への次郎が行く

カメラと地図を片手に気ままに出かけます。

寅さんのロケ地を行く 瑞浪

2022年02月15日 | 寅さん

 

岐阜県瑞浪(みずなみ)にやって来ました。ここは、寅さんの『第9作柴又慕情』のラストシーンの撮影が行われたところです(1972年夏)。

 

瑞浪における撮影場所は、すでに寅福さんちびとらさんたち先達によって詳細に調べられ、地図も番地も公開されています。それらを手がかりに、1月中旬に行って来ました。

 

 

映画】 場面が多治見から瑞浪に切り替わると、川に架かった木造橋が映し出され、その上を寅さんが渡って行きます。

現在】 木造橋はすでになくなっていました。先達によると、この映画の撮影直後に土岐川の氾濫で流されたそうです。対岸にカーブミラーがあります。カーブミラーを挟むあたりに、木造橋は架かっていたのではないでしょうか。

 

 

地図で見ると、流される前の木造橋は、地図の赤線のあたりにあったようです。

現在の写真で見ると、木造橋は左右両岸の赤丸を結ぶように架かっていたようです。後ろの2本の橋脚は、現在建設中の瑞浪恵那道路のもので、当時はありませんでした。

 

 

映画】 対岸から歩いてきた寅さんは、立ち止まり、橋の下に目をやります。対岸の左奥に見える建物は、先達によると、一代前の下沢公民館だそうです。

現在】 2本の高い電柱の位置は、当時のままです。現在の下沢公民館は、少し位置が動いているようです。

 

 

映画】 寅さんが見ていたのは、川岸の草むらで用を足していた舎弟のです。

現在】 現在の土岐川の流れは、向こう岸に寄っていて、こちら岸には草むらが一面に広がっていました。

 

 

映画】 寅さんは登を引き上げ、二人はここでしばらく、じゃれ合います。        後ろに見える完全飼料とは、牛が必要とするすべての飼料成分を均一に保持している飼料のことです。スリーダイヤはこの場合、三菱重工ではなく三菱商事石田水車とは会社名。おそらく石田水車が三菱商事から完全飼料を買い取って販売していたのでしょう。

現在】 「完全飼料」の看板がかかっていた建物はすでになくなっていて、屋根付き車庫のようになっていました。また、道路にガードレールが設置されているので、川岸からは、後方が見にくくなっていました。

 

 

映画】 やがてペプシのトラックが来て、二人はそれに乗せてもらって去って行きます。トラックは、貨物列車と並走するようにJR瑞浪駅の方向に走って行きます。

現在】 向こうに見える橋は、架け替えられた新しい橋です。木造橋の右にあった木は、切り倒されたのでしょうか、なくなっていました。木の右側の2棟の民家は、現在も残っています。

 

 

今回は、先達の詳細なレポートのおかげで、ロケ現場を難なく回ることができました。ところで、ロケ現場を一通り回ったあと、ある疑問が湧いてきました。それは、寅さんは瑞浪のこんな外れに、何をしに来たのだろうか、ということです。

「来るとしたら商売か」と考えながら瑞浪の地図を見ていたら、あることに気づきました。それは、ロケ現場の旧下沢公民館の裏山に白山神社という小さな神社があることです(地図の青丸のところ)。

 

もしかしたら寅さんは、この白山神社の夏祭りで商売をしようとしてやって来て、その帰りにこの橋を渡ったのかもしれません。あるいは、山田監督の頭の中には、白山神社の夏祭りで寅さんと登が出会う、という構想もあったのかもしれません。

そういえば、寅さんが木造橋を渡っているところで聞こえてくるおはやしの音も、歌子が言う盆踊りより、夏祭りを想起させているように思えるんですが