酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』(1966・日)

2009年08月05日 16時50分16秒 | TV鑑賞作品
この8月、BSイレブンでガメラ特集を放送します。
昨夜はシリーズ2作目、対冷凍怪獣バルゴン。

DVDが発売されるとすぐ飛びついてBOXセットを購入した昭和ガメラですが
この名作にかぎってなぜか動作不良になり長らくみることがありませんでした。
ショー君と一緒にデジタルリマスターの綺麗な画面で鑑賞です。

小生が愛してやまない昭和の特撮、怪獣もの
“東宝チャンピオンまつり”で新作や旧作にであえたゴジラには当然魅了されましたが
子供の味方ガメラは幼少の当時まさに別格の存在でした。

そのガメラを劇場ではじめて楽しんだのは次作、対ギャオスですから
本作をリアルタイムでみていたら
さぞかし印象はかわったものになっていたでしょう。

金に目がくらんだ男たちが巨大オパール目当てにニューギニア奥地までいき
日本に持ち帰ろうとしたその石が実は怪獣バルゴンの卵だったというおはなし。

この悪役たちの執拗で醜い人物像は子供にはちょっと強烈過ぎる描きかた。
でも、そこがいいんです。

偶然にも多量の赤外線をあび数時間で孵化するバルゴン。
瞬く間に巨大化して神戸に上陸、大阪のまちを凍らせ破壊します。

やがてこの怪獣が背中から発する虹色の殺人光線を本能的に求めてやっくるガメラ
大阪城を背に2大怪獣対決となります。

以後の作品のように善玉と悪玉などと怪獣を擬人化せず
動物の本能的な戦いとして描いているのも好感がもてます。

当時外貨獲得の国策による輸出向け映画の製作助成を活用できたと聞いていますが
シリーズではこのバルゴンの特撮が一番予算をかけ凝ったつくりになっているという印象がします。

さらに特筆すべきはあの高山良策による完成度の高いバルゴンの造型でしょう。
愛嬌のある表情に加え舌が飛び出したりする数々のギミックもいいですし
怪獣のもつ独特の質感をよく表現した傑作だとおもいます。

これに負けじとがんばったエキスプロによるガメラの造形もシリーズ屈指。

この時期低調ぶりが目立った本家ゴジラを尻目に頑張った
大映特撮の快挙です。

☆☆☆★

『血と怒りの河』(1968・米)

2009年08月03日 16時11分26秒 | TV鑑賞作品

8月にはいったというのにぐずついたお天気の続く日曜日の昼
NHKハイヴィジョンでやっていました。

新聞のテレビ欄でみつけた
大仰なタイトルに最初こそためらいましたが
テレンス・スタンプの名前があったのでみることにしました。

当時のテレンス・スタンプといえばデビューして間もなく
ワイラーの『コレクター』(1965)
フェリーニの“悪魔の首飾り”( 『世にも怪奇な物語』(1967)より)
パゾリーニの『テオレマ』(1968)など
錚々たる巨匠の作品に次々と抜擢され
まさに時代の寵児、みるものを魅了しました。

男の色気が横溢した本作の画面からも当時の彼の勢いを垣間見ることができます。

アメリカに土地を奪われた直後の時代のメキシコとアメリカの国境
幼い日にメキシコ人に家を焼かれ孤児となるもメキシコ人の盗賊の首領に拾われ
4人いる息子の一人として仲間を率いることを許された青い目のアメリカ人“アズール”。
“Azure”は青、英語で“Blue”この映画の原題です。

この盗賊一味と国境の河をわたりアメリカ人のコミュニティを襲ったことで
アズールは怪我を負いますが
反対にこのコミュニティの医師(カール・マルデン)父娘に助けられます。
“アズール”から“ブルー”へとかわろうとする彼。
やがてコミュニティを率いてメキシコ人の“父”と対峙します。

年代的にアメリカンニューシネマの流れのなかにある作品といっていいのかもしれません。
“ブルー”の複雑な生い立ちや粗暴な性質がいつも影をおとしますし
スカッとするような正義とか
コミュニティや国家へ忠誠といった大儀とはほど遠いところにある
出自の記憶と“父”への恩讐に揺れ動く
生々しくほど内面的で個人主義に彩られた映画だからです。

こうした役どころをちょっとエキセントリックなイギリス人俳優が演じるのですから
かなりカルトな魅力を内包してますよ、この作品・・・。

☆☆☆★


『プロポーズ』(1999・米)

2009年08月03日 11時06分48秒 | TV鑑賞作品
町から工場、さらに野こえ山こえ群集と化した花嫁候補たちから逃げまくる男
バスター・キートンの名作『セブン・チャンス』(1925)の名シーンです。

このサイレント映画のアイデアそのままに
現代のサンフランシスコを駆け巡るロマンティック・コメディー。
一昨日の土曜午後BSフジでみました。

注目すべきはなんといっても恋人役のレニー・ゼルウィガー
すでにあの独特な存在感を漂わせる演技に目を奪われているうちに
主演のクリス・オドネルは完全に脇に・・・。

それと主人公が次々と結婚を申し込む女性たちのなかに
お久しぶりです。ブルック・シールズ!
過去のイメージを覆すような汚れ役を演じる彼女は必見です。

原題が“The Bachelor”というだけあって
独身男が結婚の意味を問うような原作にないテーマを盛り込んだ本作。
テンポいまいちのアクションをさらに冗長にしてしまった印象が否めませんでした。

☆☆