取り外したガススプリングの廃棄はどうしよう。内部に高圧ガス(窒素)が封入されている。このままでは危険だ。そこでガスを抜いて廃棄することにしました。
調べてみるとシリンダーに3mm位のドリルで穴を開け、ガスを抜けばよいことがわかりました。
早速にやってみました。

切り粉を見るとシリンダーの材質はアルミでした。

貫通するとシューと音がしてガスが抜けました。音の感覚からすると7~10kg/cm2程度の圧力でないかと思います。(人間が古いhimadawaは今のPa、MPaの単位ではピンときません)
ここまで来るとhimadawaは内部が気になります。分解して確認しよう。
材質はアルミと分かっていたので、パイプカッターを使用してシリンダーを切断します。

切り離すと、ピストンが現れました。

ついでに各部の寸法を測定すると。
ハイエース ガススプリングの検証 |
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シリンダー外形 |
22.7 |
㎜ |
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A室断面 |
3.05 |
㎠ |
シリンダー内径 |
19.7 |
㎜ |
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B室断面 |
1.84 |
㎠ |
シリンダー肉厚 |
1.5 |
㎜ |
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押し出し実面積 |
1.21 |
㎠ |
ロッド径 |
12.4 |
㎜ |
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ストローク |
180 |
㎜ |
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全長(約) |
750 |
㎜ |
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ピストンの押し出し実面積が1.21㎠ですので、ガススプリングの押し出し力は、圧力が10kg/cm2(0.98MPa)の時は12.1kg、圧力が20kg/cm2(1.96MPa)では24.2kgと言うことになります。
シリンダーの肉厚は1.5mmです。この厚さで2MPaに耐えるかを検討してみました。
内圧を受ける、圧力容器、配管の強度計算式を参考にしてあてはめてみると。

こんな結果がでました。シリンダーに使われているアルミの材質が不明なのでA5000番以上、許容応力15MPaと仮定しました。1.5mmの板厚ですので、最小必要板厚とつじつまがあいます。
ただし、この計算式は圧力容器用ですので余裕が大きいと思います。自動車用のガススプリングで量産品ですのでもっとシビアな計算がされていると思います。
もう一つ気になったのが、ピストンにオリフィスが無いのです。


理屈的には、ピストンをはさんでA室とB室の間をガスが流れる通路が必要なはずです。
よくよく観察していると、シリンダー内面に縦キズがあります。最初はシリンダーパイプ成型時のものかと思っていましたが、実はこの縦キズからガスが漏れることによりオリフィスの役目をさせているのではないかと考えます。
この縦キズは目測で幅、深さ共に約0.5mm、キズの位置、長さはピストンの移動する長さ+@です。
さらにはこの縦キズは切削ではなく、押し付けて溝を作っているようで外側に膨らみが出ています。溝で減った肉厚を外形部で補っているようです。

これでhimadawaの推測は間違いないと思います。
恐るべし自動車産業、恐るべしコストダウンです。
ガススプリング1本で楽しませて頂きました。これで資源ゴミに出すことが出来ます。