃き清められている。「スワッグを作ろうと思ってね。ドイツのクリスマス飾りよ。ご存じない?」と言われてスマホに収めた自作のスワッグなるものを見せていただいてやっと理解しました。作るのがなぜスワッグなのか聞こうとしたら「嫁がね~・・・じゃぁ、楽しんでくださいね」と言って行ってしまわれた。妙心寺の大伽藍と数々のお寺に囲まれた狭い道で、ドイツのクリスマス飾りの話、宗教も自由・・・日本はいい国です。


↑ 「正四位象山佐久間先生墓道」の碑

途中で出会った方
ここから南門はまだ遠い


へとへとになってホテルにチェックイン。早速4時過ぎの誰もいない大浴場で手足を伸ばしてヤレヤレ。こんな時間に入浴なんて、今までだったら考えられない事。夕焼けを待ってどこかのお寺の境内にいるはずなのに・・・気持ちよくゆっくりしながら歳を感じていました。
6時からの夕食を終え、翌日の予定をチェックして9時前には京都の1日目が終わりました。


夕食(私はアルコールなし)

つづく。





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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
仁和寺 (hitareri)
2023-12-10 13:02:50
仁和寺…
初めて、このお寺をゆっくり見させて頂きました。どこも?素晴らし景色過ぎて…晩秋ですね。もうすぐ冬至なのに晩秋とは…温暖化の影響で12月でも、ゆっくり京都観光が出来るのは、有難いかな…また、それを「ひろさんブログ」で、こうして見せて貰える私もラッキー😆💕
hitareriさんへ (ひろ)
2023-12-10 14:55:07
こんにちは。
兼好法師の徒然草で「仁和寺にある法師」として中学?の国語の教科書で出てきますよね。仁和寺に行くとそれを思い出してしまいます。
ここは広くて特に紅葉が素晴らしい訳ではないので、混雑することも無くのんびりスケッチも出来るお寺です。本当は初冬の京都のつもりでしたが12月になっても紅葉がきれいでした。
御疲れさま・・・ (ポッポちゃん)
2023-12-10 16:21:06
こんにちは!
京都初日は、北野天満宮→仁和寺でお疲れ様でした!
もみじ苑は、紙屋川まで上り降りするのに石段があり、仁和寺は山門を潜るのに石段があつたり、
境内は広いので砂利道や石畳を歩いて金堂までの往復は大変でしたね(苦)
経堂のスケッチがいいですね!
観光客が少なくて静寂の中の散策、スケッチでステキでした!
特別公開の特別拝観を鑑賞され、季節限定のカフエで一息つかれて良かった!
お寺の紹介は、小生と違って詳しくされており、読者にとってありがたいことでしょう!
若かりし頃の行かれたお寺に再び訪れられて感慨無量ですね・・・
このお寺が一番賑わうのは春の御室桜が満開の頃で、五重塔とよく似あいます!
妙心寺の塔頭も広いのでホテルまでの道のりも遠かったことでしょう!

今回のスケジュールも一重にひろさんの絵に対する情熱が熱いからこその旅でしょうね・・・
Unknown (開設者(ポッポちゃん))
2023-12-10 17:10:08
(続)
五重の塔の手前付近には、今年も紅葉が残っていて良かった・・・

このスケッチが仁和寺の決め手ですよね!
Unknown (ポッポちゃん)
2023-12-10 17:11:51
開設者は間違いです”
 すみません!
ポッポちゃんさんへ (ひろ)
2023-12-10 17:41:25
こんにちは。
広い境内は高低差がある上にデコボコ石畳や砂利道が多く荷物を引いては歩けなくて、背負えば重い。その点、二日目、三日目は宿に預けてリュックひとつで廻れたので楽でした。
御室桜の頃、四月半ばはいつも忙しい時期なのですが、時間を作って行ってみたいです。
ポッポちゃんさんのブログがガイドブック代わり、感謝しています。
ブログの少々の間違いは気にしないでいましょう!お互い様ですものね(#^^#)
Unknown (せしお)
2023-12-10 18:34:58
クレーン車も製材機械も無い時代によくこんなすごいものを建てたものだと思いますが、製材技術が無い時代だから、木の乾燥に何年も時間を掛けてのこぎりで引くのでは無く、割った木をまっすぐに削って製材していたから木が狂う事も無く何百年も建っているのだ。って宮大工をしていた知人に効いた事が有ったな~
こうして (みどりさんの娘)
2023-12-10 19:11:46
京都のお寺をゆっくり歩いてみたいです
時間ができたら一番に京都は行きたい場所です
12月は寒くなかったですか
青空♡が良いですね
せしおさんへ (ひろ)
2023-12-10 19:29:34
重機や計算機も無い時代に・・・本当に昔の人って凄いと思います。
あの太い木を組み上げて風雨にさらされても何百年も建ってますね。
わが家はもうすぐ築40年、あちこち心配ができ来ました(>_<)
Unknown (Unknown)
2023-12-10 19:31:24
旅日記、このような長文を理路整然と書かれるひろさん、お見事です!一人旅ならではの見所と所見ですね。御土居の紅葉も北野桜も拝見しましたが、縁も所縁も微塵も有りませんのに、姓と家紋が同じであることに結び付けて、天満宮の梅を勝手に引き合いに出してしまいました。お笑い下さいまし・・・

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