COP21に関わる日本の対応
昨年「地球温暖化対策推進法」が改定された件はこのニュースでもお伝えしましたがこの法律に基づき地球温暖化対策計画が昨年5月に閣議決定されました。
この計画は2030年までの地球温暖化政策の基本になることですから、環境経営士の方は目を通して頂き環境経営士としての活動の一助にしていただければ幸いです。
詳細はこのPDFをご参照ください。https://www.env.go.jp/press/files/jp/102816.pdf
なをこの計画は見つけにくかったですが、関環境副大臣の秘書の方に教えて頂きました。
この内容はA4で70ページと別表より構成されています。
環境経営士に関係のありそうな箇所をピックアップします。
●2030年までの削減目標は
2030年度において、2013年度比26.0% 減。(P6)
個別には業務サービス部門、家庭部門は(P10)のグラフにあるように毎年CO2が増加していることもあり約40%削減目標を掲げています
●目標達成のための対策・施策で事業者の役割は (P16)
事業者は、法令を遵守した上で、創意工夫を凝らしつつ、事業内容等に照 らして適切で効果的・効率的な地球温暖化対策を幅広い分野において自主的 かつ積極的に実施する。
社会の一員である事業者は、単独に又は共同して自主的に計画を策定し、 実施状況を点検する。また、従業員への環境教育を実施する。
製品・サービスのサプライチェーン及びライフサイクルを通じ、 温室効果ガスの排出量等の把握に努めるとともに、カーボン・オフセットを 含め、これらの環境負荷の低減に寄与する製品・サービスの提供を図る。
●産業部門の役割 (P23)事業者の中でも産業部門について
産業部門における2013年度の二酸化炭素排出量は、4億2,900万t-CO2 であり、2005年度比で6.0%減少している。省エネルギーの推進、産業界の自 主行動計画や低炭素社会実行計画による取組が、これまでのところ成果を上 げてきているが、我が国の温室効果ガス排出量の約3割を占める同部門の取 組は今後とも重要である。
●産業部門でも中小企業の排出削減対策の推進 (P23)
中小規模の事業者における省エネルギー・排出削減対策の強化のため、省 エネルギー意識向上のための広報、省エネルギー診断やCO2削減ポテンシャル診断等による省エネルギー・省CO2ポテンシャルの掘り起こし、企業 のエネルギー管理担当者に対するきめ細かな講習の実施、省エネルギー対策 のベストプラクティスの横展開等に取り組むとともに、原単位の改善に着目 しつつ、中小企業等の排出削減設備導入を支援する。 また、中小企業による省エネルギーの取組を地域においてきめ細かく支援 するためのプラットフォームを地域の団体、金融機関、商工会議所及び自治 体等が連携して構築し、省エネルギーに取り組む中小企業の掘り起こしから 運用改善や設備投資等の取組のフォローアップまで幅広く支援する。2017年度までに、全国に省エネルギー取組に係る支援窓口が存在するよう、プラ ットフォームを構築する。
●業務その他部門(P24)(削減目標値が約40%と高い部門)
業務その他部門における2013年度の二酸化炭素排出量は、2億7,900万t- CO2であり、2005年度比で16.7%増加している。最大の増加要因は電力の 排出原単位の悪化であり、次いで業務床面積の増大等が続いている。一方、2 030年度目標の達成に向け、同部門の排出量を約4割削減する必要があり、地 球温暖化対策推進法による温室効果ガス排出削減対策、省エネ法に基づく措置や低炭素社会実行計画に基づく対策の着実な推進等を通じて排出抑制を図る。 また、オフィス等で使用される機器の効率向上・普及やその運用の最適化 を図ることにより業務その他部門のエネルギー消費量の抑制が図られることから、より一層の機器のエネルギー効率の向上の促進、エネルギー管理の徹底等を図る。
●家庭部門は (P30)
上記と同じように約40%削減ですが、環境経営士の自宅の省エネに注力頂ければ幸いです。筆者も家庭の省エネをかって取り組みましたが約30%削減の記憶があります。現在もその生活態度は変えていないので多分削減されていると考えます。
● 横断的取り組み(P50)今までは部門の取り組みの計画でした
事業活動における環境への配慮の促進
温室効果ガスの排出削減に向け、環境配慮の視点を経済活動に適切に織り 込むとともに、事業活動における投資や技術開発を促進する。 具体的には、①商品・サービス、金融市場において環境の価値が認めら れ、事業者に対し環境配慮を求める意識が浸透する、②供給者が環境配慮 型の事業活動を行うとともに、需要者側に分かりやすい情報を提供する、 ③消費者等にその情報が正確に届くことにより、環境配慮型の事業者や商 品・サービスが評価・選択される、といった一連の取組により、環境配慮 を実施している事業者が便益を享受できる基盤の整備を推進する。
このため、排出抑制等指針等に基づき、事業者が、自主的・積極的に環 境に配慮した事業活動に取り組むことを推進する。 また、環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事 業活動の促進に関する法律(平成16年法律第77号)に基づく事業者の環境 報告書の公表等を通じ、事業者や国民による環境情報の利用の促進を図り、 環境に配慮した事業活動や環境配慮型製品が社会や市場から高く評価され るための条件整備等を行う。そのために、例えば、サプライチェーン全体 における温室効果ガス排出量を把握・管理するための基盤整備、カーボン フットプリントの普及・促進、ICTを利用した情報開示の基盤整備、比 較可能性や信頼性の向上などを進めていく。 さらに、ISO14001や中堅・中小企業向けエコアクション21などPDC Aサイクルを備えた環境マネジメントシステムの普及を進め、環境経営の実 効性を高めていくとともに、企業における従業員の教育を促すことで、事業 活動における更なる環境配慮の促進を図る。
●地方公共団体が講ずべき措置等に関する基本的事項
PDCAサイクルを伴った温室効果ガス排出削減の率先実行
都道府県及び市町村は、率先して自らの温室効果ガス排出の抑制に取り組 むべきである。その際には、原則として全ての事務及び事業を対象として、 温室効果ガス排出の抑制に係る取組のPDCAの体制を構築し、運営する。
例えば、エネルギーマネジメントシステムISO50001、環境マネジメントシステムISO14001、エコ アクション21の認証を取得し、またはこれらに範をとった自らの環境マネジメントシステムを構築・運用 することが望ましい。
特に都道府県及び指定都市等は、B AT(Best Available Technology 利用可能な最善の手法)の積極的な導入を検討するべきである。 また、事業の用に供する設備は、できる限り温室効果ガスの排出の量を少 なくする方法で使用するよう努めなければならない。
また、事業者が事業の用に供する設備について、排出抑制等指針に基づく BATの導入や適切な運用改善、省エネルギー診断の積極的な受診、コージェネレーションの導入、エネルギーマネジメントシステムの整備等を促進する。
この記事は(一社)日本経営士会発行の「環境CSRニュース」で配信した記事の一部です。
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